第19話 そんなに言うなら
朝になりホテルを出ようとしたのだが……
なんだ、これ……
ホテルの外には沢山の女性や子供が居た。
嫌な予感がした俺は……
「皆は、部屋に戻って、すみませんもう一泊します」
そう言って、ソニア達を下がらせた。
カウンターにいた俺を見つけた彼女達は俺の方へ走ってくる。
斬るか……
明らかに殺意に満ちた表情に思わず剣を抜こうとしたが……
「お願いです! 夫、夫を返して下さい」
「お父さんをお父さんを返せーーっ」
そうか、襲撃者の身内か……
「お前等の家族は犯罪を犯した、その結果法律に則って裁かれた。なにか問題があるのか?」
「あの人は、あの人はーーーっ、私が酷い目に遭ったからやり返そうとしただけだーー」
「お父さんは犯された……ハァハァ私の為に、動いただけ」
「ケビンは私の為に……」
馬鹿じゃ無いのか?
「それなら、何故勇者ライトを襲わない! 何も出来ない無抵抗な人間を犯し、辱め暴力を振るっていただけだろう? あの日も、俺に金を払って暴力を振るおうとした。断ったら逆切れして襲ってきたんだぜ……そんな奴、鉱山送りになっても仕方ないだろう?」
「勇者になんて、何も出来る訳ない……だから、私達は……」
「無抵抗なソニア達に暴力を振るっていただけだろうが! 彼女達の体には、ライトが傷つけた以外の傷がある。散々痛めつけて傷つけて罵って、それを拒んだら襲って良いのか? はっきり言うぞ! お前等の夫や恋人や父親よりはライトの方がマシじゃねーか?」
ソニア達には違う……
だが、此奴らに関して言うなら、2回は犯して無い。
金で買っているとはいえ、何回も暴力を振るい続けた此奴らの旦那や父親の方がクズだ。
「それは……」
「だけど、ちゃんとお金を払っていたわ」
「だーかーら、過去は関係ないだろう、今回は売らないと言ったのに無理やりしようとしたから問題になったんだろう? 勇者ライトの一番の被害者はあんた達じゃねーよ。ソニア達だ」
「だけど……鉱山は酷いよ……酷すぎる」
「働き手を失ったら、私達は生きていけないんだ……鉱山送りなんて言うが、生きて帰って来る者はいない、実質死刑と同じじゃない?」
「確かに酷いとは思う……だけど、あんたの想い人は生きているじゃない……私のお父さんは死んじゃうんだよ」
「そうだよ……殺す事ないじゃないか?」
「本当にそう思うのか……それなら、お前等の中で彼女達と同じ目に遭っても、想い人が死なないだけ良い……そう思っている奴がいるなら言えよ! 俺が銅貨3枚で買ってやる。俺に銅貨3枚で体を売れるなら、許して貰えるように嘆願書をやる。俺のサイン付で勇者パーティとして書いてやるから、許して貰えるだろうよ。ただ、お前等の旦那や恋人や親父は最低の事をしたんだ……同じ位の地獄は見る事になるぜ……どうだ?」
「少し考えさせて……」
「考えさせて下さい」
「そうか、それなら、少し俺は外の空気を吸ってくる。 もし、受け入れる気があるなら、このまま残っていれば良いさぁ……だが、お前等の愛はそんな物なんだな。俺なら大切な人の為なら、即決できめるけどな……まぁ良いや」
良い事、思いついた……
◆◆◆
「なんだ、6人しか残ってないのか? 皆薄情なんだな」
「あの……本当に、銅貨3枚で体を売れば、嘆願書を書いてくれるのですか?」
「約束ですよ」
「絶対ですからね」
「ああっ、その代りこの世の地獄を見て貰う……暴力込みだからな」
「そんな……」
「彼女達がどんな事をされていたか、解るだろう? 同じ位の事はされると覚悟をするんだな……それに耐えられるならな」
「「「「「「なっ」」」」」」
「嫌なら良い……お帰りはあちら……」
顔を青くして三人が去っていった。
三人も残れば問題は無いな。
「残った3人は、やるんだな……」
「「「はい……」」」
死にそうな顔をしているが、お前達が思っている以上の地獄が待っているからな。
◆◆◆
「皆、理由を聞かずにこれ飲んでくれる?」
部屋に戻ってソニア達にポーションを渡した。
「これは、眠りのポーションじゃない」
「僕を眠らせてどうするのかな?」
「あっ、もしかして眠っている私に色々したいのか?」
「まぁねま駄目かな?」
そう言う話でいいや。
色々する事は本当だし……
「まぁ、リヒトがしたいなら良いよ」
「そうだね」
「大丈夫だけど……お兄ちゃんも男の子なんだね」
疑いもせずに、飲んでくれた。
きっと、優しい彼女達なら、反対するかも知れないから……これで良い。
◆◆◆
あらかじめ残った3人には別室を借りて飲み物を勧めておいた。
眠り薬を盛ったから、そのまま寝ている。
今回、盛ったのは魔物ようの眠り薬だから、何をしても半日は起きない。
ソニア達に盛ったのも同じだ。
この部屋にソニア達を運んできた。
6人を手早く脱がし……まずはソニアの傷のついた部分の皮を手早く剥いでいく。
体のあちこちから肉や骨が見えて痛々しい。
今度は眠らせた名前も知らない女の皮をかなり深く剥いでいく。
移植する場合は皮の下の細胞ごと剥がないとならないらしいから……もうこの傷は治らないな。
そして剥いだ皮をソニアに貼り付けていく。
全部貼り付けた状態でポーションをかけた。
成功だ。
肌のつなぎ目に薄い線が残るけど、全然目立たない。
それにこの程度の傷なら多分放っておけば時間と共に消える。
背中の『リヒトの物』これを残して他の部分全部の皮を貼った。
元の女は、ポーションをかけたが……まぁ傷だらけだ。
まるで体を代えたみたいだ。
同じ事をケイトとリタに行った。
これで良い……
助かった。
皮を移植すれば治る事は解っていたけど……皮を手に入れる方法が無かった。
奴隷でも最低線の生活保障をしなくちゃいけないから皮なんて剥げない。
『自分からして良い』なんてついている。
ソニア達は暴力を振るわれたり、ナイフで傷つけられた事もある。
それを何年もされていたんだ。
1回で済ませてやるんだから、俺は優しいよな。
約束だ。
銅貨9枚を置いて、嘆願書を書き上げ、テーブルに置き部屋を出た。
◆◆◆
早く立ち去った方が良い。
「馬車を手配してくれるかな」
「はい」
三人が起きる前に馬車に乗せ……ホテルから立ち去った。
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