第14話 バキュームフ◯ラ&ミッション...失敗~

「潜入成功...」と、小さくつぶやきながら学校内を歩く。


『じゃあ、まずは1階から回ってください』


「了」


 とりあえず指示通り1階を回ってみることにした。


 校舎自体は...うちのほうが大きい感じはするな。

というか、放課後の教室に残って勉強している子もいるし...まじめだなぁ。

さすがは進学校と思いながら、歩き続ける。


 一応チラチラと顔を見ているが、それらしい子は見当たらない。

そう思っていると、一人見覚えのない人がいた...。


 それはあのくず男の家に通っていた女の子の一人...。

当然、名前などは知るはずもない。

しかし、ちょっとだけ面識あるんだけど...さすがに覚えるわけないよね。


 少し驚きながら顔を見ていると、目が合ってしまいすぐに逸らす。


「あっーれー?君ってうちの高校だったの~?」と、声を掛けられる。


「え?あぁ...え?誰ですか?」


『え?誰ですか?知り合いいたんですか?』


「え~うちのこと忘れちゃったの~?雪の...セフレ?みたいになっちゃってた子だよ~?話したのに忘れたの~?」


「...いやぁ...なんのことだか...」


『ちょっと!先輩!その女誰ですか!緊急脱出してください!』


「...ん~?でもおかしいな...この前会ったときは雪くんと同じ高校の制服だったよねぇ...?ん~なんで今はうちの高校の制服着てるのかな?」


「あっ、えっと...すみません...」と、会話を打ち切りそのまま廊下を走って出入り口に走る。


 これ以上はいったん無理!帰って緊急会議だ!と思ったのだが、とんでもない速度で追走してくる彼女。


「なんでにげるーん?」


「はやっ!」


 体力も脚力も負けてしまった俺は仕方なく立ち止まる。


「はぁ...はぁ...はぁ...」


「君、体力ないねー。そんなんじゃ、1回戦しかできなくて女子から嫌われちゃうよ?」


 体力お化けが...こいつ...。


「もう一回質問するね。君はここで何をしているの?」


「...人...探しを...」


「人探し?本当かな?」


「...はい」


 そのままファミレスに連行されるのだった。



 ◇時を数日前に戻そう


 城谷雪の見張りをしているときのことだった。


 ...またあの子入っていったな...。と、つぶやいていると少ししてその子が家から出てくる。


 すると、こちらに向かって歩いてくる。


 まずい...逃げるか?いや、今走って逃げたら余計に怪しまれる...。

何もしていなかったように...何も知らない顔をしよう...。


 そうして、携帯を見ながらやり過ごそうとしていると、無理やり視界に入ってきて、「ねぇ、なんで雪くんのこと監視してるの?」と質問される。


「え?いや...なんのことかな?」


「ふふ、雪くんにばれてるみたいだよ?」


「...」


「黙っちゃったー。まぁいいや!見逃してあげるー。うちって寛大ー」とそのまま帰っていった...。


 それだけの接点だった...はずなのに。



 ◇


「へぇ...そういうーことだったんだー。なるほどねー」


「...はい」


 城谷雪の一件について嘘偽りなく答えると、ストローを使って炭酸を一気に飲み干す。


「バキュームフ〇ラー」


 エロいことだけしか考えてなさそうな女の子である...。


「それで~?なんで今日はうちの制服着て潜入してたーん?もしかして好きな女の子でもできた感じ~?あっ、目的はうちぃ~」というと、電話からリノアが叫ぶ声が聞こえる。


「ちょっと...人探ししてて。いった通り俺...探偵部なんで」


「へぇ?人探し?いいよぉ~?暇だから協力してあげる~。うわーうちってやさすいぃ~」


「...ありがとうございます...」と、写真を見せるとすぐに「あぁ、知ってるよ~、この人」と言われる。


「なんていう人ですか?」


「え~ただで教えるのはなんかいやなだぁ~」


「...お金とかはちょっとあれなんですけど」


「じゃあ~、今回の依頼が終わったら私の~依頼を一個頼みたいんだけど~、いい?」


「それくらいなら全然...」


 けど、いよいよ他校の人の相談まで受けたら...限度ない気がするが...まぁいっか。


「おっけ~、じゃあ商談成立~。えっとねー、その人の名前は二階堂にかいどうりゅうっていって~、2年で一番人気の男の子だよー」


「ちなみに彼女とかいる感じですか?」


「え?彼女~?知らないー。いるんじゃない~」


 使えるんだか使えないんだか...。


「わかりました。貴重な情報ありがとうございます」


「え?もういいの~?なんか聞きたいことあればうちが代わりに聞いてあげるよ~」


「...それじゃあまぁ...彼女がいるかどうか聞いてもらえますか?」


「りょ~。んじゃ、連絡先交換しよ~」


 そうして、連絡先交換を行ったのだが...帰った後みっちりリノアに問い詰められるのであった。

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