30.『原初《エバ》 澄明の守護者』(著:作者不詳)

<作品URL>https://kakuyomu.jp/works/16817330652592560209

【ジャンル】異世界ファンタジー 【連載中】272,329文字

【セルフレイティング】残酷描写有り/暴力描写有り/性描写有り


 ※長編のため、「第5.5章 貴方を護り、我を救う」までを読んだ感想です。


 こちらの作品は、とても設定に凝ったファンタジーですね。

 ハードボイルド、天使、クラーケン、人魚姫、古代神殿、アトランティス、呪い、遺物、インドラ、龍脈、恋愛……と、実に多種多様な要素が組み込まれています。

 書いていて、きっと楽しいだろうなぁと思いましたね^^

 好きな要素を全部突っ込んだ! という印象を受けました。


 個人的には、古代神殿が出てきた当たりで、わくわくしました。

 古代遺跡や歴史、世界の七不思議とか大好物ですので^^

 ストーリーの主軸は、とある闇組織で働いていた凄腕の主人公【源氏みなもとうじ恭一きょういち】が、仕事の最中に呪いを受けてしまい、海中都市アトランティスへ流れ着き、そこで呪いを解くために必要となる人物エバと出逢う。

 これからの展望としては、このエバと共に呪いを解く旅に出て、互いに惹かれ合うのかな、というところでしょうか。

 違っていたらすみません💦


 主人公が呪いを受けて、それを解呪するために旅へ出る――という主題は、とても王道で、目標が分かりやすくて良いですね。

 『もの〇け姫』のアシタカと同じ始まり方です。

(※あえてジブリで例えているのは、誰もが知っている共通の認識だろうという理由からです。)


 アイテルの登場から、その正体が判明するまでの展開は、意外性があって面白いと思いました。どこか掴みどころのない、ふわふわとした天然キャラクターっぽいところも特徴的で、彼女と恭一が、これからどういう関係性を築いていくのか、楽しみです。


 内容としては、面白い要素を含んでいるので、読み手がつけば楽しめる作品なのではないでしょうか。

 ただ、勿体ないなと思ったのは、地の文ですね(;^ω^)

 特に「序章 空が落ちる」では、状況が少し分かりにくいため、ここで離脱される方は、いそうな気がします💦


===(▼作中一部抜粋。)============

_「オークション会場から出ている人間は速やかに拘束しろ、従わないなら殺せ」

通信を切ろうとしていた最中、背後から少し離れた先からの声に恭一は気がついた。

「何があった?」

「オールドレッドが消失。早くしろ、命令だ」

恭一は右手に持つアタッシュケースに目を向け、素早くその場から動き出した。

_「"シルバークラウド"どうしました?」

「帰還する」

_「…まさか。いやはや、君は相変わらず行動が早くて助かります」

===(▲作中一部抜粋。)============


 ここのシーンで、恭一が目的のブツを手に帰還しようとしているのは分かります。が、これより前の文章からは、まだこれから目的の物を入手しに行こうとしているところなのかな、と読めるので、突然現れた『アタッシュケース』に、読者は戸惑います。……あれ? いつの間に手に入れたの?? と(;^ω^)

 もし、冒頭のシーンから既に『アタッシュケース』を入手後の状況なのでしたら、前半の部分で「既に入手済み」と分かるような書き方にしてあげたら、混乱が少ないかと思います。


 それから冒頭の「生命の感じさせられない黒い水」という文章。

 ⇒「生命を感じさせない黒い水」と「生命の感じられない黒い水」の二つの文章が混ざってしまっているような……(;´д`)

 書き出しからつまづくと、読みにくい文章だと読者に印象付けてしまいますので、なるべくシンプルに書かれる方が、誤りも少なくなるので良いかと思います。


(原文)「静かな波の音、曇りのない星空と満月が空に浮かぶ、生命の感じさせられない黒い水と、空と海に浮かぶ二つの月が、この世界とは何処か別の世界へ迷い込ませたように思える。」


(改定案)「静かな波の音。曇りのない星空には、満月が浮かんでいる。生命の感じられない黒い水に浮かぶ、もう一つの月。まるで何処か別の世界へ迷い込んだかのようだ。」


 それから「恭一君」と呼ぶ声がして、そのことを説明した地の文が、台詞から離れすぎているので、分かりにくくなっているのだと思います。

 なるべく会話文の直後か直前に、地の文で説明してあげた方が読みやすいと思います。


 「第1.5章 泡沫の水面へ人魚は歌う」以降で気になったのは、書かれている内容にブレがあることです。

 以下のように、真王陛下のことを「エバ」だと認める文章と、

「エバである真王陛下にお命を救われたのです。」

「偉大なエバである陛下」

「彼もエバの意思によって導かれた者なのです。」


 以下のように、真王陛下は「エバ」ではない、とする文章。

「なぜ、私がエバであると?」

「エバの加護を受け、この世界の女王となりました。」


 これらが混在しているため、読者は大変混乱します!(;´д`)

 陛下本人が「エバではない」と言っているのに、周りの者たちは陛下のことを「エバ」だと思っているのでしょうか?

 それにしても、陛下の目の前で、ジュドーが「偉大なエバである陛下に」と言っていますしねぇ……「なぜ、私がエバであると?」は、さすがに不自然かと(;'∀')💦

 おそらくここは、なぜ恭一が「エバ」の存在を知っているのか、ということが聞きたかったんじゃないかなぁ……違っていたらすみません(-_-;)


 後続を読んで行くと、ようやく分かるのですが、真王陛下は、エバの化身のような存在なのですね。

 古代エジプトでも、ファラオは神ラーの化身である、とする考え方があります。それと同じかなぁと。

 それなら、陛下が恭一に問われた時に、自分は「エバ」だと答えれば良かったのではないかなと思うのですが……ここで誤魔化しているのは、アイテルのことがあったからでしょうか?

 代役なので「エバ」とは言えない、とか? 

 それならそれで、ジュドーの態度や口調にも、それが現れていないと辻褄が合わないように感じてしまうかなぁ(;^ω^)


 こちらの作品は、三人称で書かれているので、地の文に「エバである女王」ということを書いてしまうと、それが物語上の真実となってしまいます💦

 「恭一は、陛下をエバだと思った」と書く分には、問題ないです。恭一が考えていることですから。

 会話文や、主人公の心情や考えにおいては別として、地の文では、「エバの加護を受けた」で統一するか、まだ確定していないような表現をすれば良いと思います。


 例えば、「第2章 天上の園で、澄み渡る光を見る」。


(原文)「王座の間で会ったエバである女王。」

(改善案)「王座の間で会った、エバ女王。」


 要は、そのシーンを読者が読む時、女王を「エバ」だと思って欲しいのか、それとも「エバ」かどうか未確定、と思って欲しいのか……読み手を意識しながら書くことが出来れば、ずっと読みやすくなるのではないでしょうか^^


 あと、「真王陛下」と「女王」も、=の意味だとは思いますが、どちらかに統一された方が、読み手には優しいと思います^^


 こちらの作品へレビューを書かせて頂けるなら、キャッチコピーは……


 『呪いを解くために、古代アトランティスの女王と旅に出る。』


 こちらで、いかがでしょうか?


 レビューにアドバイスのような内容は書きませんので、ご安心ください。


 もし、ご不快に思わせてしまったら、大変申し訳ありません💦

 コメントにて、この感想へのご感想を頂けると幸いです(*ᴗˬᴗ)

 参加を取り下げる場合は、「削除希望」とだけコメント頂ければ、こちらの感想は非公開とさせて頂きます。

 宜しくお願い致します。



以上。

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