第30話 ソニア達の1年
食事のあと、久々に熱い時間を過ごした私達。
「満足そうに寝ちゃって……嬉しそうね」
「そうだね、満足してくれたみたいだね」
「リヒトお兄ちゃんが喜んでくれてリタも凄く嬉しいよ」
獣の様にお互いを求めあうSEXそれを三人相手にしたからかリヒトは満足そうに寝ている。
私はそんなリヒトに布団を掛けた。
「ねぇ……もう一回お風呂に入りにいかない?」
「そうだな……行こうか?」
「行こう……」
私達三人は室内の露天風呂ではなく、大浴場へと向かった。
◆◆◆
結構遅い時間だから、大浴場には私達しかいない。
凄く、都合が良い。
体を湯で流してから露天風呂に入った。
ここは女湯だからリヒトは入れない。
だから、女同士の話をするのには都合が良い。
「お月さまが綺麗ね、それに波の音も聞こえてきて気持ちい良いわ」
「そうだな……だけど、此処に誘ったのは違う事だよね?」
「ねぇ、ソニア率直に聞くけど? 私達あと、どの位生きられるの?」
「そうね……恐らく1年生きられたら良い方かな……」
性病に掛かったから、何回も堕胎したから……それで子供が産むことが出来ない訳じゃない。
度重なる拷問に近い日々で『体が壊れた』から子供が作れなくなった。
それが多分正しいのだと思う。
度重なる暴力で体が壊れていると言う事が正しいのかも知れない。
ポーションや魔法で治しても、それにも限界はある。
例えば、皮膚に刻まれた落書き。
傷が塞がる前ならポーションでもヒールでも治せる。
だけど、毎日のように刻まれ続けると最後にはポーションもヒールも効かなくなる。
私達の体は性病に何回も掛かり、堕胎を繰り返し体力が消耗した状態で暴力を受け続けた。
骨が折れ、内臓が何回も破裂してのたうち回った事も何回もある。
それを初級回復魔法のヒールだけで治療を続けたから……見た目以上に体はボロボロだ。
魔法が使えない、剣も碌に振るえない。
恐らくこれは、体が壊れ……多分寿命が近い、そういう状態だ。
「あと1年か……あははははっ酷いもんだな」
「あと1年、ううん……私はいつ死んでも構わないの……だけど、私が死んだら……死んだあとのリヒトお兄ちゃんが心配なの」
「リタ……それは、私もいっしょだわ」
「あと1年かぁ~どうにかリヒトくん、幸せに出来ないかな」
「リヒトお兄ちゃん……きっと私達が死んだら復讐に生きそうだもんね……」
私達が死ぬのはどうでも良い。
だけど、私達が死んだらリヒトはどうなるの?
凄く悲しむと思う。
それだけじゃない……ライトに復讐に行くかも知れない。
相手は悔しいけど勇者……ライトじゃ勝てない。
だから、復讐なんてしないで楽しく生きて欲しい。
私達なんて忘れて良いんだからね……
「まぁ、まだすぐに死ぬわけじゃないから、リヒトに復讐なんて考えられない位幸せになって貰おうよ」
「そうだね! それしかないな」
「うんうん、私達が死ぬ時まで、目一杯頑張ってリヒトお兄ちゃんに笑顔になって貰おう」
私達が死ぬとき……リヒトには泣かないで貰いたい。
出来る事なら『笑顔で見送って欲しい』な。
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