第6話 帰路
狭いシャワー室の個室に二人で入る。
紫苑のマスクの鍵は開けられないので、ナイフでチャックを壊してもらい、ズポ!っとリアンから取り外す。
そのときにマスク内に溜まった唾液と汗がビチャ!っと音を立てて床に広がってしまった。
「凄い汗…このままじゃ脱水になるわ。待ってて?」
「ふぅ…ふぅ…うぐぅ…」
(はぁ…はぁ…顔見られてる…見ないでくれ…)
リアンの顔は汗と涎と鼻水と涙でぐちょぐちょになっていた。
こんな情けない顔を見られてしまい顔を真っ赤にする。
そんなリアンにはお構いなしにルナはテキパキとレオタードとラバータイツのチャックを腰まで下げ、リアンから引きはがす。
蒸せるようなゴムとリアンの匂いが合わさった蒸気が立ち上る。
「はい、口開けて?」
「むぁぁぁ…がはっ!ぶふ!げほっ!げほっ!」
猿轡を外され、ビチャっ床に唾液をぶちまける。
その時にリアンの唾液がルナの手にもかかってしまった。
「あっ!ごめんなひゃい!手によだえが…」
「気にしないで。水飲める?」
「ひゃい…ごく…ごく…ごく…」
ずっと猿轡をされていたせいでリアンはまとも喋れていない。
そんなリアンの口にルナはペットボトル飲料を運ぶ。
至れり尽くせりであった。
そしてお腹にくびれを作っていたコルセットの紐も緩めてもらう。
紐が緩むたびにリアンの肺の中に蒸れた空気が入っていく。
「キツイ…縛り過ぎよこれ。苦しかったでしょ?」
「はぁ…はぁ…ふぅぅ…はい。でも毎日のように付けてたんで慣れちゃって…」
「慣れって怖いわね…」
「ぷはぁ!はぁ…はぁ…ありがとうございます」
その後ラバータイツとレオタードをお尻まで下られた…のだがお尻の部分で止まってしまう。
そう、あのふわふわ尻尾のアナルディルドで止まってしまったのだ。
「ごめんなさい…ちょっと見ないでもらえますか?すごく汚いんで…」
「え?わかったわ」
リアンは顔を真っ赤にしながらルナに背を向けるように促す。
流石にアレを抜くところを見られたくはないのだ。
そして尻尾に両手をかけ、息張りながら引っ張っていく。
(はぁ!はぁ!はぁ!く…抜け…ない…太すぎる…)
いつも付けられている物よりも簡単に抜けない様になっている。
リアンは口を開けて肛門の筋肉を緩め、またゆっくりと力を入れていく。
「はぁ…はぁ…うぅっ…うぐ…」
「ねぇ大丈夫?苦しそうだけど…手伝ったほうがいい?」
「いま…声かけないで!ください…うっ…うぅ!いっ…いぎっ!」
にゅぽん!「いぐぅぅぅ!!」
ゴトン!
大きな音を立ててその凶悪なものが床に転がった。
リアンは思いっきり唇を噛んでいたが思わず情けない声が出てしまっていた。
その声と音に心配したルナは反射的に振り返ってしまう。
「大丈夫リアン!え…」
「はぁ…はぁ…はぁ…うぐ!見ないでって…言いましたよね?見ないでください…」
そこには顔を真っ赤にし、少し涙ぐみながら膝を落としているリアンと、ふわふわの可愛い尻尾と不釣り合いな太くて長いものが床に転がっていた。
あまりの光景にルナは自分の手で口を覆っていた
「リアン…ごめんね!お尻にまで入れられてたなんて知らなくって!てっきり前だけかと…」
「はぁ…はぁ…はぁ…前もすごいんで、また後ろ向いてもらっていいですか?」
「あっ!わかったわ!じゃあ私も脱いじゃおうかしらね?」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
普段あまり表情を変えないルナが珍しく動揺していた。
ルナはリアンがいるにもかかわらず、自分が着ていた汗まみれのメイド服やタイツなどを脱いでいく。
ルナの蒸された汗の匂いとその綺麗な肌にあてられてしまい、リアンは偽物の恥部を模した補正下着の中でアレを固く大きくしてしまった。
(なっ!?やばい!鎮まれ…くっ…ダメだ!刺激が強すぎる!俺に裸見られてもいいのかよルナさんは!無防備過ぎるだろ!)
リアンもルナに背中を向け、立ち上がる。
そしてアレをしまっている補正下着に手をかける。
今度はさっきよりも唇をギュッと噛みしめながら。
(はぁ…はぁ…はぁ…いくぞ!)
