第37話 人類の敵が生まれた日
結局、俺はソニア達を助けられなかった……
せめて景色の良い所へとウトイの海の岬にある綺麗な場所へ埋葬した。
勿論、教会の人間なんて呼ばない。
あいつ等は敵だからな……
ソニア、ケイト……リタ……俺は結局皆に何もしてあげられなかったんだな。
『幸せに暮らせればそれで良い』
『恨みなんて忘れよう』
俺は馬鹿だ……
恨みなんて忘れちゃ行けなかったんだ……
皆は優しいからきっと俺がこれからする事を反対するだろう。
だが、もう俺はきっと止まらない。
『憎しみが押さえられない』
女神が勇者が敵だ!
力をつけて必ず殺してやる。
『魔王がしている事は生ぬるい』
全ての教会関係者は地獄に落ちれば良い……1人残らずな。
◆◆◆
ソニア達の埋葬を済ませ花を捧げた。
手は教会のしきたりだからあわせない。
ただただ、三人の事を思い出し偲だけで良い。
「誰かのお墓ですかな?」
なんだ此奴ら……
家族連れが俺に声を掛けてきた。
「ええっ」
とっとと何処かにいけよ。
奥さんと娘さんを連れていて幸せそうだ。
「これでも、私はイシュタス教の司祭をしているんです……祈らせて下さい」
イシュタス……教……そうか……
あはははっ、それじゃ敵じゃないか?
「お嬢ちゃん……」
「なぁにお兄ちゃん」
可愛い顔をしているが、此奴はゴブリン以下の存在だ。
だから『殺さなくちゃ』
「うん、ムカつくから死んで!」
俺は少女の手を取りそのまま岬から放り投げた。
「いやぁぁぁぁぁぁーーーーー」
少女はそのまま真っ逆さまに落ちていく。
この高さから落ちたら一溜りも無いだろう。
「お前――っ! 娘に何をしたーー」
「貴方、娘を今……」
お前等がイシュタスに祈るからいけないんだよ。
ソニア達を殺したのはイシュタスだ。
「うふっ!あははははっ、イシュタスのゴミを信仰しているからいけないんだよ? 殺されて仕方ないんじゃないかな? イシュタスなんか信仰しているんだから……と言う訳であんたら二人も死んで」
娘が殺されたのに逃げようとするか? クズ。
「お前は逃げなさい……早く逃げて衛兵に……うっ」
これでもA級冒険者一般人が逃げられる訳ないだろう……
俺は素早く回り込み司祭の首をはねた。
此奴はイシュタス教の司教……オーク以下のゴミ。
「いやぁぁぁぁぁーー貴方ぁぁぁぁああっ」
「お前も死んでおけ」
後ろから剣を刺したらあっけなく絶命した。
可哀そうだから二人の死体を岬から放り投げた。
お前達の方がこれでも俺より幸せだ。
恐らく死んだあとは、イシュタスが三人を引き合わせてくれそうだからな……
良かったな……死んだけどあの世で三人一緒だ。
俺みたいに孤独じゃない。
ソニア、ケイト、リタ……俺は人間を辞めるよ。
女神はきっとソニア達も嫌っていた。
そう考えたら、あれ程酷い目にあっていても天国に行けないのかも知れない。
俺は……魔王を越えて邪神すら越える『悪』になる。
女神が勇者が『善』なら俺は『悪』でいい。
この世界の人の多くはイシュタスを信仰している。
それなら……全員敵だ。
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