第20話 聖女SIDE 新しいメンバーは


冒険者ギルドに仲間の募集に来た。


今の私達には雑用係が必要だから……


「漆黒の風のマリアンヌ様ですね……パーティメンバーの募集ですか、それは出来ませんね……」


「何故出来ないの! 私達は勇者パーティなのよ!可笑しいわ」


「マリアンヌは聖女、私は剣聖、横のリリアは賢者だ、可笑しいだろう?」


「そうよ、冒険者ギルドがメンバー募集に応じないなんて可笑しいよ」


幾ら悪評が高くても勇者パーティなのですから、この対応は可笑しすぎます。


「理由は幾つかありまして……まずは勇者の素行です。女性三人を魅了を使い犯した挙句玩具にしていた事がリヒト様の告発で解っています。そして、それを三人は一切止めない事。そんなパーティには怖くて冒険者を紹介なんて出来ませんよ! ギルドとは冒険者を守る為にあるのですから」


「そうですか……確かにライトがした事は人として最低ですが、それでも勇者なのです! 募集はかけられる筈です。 彼の立場は……勇者なのですから」


「貼り紙をしても誰も来ませんよ! 貼り紙には情報で『身の危険あり』と記載しますし、女性の場合は『犯されるリスクあり』と記載しますから……ギルドの募集では嘘は書けません……尤も、そんな貼り紙も今はお断りします」


「そんな貼り紙じゃ意味はないわ。だけど何故貼り紙も出来ないの?」


「リスク説明は兎も角『出来ない』のは可笑しいよな?」


「なにか理由があるの?」


「勇者パーティ所属のリヒト様が、冒険者30人と揉めまして、全員を不自由な体にした挙句『勇者保護法』を使って鉱山送りにしました。そのうち三人の冒険者はリヒト様からの嘆願書で鉱山から帰って来たそうですが……その際、その関係者の女性の皮を剥いで、一生消えない残酷な仕打ちをしたそうです。鉱山送りは実質的に『死』と同じです。だれも帰って来れず、鉱山で死にます。そんな危ない狂人ばかりのパーティに人なんか紹介出来ませんよ」


「「「あのリヒトが……」」」


あの真面目な彼がそんな事をするなんて信じられないわ。


「なにか理由がある筈です」


「理由は解っています。 仲間の三人を侮辱されたからです。 その気持ちは解らなくないですが……30人からの人間が鉱山送りになったのです。はっきり言います! 貴方達が彼を追い詰めたからリヒト様は、修羅のような人間になってしまわれた『英雄リヒト』と呼ばれた優しい彼は何処にも居ません」


「「「リヒトが……」」」


私達が、ライトを止める事が出来なかったから歪んでしまったと言うの……


いや、あの何年も続いた地獄の環境。


どんどんと目が曇っていった。


最後に見た彼の目は光を失っていた。


あの恨みに満ちた彼ならやりかねない。


「勇者パーティにこんな事を言うのは気が引けます……それでも言わせて貰います。 貴方達に冒険者は紹介出来ません! これは私だけじゃなく冒険者ギルドの総意です」


「ですが、私達は、それでも仲間が必要なのです」


「我々を世話してくれる仲間が……」


「そうよ、魔王討伐の為に」


確かにライトは酷い人間ですが、それでも勇者。


魔王を倒せる可能性のある僅かな存在、此処を引く訳にはいかない。


「それでも無理な物は無理です」


「それでも私は、いや私達は……」


「それなら、俺が従者をしてやってもいいぜ……」


後ろから冒険者達がやってきました。


「本当ですか?」


「いいぜ、但し、お前達三人が俺達の性処理をしてくれるんだろう?」


「「「なっ……」」」


「聖女や剣聖、賢者がやらしてくれるなら良いかもな? 俺も立候補するぜ」


「何を可笑しな事をいうんですか! そんな事する訳無いじゃない」


「頭可笑しいんじゃないか? それ以上の暴言は許せない」


「賢者の魔法の……」


「あん!?  だってよう……お前達の前の勇者の仲間は勇者の性処理をしたし、広く民衆に抱かれていたじゃないか? その後任だと言うなら、仲間の性処理位してくれるんだろう?」


「そうそう……魔王討伐の為に協力してやるから、やらせろよ」


「駄目だ、マリアンヌ行こう」


「そうね……」


ライトが馬鹿な事したから……冒険者ギルドはきっともう力を貸してくれない。


それより……リヒト、貴方はどうなってしまったのですか?

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