第29話 聖女SIDE 確信
リヒトを追放して1年がたった。
あの後、2回程『メンバーに戻らないか』と冒険者ギルドを通して伝えて貰ったけど、答えはノーだった。
半年前には完全にリヒトは諦め新しいメンバーを募集した
魔国への歩みを進め過去の事を知らない地域まで来たら、簡単にメンバーは決まった。
「どうだ!? 少しは慣れたか?」
「はい……ですが、本当に役立たずで申し訳ございません」
「謝る事は無いぜ! レブロとはポーター契約なんだ。 荷物を運ぶだけで良いんだ! 本当に危なくなったら俺達を置いて逃げても良いんだからな!」
ライトは本当にかわった。
レプロはリヒトの後釜として仲間に入れた子だ。
家事や身の回りの世話や書類関係はリヒトより数段落ちるが出来る。
だが、Aランクの冒険者だけど能力はリヒトに及ばず、戦闘はからっきし……駄目だった。
だから、戦闘になると一切戦わずに防御に徹している。
守られやすい様に私の傍かリリアの傍に居る。
戦うのはライトとリメル、後ろから魔法攻撃するのはリリア。
そして私が回復魔法を掛ける。
これが勇者パーティ、漆黒の風のフォーメーションだ。
ライトは勇者らしくなり、レプロを弟の様に可愛がっている。
質の悪い女癖は納まり……本当に同一人物なのか?
そう思うほど変わった。
◆◆◆
「勇者様、おかげで村が滅びずにすみました……ありがとうございます」
小さな村に駆けつけて来て、20を超えるオーガから救った。
いつも私達の前で剣を振るい魔物を討伐するライトは正に勇者だった。
「気にする必要は無いぜ! 人々を救うのが勇者の務めだ! 弱い者を守る為に剣を振るい人々の希望を与える。それが俺が目指す勇者だ! 俺は当然の事をしただけだ」
「「「「「勇者様」」」」」」
「カッコつけすぎだよ、ライト!」
「うんうん、カッコつけすぎ」
「ライトさんカッコよいです! 俺一生ついて行きます」
人々を救い絶望を希望に変える。
私にとっても理想の勇者だ。
「勇者様、今宵は歓迎の祝宴を開きますじゃ……」
「感謝なら言葉で貰った。決して裕福じゃないのだろう? 俺の為に祝宴を開く位なら、皆で分け合って食べた方が良い。 それに今も苦しめられ、俺達を待っている人が居るんだ! 俺は最短で強いくなり魔王を倒さなくちゃいけないんだ……それじゃぁな! リメル、マリアンヌ、リリア、レプロ行くぞ!」
「「「「はい」」」」
私が夢見た勇者パーティが此処にある。
◆◆◆
魔国が近くなるたびに敵が強くなっていく。
激戦につぐ激戦。
そして遂に私達は最大の敵魔族に遭遇した。
今迄戦っていたのは魔物……魔族じゃない。
人間と同等の知能を持つ存在。
それが魔族。
「貴様が勇者ライト達だな! 我が名はカルダモン。天敵である魔族である! お前達の旅は此処で終わりだ……死ぬが良い! いけーーーっ!」
はじめての魔族との交戦。
勇者パーティとしての本質が試される場面です。
ざっと20人の魔族が待ち受けていました。
「いかにも俺は勇者ライトだ! 貴様みたいな雑魚など恐れはしない! リメル行くぞ! マリアンヌは聖属性の結界をリリア達へ……リリアはレブロを守りながら後方から魔法をぶち込めーーっ」
私達三人はライトの作戦に頷いた。
「はぁぁぁぁーーーっ」
ライトに続きリメルが突っ込んでいく。
「ホーリーサークル」
私は光のバリアでリリア、レブロ自分を守る結界を張った。
これでまずは大丈夫。
「ファイヤーボール」
リリアが魔法を放つ。
これが私達、漆黒の風の今の戦い方だ。
「その戦い方なら、もう知っておる! 一対一になるな! 数で押すんだ1人に三人以上で対処しろ」
「「「「「「「「「「はっ」」」」」」」」」」
「リメル……少しだけ俺を守ってくれ!」
「解った!」
「勇者のみが使える光魔法と剣術を合わせた技! ライトニングバード」
光でつくられた大きな鳥がカルダモンたちへ飛んでいく。
「綺麗……」
リリアがそうつぶやいた。
そして大きな光を放ち爆発した。
「うわぁぁぁぁーーー」
悲鳴と共に魔族が消し飛んだ。
光属性の勇者のみが使える魔法ライトニングバード。
それを使い魔族を圧倒する……姿。
やはり、ライトこそがこの世を救う救世主……そう確信した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます