第2話 紫苑の裏側 オーナーからの嫌がらせ

お店のバックヤードまでいった紫苑はポケットからカードを取り出し、タイムレコーダーにかざす。

ピッ!っという音が鳴ったのを確認すると、レコーダーの上に貼られている紙にペンで退勤時間を書き記す。

紫苑の手袋が汗で湿っているせいで、その紙が少し湿ってしまった。


「ふぅぅぅ…ふぅ…ふぅぅぅぅ…」


紫苑はマスクの中で苦しそうに息をしながら更衣室へ向かう。

店内の凛々しい姿とは違い、背中を丸め、足を内股にして力なく歩いている。

時折お尻をビクン!っと震わせながら。


紫苑は壁に手を当てながら更衣室までたどり着き、中へと入っていった。

しかし妙だ。

更衣室は更衣室なのだが、ここは"男子更衣室"である。


紫苑は更衣室へ入るとドア近くの社内電話の受話器をとり、どこかへ内線をかけ始めた。


「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」

『プルルル…プルルル…はい、どちら様?』

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」

『んっ?………紫苑ね?終わったの?今行くからね』

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…ふぅぅぅ」


電話越しから女性の声が聞こえた。

紫苑は何も言葉は発さずに受話器を置いた。

店内でも一切言葉を話さなかったが裏でも喋らないと決めているのだろうか?

電話が終ると紫苑は疲れた様子で椅子に腰を下ろす。


「うぅぅぅぅ!!」


紫苑が腰を下ろした瞬間、大きな唸り声をあげて背中をビン!っと弓なりに反らせた。

どうしたのだろうか?

座った時に変なところでも打ってしまったのだろうか?


「ふぅ!ふぅ!ふぅ!ふぅぅぅ…」


紫苑は項垂れ、肩で大きく息をしながらお尻を手でさすっている。

お尻をビクッ…ビクン!っと震わせている。

相当痛かったようだ。


コンコン!


更衣室のドアがノックされた。

紫苑はその音にビク!っと反応し、慌てて立ち上がりドアを開ける。

そこには160cmくらいの女性…いや、黄色髪のツインテールの着ぐるみメイドが立っていた。

胸の名札には"レモン"と書かれている。

紫苑と同様にタイツに包まれた首筋やメイド服の脇が汗で染みを作っていた。

彼女もまたずっと着ぐるみの中で蒸されていたのだろう。


「お待たせ」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」


どうやらこの着ぐるみメイドは先ほど紫苑が電話した女性のようだ。

声が同じである。

レモンは更衣室に入りドアを閉め、内側から鍵をかける。

そして紫苑の前に立つ。

身長差のせいで紫苑は見下ろし、レモンは見上げる形となる。

紫苑は先ほど打ったお尻を右手でギュッと押さえ、内股でお尻をビクつかせている。


「………」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…ふぅぅぅ…」


暫く見つめ合う着ぐるみメイドの二人。

お互い無言の間が続く。

いや、紫苑のマスク内の呼吸音が部屋内に響いている。

そしてよく耳を澄ませると何か振動音のようなものが聞こえる。

何の音だろうか?


