第28話 ブッフェ
「あれ!? もしかして待たせちゃった?」
かなり早目に出て来たんだけど、三人は部屋でもう寛いでいた。
しかし、この浴衣って凄いな。
一見清楚に見えるんだけど、動く度にちらっちらっと下着が見えて……あれ!?
下着が見えない。
「少し前に戻って来たばかりだよ……それより、リヒト目が怪しいよ!」
「うんうん、なんで僕の太腿見ているのかな?」
「リヒトお兄ちゃん、溜まっているなら、今からでもする?」
「いや、そう言うのじゃないから……う~ん、ビキニアーマー来た冒険者が居たら、つい見てしまう男の性みたいな物だよ。 つい気になってチラチラ見ちゃうんだけど、下着が見えないなって……」
「あ~それ? 下着を身に着けないのがマナーだって書いてあるの」
「うんうん、驚きだよね!」
「確かに着崩すとうん、見えちゃうね。だけどここにはリヒトお兄ちゃんしか居ないから関係ないよね?」
これも異世界から来た勇者のおかげか……
何を広めているんだか……だが、こう言う健全なエロは大歓迎だ。
「そうだね、それじゃディナーブッフェに行こうか? 」
「ディナーブッフェって食べ放題の事なんでしょう? 凄く楽しみだね」
「肉も食べ放題なんだよね? 思いっきり肉を食べるぞーーっ」
「うんうん、スィーツってお菓子なんだよね? これも食放題なのかな?」
「全部食べ放題で更に飲み物も飲み放題なんだってさぁ、幾ら食べてもお金が掛からないから、思う存分食べると良いよ!」
「「「うん」」」
その分、宿泊費が高いんだけどね、まぁ幾ら食べても金額は変わらないんだから、幾ら食べても構わないよな。
特にケイトは大食いだから……元は取れるだろう。
◆◆◆
「なんだ、これは……まるで王宮晩餐会みたいじゃないか? まぁ見たことは無いけど」
只の食べ放題なら経験はあるけど、こんな風に沢山の料理が置いてあるのは見た事が無い。
「こんなの見たことないよね……お肉にお魚、なんでもある」
「あっ!? エールも飲み放題なんだ」
「凄いよ……あっちにはケーキ迄ある」
「いらっしゃいませ、宿泊のお客様ですか? カードはお持ちですか?」
俺はあらかじめ宿泊時に貰ったカードを渡した。
「はい、それではテーブルへご案内させて頂きます」
本当に凄い。
照明はシャンデリアだし……テーブルも椅子も豪華だ。
「「「「……」」」」
四人して驚きの余りつい黙ってしまう。
「こちらの席をご利用下さい。 食器やコップはあちらからお持ちいただき、お好きな料理やお飲み物を好きなだけおとりになり自由にご飲食下さい。但し取られたお食事や飲み物は残さずお食べになるようお願い致します」
本当にこれ全部食べ放題なのか?
「ありがとうございます」
俺たちはお礼を言うと、食事を取りに向かった。
「これは……」
「ミノタウルスの肉を使ったローストビーフでございます。 お切りしましょうか?」
「是非、お願い致します」
凄いなシェフが態々切って取り分けてくれるのか。
俺の皿に分厚いローストビーフがのせられた。
ソニア達も食べたいおかずをお皿にこれでもかとのせている。
俺の方は……
「これ、なに?」
「カニです。殻をむくのが大変ですが結構おいしいんですよ! 横のハサミを使って殻を切りながら食べます」
「それじゃ貰おうかな」
俺はカニという変わった生き物を皿に盛った。
他にも気になる料理を皿に盛りつけテーブルに戻った。
皆は……凄いな。
全員が驚くほどの量を持ってきていた。
ソニアはバランスよく、ケイトは肉料理を中心に大盛りに盛り付け、リタはスイーツばかりを皿に盛っている。
料理の盛り付けを見ると性格が良く解る。
「それじゃ、食べようか? いただきます」
「「「いただきます」」」
意味は良く解らないが、そう言ってから食べるのがマナーと書いてあったので言ってみた。
周りを見ると特にマナーは無いみたいなので、普通に食事を進める。
このホテル凄く良い。
観光地ってこういう世界なのか?
「リヒト、食べてる? なにかとってこようか?」
「ステーキも凄く美味いお勧めだ」
「リヒトお兄ちゃん、このケーキ美味いよ! ショートケーキって言うんだって」
「ソニア、自分でとりに行くから大丈夫だよ」
魔王討伐なんて騒いでいるけど……ここは全くの無縁な世界の様な気がする。
案外、魔国から離れた場所は戦いと無縁なのかも知れない。
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