第16話 勇者SIDE これからは


俺は小さい頃から浮いていた。


リヒトは誰とでも仲良く出来、親たちも可愛がる。


俺の親たちも『リヒトを見習え』と小言ばかりだ。


だが、それも仕方が無い。


早くに両親を亡くした彼奴はよく親の手伝いもしていたし、明るく、優しい。


だから、それは当たり前の事だ。


こんな、俺にも優しい奴なんだから……仕方ない。


地頭も良く、明るく人気者。


それがリヒトだった。


俺の唯一の親友だ。


リヒトの他に俺には幼馴染が三人いた。


それが、ソニア、ケイト、リタだった。


三人の幼馴染の女の子はいつもリヒトに夢中で俺のことは眼中に無いようだ。


『ごめんね、リヒトと遊ぶからライトは何処かに行ってくれるかな?』


『いま、リヒトと遊んでいるんだライトは遠慮してくれるかな?』


『ライトと遊んでもつまらないんだもん。ごめんね』


5人で仲良く過ごしていた筈だったのに気がつくと俺は仲間外れ状態。


リヒトは俺と遊んでくれるが、三人は俺を露骨に嫌っている。


自然に、俺は5人の輪から外れ1人になる事が多くなった。


リヒトは俺から見ても『良い奴だし仕方が無い』そう頭で理解する反面。


『リヒトが羨ましい』


そう思うようになった。


いつも皆の中心に居て……幼馴染にも愛されているリヒト。


それに比べて俺は……孤独だ。


リヒトは俺にも優しく声を掛けてくれる。


1人で居る俺も輪に加えようとしてくれる。


だが、そこは俺にとって居心地の良い場所じゃない。


そこに俺の居場所は無いんだリヒト……


だって、リヒトと違って幼馴染の三人は露骨に嫌な顔をしてくる。


邪魔者なんだよ……俺は。


『リヒトお前は良いな』


そう思うようになった。


人気者でよう……


◆◆◆


俺達の村では、15歳になったら、成人の儀式を行い、職業(ジョブ)を貰う。


このジョブが重要でその後の人生を左右する。


先にリヒトや、幼馴染は儀式を終え、リヒトは剣士、ソニアは回復師、ケイトは剣士、そしてリタは魔法使いのジョブを貰っていた。


神官様から紙を貰い神官の杖に合わせて祈りを捧げる。


すると、紙に自分のジョブが出てくる。


普通、それだけだが、俺の時は少し違っていた。


空が光り輝き、天使が現れた。



天使が降りてきて、真っすぐに俺の所にくる。


天使は俺の手をそっと握った。


これは4大ジョブ(勇者 聖女 剣聖 賢者)の場合に起こる現象だ。


恐らく、俺は「勇者」「賢者」「剣聖」のどれかのジョブになる。


俺のジョブは「勇者」だった。


「これは凄い、何とライト、いやライト様のジョブは勇者だ」


「勇者」


俺は戸惑いのなか、司祭や他の皆んなに囲まれていた。


◆◆◆


勇者になった俺は魔王討伐の旅に出なければならない。


本来の俺の仲間は 聖女、剣聖、賢者だ。


運命に導かれ、出会えると言われている。


だが出会えるのが何時か解らない。


本来の仲間に出会うまでの臨時パーティとして、村長が頼み、リヒト、ソニア、ケイト、リタが俺の仲間に加わった。


だが、これが間違いだった。


今迄以上に俺は孤独になっていった。


連携も上手くとれ戦闘と言う事なら問題は無い。


リヒトは俺と普通に付き合ってくれているが……3人は露骨に俺とリヒトで今まで以上に差をつけるようになった。


当たり前と言えば当たり前だ。


俺は村には帰らない。


真の仲間である聖女たちに出会い魔王討伐の旅を続け、将来は四職の誰か、もしくは貴族、王女と結婚する。


それに対して三人のうちの誰かがリヒトと結婚。


残り2人も村で一緒に暮らす。


あの四人は俺とは違い生涯一緒に暮らす可能性が高い。


もし、村で暮らしていたら、リヒトが選ばなかった二人のうちどちらかが俺の嫁になった可能性もあった。


それが無くなった今……俺と仲良くする意味が無いのだろう。


やがて、リヒトはソニアを婚約者に選んだが、それでも4人で仲良くしていて、俺が入り込む隙間は無かった。


◆◆◆


そんなある日、レベルが上がった時だ、俺は『魅了』のスキルを手に入れた。


このスキルを手に入れた時、俺は密かに小躍りをしたのを覚えている。


孤独に耐えかねた俺は、ソニア、ケイト、リタに『魅了』を使った。


これで、俺の孤独は埋まる……そう思ったが……可笑しな事に、状況は何も変わらなかった。


だが、その日から三人はうなされるようになり、1週間も経つ頃にはリヒトと俺の扱いが逆になった。


なんだ、ちゃんと効くじゃないか。


リヒトは悲しそうな顔をしていたが知るかよ。


今迄孤独だった分、今度は俺が楽しむ番だ。


◆◆◆


男女の関係になるのは簡単だった。


魅了が更に効いたのか『ただ犯らせろ』そう言っただけで自ら服を脱ぎ俺に抱かれた。


一番最初にソニアを抱いたのだが……その時感じたのは喜びでも快楽でも無く『なんだこんな物か』だった。


それはケイトを抱いてもリタを抱いても同じだった。


しかも此奴ら偶に抱いたあとに正常になるのか泣き出してうざかった。


今迄、リヒトが羨ましかったが……処女を奪って何回か抱いたら、どうでも良くなった。


もう独占して4人で居たいとは思わなくなった。


あんなに欲しいと思っていた幼馴染が、別の何かの様に思えた。


そこからは玩具にして遊んだ。


俺が望むままに何でもする此奴らが家畜の様に思えるようになった。


俺が命令すれば、人前でも裸になる。


普通の女なら、絶対にしない破廉恥な事もする存在。


人でなく牝豚にしか思えなくなった。


そのうち、此奴らに欲情した冒険者が『犯らして欲しい』というから貸し出してやった。


最初は嫌がって泣いていたが『魅了』のせいか俺が命令すれば平気で誰とでも寝る女になった。


こうなれば……もう只の『公衆便所』だ。


何処までやるのか、堕ちるのか試したくなり、避妊するのを禁じたり、1人ではなく10人以上に犯させた事もあった。


だが、最初は嫌がっていても、俺が命令すると喜んで最後はやる。


気持ち悪い玩具になった。


その結果、何回も妊娠して中絶。


性病にも何回か掛かり……商品としての価値は無くなった。


この頃にはもう、此奴らを見るのも嫌だった。


リヒトが悲しそうに此奴らを見ていた。


こうなる前から『使わしてやる』と言ったのに……彼奴は頑なに使わなかった。


魅了されるまではかなり時間がかかる。


旅から旅だから、他の女に使えないから……此奴らを使って攫ったり脅したりして色々な女を犯した。


◆◆◆


そんなある日、とうとう俺は真の仲間たちに会う事が出来た。


本当の俺のパーティだ。


リリアやマリアンヌが俺に三人の事を咎めてきた。


もう薄汚いから本当は要らない。


だが、文句言われ腹がたったので解放しなかった。


残念な事に三職(聖女 剣聖 賢者)には魅了がきかない。


やがて、リヒトが全く戦闘で役に立たなくなった。


それ処か、俺達の世話も雑にしかしなくなった。


このまま傍に置いていても最早意味は無い。


此奴は牝豚と違い、俺が今迄の人生で唯一仲良かった人間だ。


可能なら傍に置いて置きたかったが、一緒に連携が組めない程実力差が開いてしまった。


仕方なく追放する事にした。


その時、リヒトが牝豚を3人とも欲しいと言うからくれてやった。


今迄は馬鹿をやっていたが、此処からは馬鹿はやらない。


勇者らしく表舞台に立つつもりだ。


リヒトが貰ってくれるなら丁度良い。


あんなゴミみたいに薄汚い女が欲しいなら……餞別かわりだ。


もう思う存分遊んだ。


此処からはもう馬鹿はやらねー。


取り返しがつくうちに『遊び』はやめる。








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