「………」

「ふぅ…ふぅぅぅ…ふぅぅぅ!」


しびれを切らした紫苑が顔を横に小さく振る。

腰をビクビクさせ、どんどん前かがみになっていく。

ちょうど紫苑とレモンの顔の高さが一致したとき、レモンがやっと口を開いた。

いや、マスクで口は見えないのだが。


「今日は何回?」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…うぅぅ…」


紫苑は前かがみになりながら右手を前に出し、指で数字の"0"を作った。

レモンはそれを見て首を横に振った。


「嘘つかないで。本当は何回?」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…うっ…」


紫苑はレモンから顔を逸らし、腕をプルプルさせながら3本の指を立てた。

レモンはゆっくりと二回ほど頷いた。


「うん、素直でいい子ね」

「うぅ…ふぅ…ふぅ…うぐ…」

「初めの女性客で1回…ダンスで2回ってとこかしら?」

「!!!!」


紫苑はパッ!っとレモンに顔を向ける。

そしてまた俯き、足をプルプルさせながらゆっくりと頷く。

そんな紫苑の紫色のウィッグをレモンは優しく撫でた後、ポケットから何かを取り出す。

小さな鍵だった。

それを紫苑の目の前にプラプラと揺らす。


「脱ぎたい?」

「!!!…うぅぅ!」


その言葉に紫苑はコクコクと頭を縦に振る。

それを見てレモンは手を口にあてて可愛らしく笑っている。


「ふふふ♪かわいい…じゃあ一回姿勢を正して?」

「?…ふぅぅぅ…うぅ…」


紫苑は言葉通りにピッ!と真っ直ぐ姿勢を正して立っている。

またお尻をビク!っと震わせる。


「自分でスカートたくし上げて?」

「!!!ふぅぅ!ふぅ…ふぅ…うぅ!」


レモンの言葉に大きく首を横に振る紫苑。

それはそうだ。

いくら着ぐるみ姿だからといって、スカートを上げたら局部が見えてしまう。

恥ずかしいに決まっている。


「上げて?早く」


しかしそれをレモンは許さない。

紫苑はビクッ!っと体を振るわせて暫くうつ向いた。

そして手をプルプル震わせながらメイド服のスカートを上げていく。

紫苑の黒タイツに包まれた太ももが露わになっていく。

汗による蒸気がむわぁっと立ち込めるようだ。

いよいよ局部が見え始める。


レモンは腰を下ろし、紫苑の局部をまじまじとマスクの覗き穴越しに眺めている。


「ふぅ…ふぅ…ふぅ…うぅぅ…」

「だいぶ…すごいことになってるわね?マスク越しでも匂ってくるわ」


その光景は異様だった。

紫苑の股間には女性にはないはずのふくらみがあるのだ。

そしてその股間部分はタイツに染み出るほどびっちょりと濡れており、太ももにまでその染みが広がっている。

まるで何かを漏らしてしまったような…そんな汚らしい染みが。

短いスカートだったのだがこの染みはギリギリのラインで隠せていたようだ。


レモンはそんな紫苑のふくらみを指でツゥ…っとなぞる。


「うぅ!ふぅ…ふぅ…うっ…」

「………」


レモンは紫苑の股間から指を離す。

指と股間が糸を引いて繋がった。

そしてレモンは紫苑の体液を指でグニグニしながらポケットからあるものを取り出す。

何かのリモコンのようだ。


「!!!むぅむ!ぐぅ!むぅぅ!」


それを見た紫苑は何が怖いのだろうか首を大きく横に振る。

何かに怯える紫苑を無視し、レモンはそのリモコンのボタンを何回か押す。


ヴィィィィィィン!


「うぅぅぅ!むぐぅぅ!!」


紫苑の股間とお尻辺りから大きな振動音が聞こえ始めた。

いや、今まで微弱だが聞こえていた音が大きくなったのだ。

紫苑は首を大きく横に振り、足をガクガクさせ腰をビクつかせる。

スカートを持っていた手を離し、お尻と股間をギュッと押さえてしまう。


「うぅぅ!むぐぅ!むぅむぅ!」

「だめよ?ちゃんと立って?スカートもたくし上げたままでね?」

「!!!うぅぅ…うぐ!」


レモンの言葉に体をビク!ッとさせ、紫苑はまた姿勢を正し、スカートをたくし上げる。

だがかなり内股になっていて、足の震えを抑えられない。

店内で凛々しく振る舞っていたあの紫苑が嘘のようだ。


「うっ…うぅ!ぐぅ…」

「10分耐えられたら脱がせてあげる。でもそれまで耐えられなかったら…」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」

「5回終わるまで許さない。いいわよね?さっき嘘ついた罰」

「ふぅ!ふぅ!ふぅ……うぐ!」


紫苑は体をビクつかせながら首をゆっくりと縦に振った。

そしてレモンがもう一度リモコンのボタンを押した。


ヴィィィィィィン!!!


「うぐ!?むぐぅぅぅぅ!!!」


振動音が一気に大きくなった。

それと同時に紫苑は背中を勢いよくビクン!っと弓なりに反らせ、膝から崩れ落ちた。


「むぐぅぅ!うぅぅう!むぅむぅ!」


お尻と股間を手で押させ、床の上でのたうち回っている。

そんな様子をレモンは見下ろしている。


「むぅぅ!むぐぅ!むぅむ!」

「あんまり暴れないで?床が汚れちゃうでしょ?」


紫苑が転がったせいで床に紫苑の股間から出た体液がついてしまっていた。

更衣室内が紫苑の匂いで充満していく。


「結局1分も持たなかったわね?あと4回よ?」

「ぐ!?うぅぅ!むぅむぅ!」


その言葉にビクッと反応し、紫苑は床でビクビクしながら首を横に振る。

レモンはまたリモコンのボタンを押した。


「いぐ!?いぎぃぃぃぃ!!!」


紫苑は大きな唸り声をあげながら床の上で情けなくビクンビクン!っとそのスレンダーな体を痙攣させた。

その様子を見てレモンはまたマスクに覆われた口を押えてクスクスと笑っている。


その後更衣室では紫苑の唸り声とあの振動音が鳴り響いていた。


二人の夜はまだ始まったばかりだ。

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