第8話 ケイト 姉から恋人へ
「もう良いんじゃないかな? 僕相当頑張ったよ。沢山サービスしたんだから、そろそろライトの所へ帰してくれないかな?」
「うんうん、ソニアが居るなら私は要らないじゃん。帰してよ! ねぇ良いでしょう?」
喋るのを許可した途端これだ…….
「ケイト、リタ……正気になってよ……」
「無駄だよ、ソニアまだ魅了が抜けきって無いからね」
「正気になったから解るけど、あれは本当に恐ろしいわ……心が全て塗り変えられていくの……自分では何が正しいか解らなくなってね。ライトの言葉こそが正しいと思えて、従うようになる『魅了』なんて言うけど、あれは『洗脳』に近いのかも知れないわ」
只の洗脳じゃなく、ライトが物凄く魅力的に見えるのも恐らくある。
とは言え、ソニアを取り戻した。
今迄は1人で頑張ってきたが二人になれば出来る事も沢山あるかも知れない。
「さて、これからどうしようか?」
「それでね、リヒト自分の状況から考えて見たんだけど、良い方法があるわ」
「良い方法?」
「結構、ハードだけど……これなら確実に自殺は防げるから多少の油断は大丈夫だと思う」
ソニアに詳しく話しを聞く事にした。
「確かにそうだね。なんで俺はそれに気がつかなかったんだろう」
「この方が確実でしょう?」
ソニアが提案してきた方法は拘束をした状態で今の行為を続ける事だった。
だけど……
「良く考えたら『奴隷紋』を刻んであるから、その瞬間さえ間違えなければ問題無いし、拘束してしまえば行為その物が限られてしまうから無理だよ」
「そうだね」
結局、そのまま今迄どおり続ける事にした。
ソニアがとけたのだから、そろそろ他の皆の魅了もとける頃かも知れない。
◆◆◆
いつもの様に行為を続けていた。
今迄は三人相手に頑張っていたが、ソニアが俺のカバーに回ってくれているから少し楽だ。
「リヒト、お前が望むならなんでもしてやる! だが、僕の心は絶対に奪えない……僕の心はライトだけの物だ」
「それでも俺はケイトを愛しているよ」
今、リタは奴隷紋で座らせて、ソニアに見て貰っている。
あの後話し合って『個別撃破』を狙う事にした。
ソニアが正気に戻ってくれたからこそ出来る事だ。
「姉弟の様に育った私に奉仕を求める変態め……どこでこんな変態に育ったんだか……いい加減満足しただろう? 解放してライトの元に帰してくれ」
言っている事が真面だから反応に困る。
「約束の1か月までまだ半分も経ってない……反故にするなら一生解放しないぞ」
「解ったよ……リヒトは本当に酷い奴だな……変態、悪魔」
「……」
何も言い返せないな。
「なぁ、お前は婚約者のソニアと結ばれたんだから、僕がライトと結ばれる未来があっても良いんじゃないか? 応援してくれないのか?」
ライトが真面ならそれで良い。
そういう未来でも良かったんだ……だがあいつは頭が可笑しい。
だから、彼奴には渡せない。
もう引き返せない。
ソニアは婚約者だ。
だが、ケイトは姉の様な存在。
確かにただの幼馴染で血なんて繋がってないけど……本当はこんな事して良い存在じゃない。
だけど……今日のケイトはいつもと違い、随分と真面な事を話している気がする。
「ううっ、リヒト……僕は、僕は……死んでお詫びするーーーっぐはっ……はぁぁぁぁーーっ」
『待て、死ぬな』
嘘だろう、いきなりだ。
瞬間を見逃した。
ケイトが屈みこんで顔が見えない状態でしていたから、表情が読み取れず決定的瞬間を見逃した。
だめだ……静止がきかない。
気のせいか奴隷紋の効きが悪い気がする。
ケイトは手刀で自分のお腹を切裂こうとして今、お腹に手刀がめり込んでいる。
「ケイト頼むから死なないでくれーーっ! ソニアヒールを早く」
「ヒールよりポーションの方が速いわ」
俺はケイトの手刀をお腹から引き抜こうとするが……
「リヒトお願いだ!ハァハァこのまま死なせてくれ! 私は本当に最低の人間なんだ。生きているとお前に迷惑がかかる……頼む、お願いだ」
ヤバい手を引き抜こうとしたら、指で腸を引っ掛けている。
このまま引き抜いたら大惨事だ。
説得しかない。
「なぁケイト、俺はそれでもケイトに生きていて貰いたい……好きなんだ」
「好き……確かにそうだろう。僕とリヒトは姉弟の様に育ったからね。だけど、リヒトが僕に望むのは『姉』としての僕だろう? そこに男女としての愛は無い筈だ……ハァハァ違うかい」
痛い所をついてくる。
此処迄来たら、もう全て飲み込むしかないな。
「ケイト姉……今の姿を見て。もう男女の関係になっているじゃないか?」
「なっ……確かにそうだけど……それは私が……ハァハァ」
俺は、ソニアの方を見た。
笑顔で頷いてくれている。
「もう、男女の関係になっているじゃないか? 確かにケイトは姉さんみたいな存在だけど、クズに寝取られたから解った。 もう誰にも渡したくない。家族として恋人として傍に居て欲しい、駄目かな」
「だが、僕はリヒトの前でもライトに抱かれて、ハァハァ、それ処か体を売っていた女だ……そんな汚い女なんだ」
手刀の横から血が噴き出してきている。
急がないと不味い。
「それを言うなら俺も同じだ。姉の様な存在を抱いているんだからな……」
「ハァハァ、ねぇリヒト、本当にハァハァ僕が欲しいの? 僕が本当に欲しいって言うなら……僕……は」
「欲しい……姉の様な存在としても恋人としても……」
これは本来の関係じゃない。
だが、この関係じゃ無ければケイトに傍にいて貰えないし、助ける事は出来ない。
「そう……ハァハァ、だけど足りないよ……僕に傍に居て欲しいなら『お嫁さん』じゃなくちゃ駄目……こんな汚い僕だけどお嫁さんにしてくれるなら『リヒトが死ね』って言う日まで生きるよ、どうかなハァハァ」
「……」
「即答出来ないよね……ソニアは婚約者で僕は……」
迷っている暇はない。
「解った、婚約、婚約で良いから」
「うん、それなら僕、リヒトが要らないって言うまでリヒトの物として生きる……から」
「良いから、手を早く抜いて、ソニア早くポーションをかけて」
「解った、はい」
ケイトの体はぶるぶると震えていて顔が青い。
手で切腹しかけていたんだ当たり前だ。
ケイトは、きっと1人じゃ生きていけない程傷ついている。
ソニアともそうだが、ケイトとも一生離れることは出来ない。
もう、姉貴分じゃなく男女の関係でしか過ごせないのが少しだけ寂しい......
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