ニュポン!
「!!!!!」
ベチャ!ドロォ…
補正下着内に溜まりに溜まったリアンの白濁液が床に汚らしく広がる。
ひどい匂いだ。
きっとルナの鼻にも入ってしまっているだろう。
恥ずかしさからリアンはその勢いで黒タイツごと全部ラバータイツを脱いだ。
ビチャァ!
「!!!!!」
今までかいた汗が足先に溜まっていて脱いだ時にそれが全部流れ出てきた。
そして補正下着内に入りきらなかった精液と、失禁したときの尿まで混じっている。
あまりの強烈な匂いに思わずルナの方を振り向く。
「あ…」
「え…」
ルナは顔を真っ赤にして目を丸くしながら見ていた。
リアンに見ているのが気づかれ、サッと顔をリアンから逸らす。
リアンは耳まで真っ赤になってしまった。
「ルナさん!見ないでって言いましたよね!」
「ごめん。ビチャビチャ音が鳴ってたから気になって…」
「!!!!っぅぅ!ビチャビチャとか言わないでください!」
「本当にごめん!ごめんね?」
いつもはクールなルナが珍しく慌てていた。
二人の間に気まずい空気が流れる。
狭い個室内は二人の汗と体液が混じり合った強烈な匂いが充満していた。
その後二人は汚い体をシャワーで綺麗さっぱり流し、車に乗って所属している事務局まで帰っていた。
ルナは運転しながら未だにムスッとしているリアンに謝っていた。
「機嫌直して?あとでなんか奢ってあげるから…ね?」
「…もうそれはいいです。でもなんで黙ってたんですか?ルナさんが桃花に入ってたの…俺知らなかったんですけど?助けてもらったことには感謝してますけど…」
ルナの潜入捜査について聞き出していた。
リアンはルナが同じ現場に潜入しているとは知らされていなかったからだ。
ルナは運転中だというのに目をキョロキョロと泳がせる。
「あ~…それもごめん。リアンの補助に入れって上から言われててね。でも声で私って気づかなかったかしら?」
「いつもの声と全然違ったんで…声優さんが副業でやってるのかなって思いましたよ」
「そう…まぁ敵を騙すのは味方からって言うからね?あはは…」
「笑ってごまかさないでください!」
「ごめん…」
屈辱の三週間のうっぷんが溜まっていることもあり、リアンはかなり強く出ている。
日頃はルナに頭が上がらない関係性なのだが。
しかし同時にリアンはルナに絶大の信頼を置いている。
実際リアンはあの場で寝落ちしてしまった上に、敵に捕まってしまうという失態を犯している。
それをルナが全部カバーしてくれたからだ。
ルナには見えない様にドアウィンドウの方を向いてニコっと顔を緩めるのだった。
「………」
「でもすごいよかったわね?紫苑」
「ん?シオン…」
リアンはパッ!っルナの顔を見る。
ルナは普段見せないような笑顔でニコニコしながら話をつづけた。
「足がスラっと長くて凛々しくて、立ち振る舞いもスマートで…女の私が憧れる素敵な女性だった」
「なっ!!」
リアンの脳裏に紫苑になっていた時のあの恥ずかしい恰好と屈辱的な体験が蘇ってくる。
顔を真っ赤にして口が塞がらないリアンに対して、ルナはさらに紫苑の魅力を語っていく。
「ダンスの時もキレがあって…」
「ルナさん!それ以上言わないでください!あれ恥ずかしかったんですから!」
「ん?でも実際女性よりも女性っぽかった…」
「ルナさん!」
リアンは耳まで真っ赤にしながらルナを睨みつける。
ルナの顔を見ると少し意地悪な顔をしていた。
どうやらリアンをからかっていたようだ。
(ルナさんめ!そっちがその気なら…こっちだって!)
これに対し、リアンも反撃に出た。
「でもルナさんの桃花も可愛かったですよね?」
「ん?」
「アニメの女の子みたいな声で、仕草もなんかキャピキャピしてて…」
「うん…」
「本当に可愛いメイドさんみたいでしたよ?いつものルナさんとは正反対の!」
「…そうだったかしら?」
リアンの攻撃に対し、ルナは頬を赤く染めて照れている。
だが何故かまんざらでもない様子だ。
今回の件も含めリアンは到底ルナには勝てなそうだ。
夜中の道路を駆け抜ける車内は二人の声がいつまでも響いていた。
〈完〉
着ぐるみ喫茶の長身メイド 恥辱を受けながら女性として振る舞う男 MenRyanpeta @MenRyanpeta
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