3.『盾の乙女、異形に魅入られる ~射干玉綺譚~』(著:星羽昴)

<作品URL>https://kakuyomu.jp/works/16818093078700035730

【ジャンル】異世界ファンタジー 【連載中】9,226文字

【セルフレイティング】残酷描写有り/暴力描写有り/性描写有り


 ふむふむ(*´꒳`*)

 第6回ドラゴンノベルス小説コンテストに応募されている作品ですね。

 ……って、ライバルじゃないですかー?!Σ(゚∀゚ノ)ノキャー


 なんて、冗談ですw

 真面目に感想とアドバイスをさせて頂きます♪(たぶん)


 こちらは、まだ連載中の作品でして、現在第9話までしか掲載されておりませんので、そこまでの感想とさせて頂きます。


 まず第一印象は、ライトなダークファンタジー。

 タイトルにある「異形」の存在が、とにかく異彩を放っており、この作品の一番の謎であり、一番の魅力となっています。

 「射干玉色の髪と眸をもつ異形の「何か」」は、正体不明ですが、人間ではなさそう、ということだけは分かります。この異質な存在が、この作品の要であり、今後のストーリーに大きく影響していくのでしょう。

 主人公であるラゲルナは、主であるアーシャお嬢様と、謎の異形の存在との間に挟まれて、翻弄されていく……というストーリーです。

 いい意味で、話の先が読めない作品ですね。


 ただ一点だけ、早急に修正をした方が良いと思うのが、あらすじと話の内容に食い違いがあることです。

 あらすじには、「シュバルツと名付けた異形の『何か』」と記載されておりますが、現在確認できる第7話では「ノアール」と名付けています。

 あらすじを読まない方も意外と多くいらっしゃるのですが、中には、あらすじを参考にして、中身を読む読まないの判断材料とされる方もいらっしゃいますので、なるべく齟齬はなくした方が良いかと思います^^


 一話の文字数もちょうどよく、文章もさくさくと読みやすいので、WEB小説向けと言えるでしょう。

 ただ、読みやすさを重視するならば、断然「・・・」は、「……」と表記することをおすすめします。傍点を多用されていらっしゃるので、そこと重なると、ちょっと気になります💦

 もし、ご存知なければ、以下の文章作法についても、参考にしてみてください。


『創作徒然』

https://kakuyomu.jp/works/16818023212539919349

⇒第2話 「小説の文章作法(基本的なルール)」


 人によっては、知っていて使わない方もいらっしゃるようですので、既にご存知でしたら、スルーしてください。

 ただ、知らないので使っていないのとは大きな違いがありますので、参考に。


 第一話の冒頭が会話文、それも女性の悲鳴から始まっているのは、良い書き出しだと思います。この先の話への期待が膨らむ書き方ですね。

 ただ、その次にある一文で、ちょっと引っ掛かりました。


 「森に囲まれた街道を走る馬車に、女の悲鳴が聞こえた。」


 ん? って思いません?

 まず、森に囲まれた街道を馬車が走っている、という情報は分かります。

 では、女の悲鳴は、どこから聞こえてきたのでしょう?

 森の中? 馬車の中から聞こえた、という可能性も考えられますよね?

 そして、「聞こえた」と書いてあるからには、それを聞いた人物――主語がどこかにある筈です。まさか馬車が主語ではないと思うので(笑)。

 では、その人物は、一体どこにいるのでしょうか?


 大半の読者は、ここで「?」と、情景をうまくイメージすることが出来なくなると思います。少なくとも私は、迷子になりました💦

 さらっと読む分には、街道を走る馬車と、女の悲鳴、というキーワードだけ拾って問題なく次へ行けますが、せっかくの良い書き出しですので、少しだけ語らせてください!(笑)


 何故、この文章に違和感を持ったのか、というと、実は、この一文には、二つの視点が混ざってしまっています。

 おそらく、映像が頭にあって、それを文章に起こしているからだと思います。


 一つは、森の中を走る馬車を見ている読者(俯瞰)の視点。

 もう一つは、女の悲鳴を聞いている、おそらく馬車の中にいる誰か、でしょう。


 つまり、読者と登場人物の視点が混ざってしまっているのです。

 文章の基本として、一文の中に書く視点は、一つにしましょう。

 その方がシンプルで分かりやすく、読者に伝わりやすいです^^


 この一文が全て読者の視点となるなら、「女の悲鳴」は「聞こえた」ではなく「響いた」と表現するのが良いかなと思います。

 例えば……

 「森に囲まれた街道で、女の悲鳴が響き渡った。」とか。

 この時の主語は、「女の悲鳴」ですね。


 読者の視点(俯瞰)から登場人物の視点へ切り替えるならば、この一文は、二つに分けましょう。

 (読者視点)「森に囲まれた街道を、一台の馬車が走っている。」

 (登場人物「わたし」の視点)「馬車に乗っていたわたしは、女の悲鳴を聞いた。」


 地の文を書く時に気を付けないといけないのが、視点です。

 一人称とか三人称とか神視点、という言い方はよくされますが、小難しいので、あまり気にしないでいいと思います。

 まずは、この文章の視点がどこにあるのか? それを考えてみてください。

 馬車の中でしょうか? それとも、馬車の外?

 地の文って、書き慣れていないと、視点がぶれるんですよね💦


 私だったら、こう書きます。

===▼サンプル▼===================

「きゃああああああ……!」


 森に囲まれた街道で、女の悲鳴が響き渡った。


 わたしは、ちょうどそこへ、馬車に乗って通りかかっていた。

 一緒に乗っていた、わたしの主――アーシャお嬢様が、はっと顔を上げる。


「馬車を止めなさい!」


 アーシャお嬢様は、凛とした声で、御者に向かって、そう命じた。

 そして、今度は、わたしに向かって鋭く叫ぶ。


「ラゲルナ様!」


 名を呼ばれ、わたしは、お嬢様に頷いて見せた。悲鳴は、確かにはっきりと聞こえた。それも、かなり近い。


「わたしが見てきます。お嬢様と皆さんは、ここを動かないで下さい」

================================


 どうでしょうか? 

 ちょっと緊迫した雰囲気が伝わりますでしょうか?

 「はっと」「凛と」「鋭く」という形容詞たちに、キレ味を足してもらっています。

 「わたしは、お嬢様に頷いて見せた。悲鳴は、確かにはっきりと聞こえた。それも、かなり近い。」という段落も、「……」ではなく、短い文章に区切って続けて書くことで、逆に緊張感が生まれませんか?


 ちなみに、字下げを行う一段落の中には、同じ視点を続けて書いてOKです。

 視点が変わる時は、段落を変えて、字下げを行うと良いです。

 書き方は、いくらでもあると思いますので、何かの参考になると幸いです。 


 すみません、冒頭だけに文字数を割きすぎました💦

 

 文章については、ここまでにしておきます。

 もし、他に気になる箇所があれば、コメントでも近況ノートの方へでも書いて頂けたら、回答致します。


 話の内容に戻ります。

 この話は、とにかくノアールという異形の存在が異彩を放っているので、是非、このキャラクターは、大事に書き続けていって欲しいです。

 ノアールの謎が気になって、話の先を読ませてくれます。 


 これは、私も人からの受け売りなのですが💦

 異世界ファンタジーでは、早い段階で、主人公、もしくはストーリーの目的を書いてあげると、読者は安心して読めるそうです。

 ノアールという謎は、確かに気になりますが、この物語が一体どこへ向かっていくのか、読者には全く予想がつきません。

 それは、先が読めない展開、という面では、いいことでもあります。

 逆に、ある一定の読者に対しては、不安を抱かせることにもなるようです。


 王道ファンタジーや、少年漫画の人気が衰えないのは、そういう部分に明確な目的があるからだと思います。

 例えば、よくある異世界転生ファンタジーだと、魔王を倒すことが目的だったり、スローライフして自分の自由に生きることが目的だったりしますよね。

 この物語、はじめはノアールが主人公の敵になるのかと思いきや、実は、味方であることが分かります。それはそれで面白い展開ではあるのですが、主人公の目的がやや不明瞭かな、と思いました。


 こちらの作品へレビューを書かせて頂けるなら、キャッチコピーは……


 『ダークファンタジーは、好きですか?』


 こちらで、いかがでしょうか?


 レビューにアドバイスのような内容は書きませんので、ご安心ください。


 もし、ご不快に思わせてしまったら、大変申し訳ありません💦

 コメントにて、この感想へのご感想を頂けると幸いです(*ᴗˬᴗ)

 参加を取り下げる場合は、「削除希望」とだけコメント頂ければ、こちらの感想は非公開とさせて頂きます。

 宜しくお願い致します。



以上。




 ……ちなみに、自主企画に参加しているユーザから☆をもらっても、ランキングには反映されませんので、私からのレビューを確認されましたら、企画から抜けることをおすすめしますw

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