第12話 Oh...ギリギリな大喜利勝負

 ◇AM7:00


「おはよーございますーせーんぱいw」


「...朝から元気だな」


「はい!私はいつだって元気ですよ?」


「あっ、リノアちゃーん!おはよ!」


「おはようございます!お母さま!」


「今日もかわいいわねー!」


「お母さまもその服、とってもお似合いです!」


「やだ、嬉しい!もう、うちの子になっちゃいなよー!」


「あはは、ぜひお願いしたいです!ね、先輩w」


「...」


 そうして三人で朝ご飯を食べ、いつも通り学校に向かうのだった。


「先輩、城谷先輩の話聞きました?」


「話?」


「はい。あの後、囲っていたほかの女の子達にも振られてクラスの女子から非難轟々でねー。男子の友達もだーいぶ減ったみたいですよ?wざまぁみろですw」


「...そうか」


「なんか元気なくないですか?」


「俺はいっつもこのくらいのテンションだろ」


「ん~?いわれてみれば?あっ、そうだ。今日は部室に赤沢さんが依頼人を連れてきてくれるらしいです。今回の浮気の一件で我が探偵部も少しだけ知名度が上がりましたからね!この流れでどんどん勢力を拡大していきましょう」


「リノアは一体何を目指しているんだ...」


「世界征服です!キリっ!」


「壮大な夢だこと」


 そうしていつも通り登校していると、目の前に美也が歩いているのが見える。


 その瞬間、リノアが今まで以上にくっついてくる。


「ねぇ、ダーリン?今日もお家に泊まっていい~?いいでしょう~?リノアと気持ちいこと...しよ?」と、美也に聞こえるようにわざと大きな声でそんなことを言ってくる。


 ちなみにこいつは家に泊まってないし、気持ちいことなんてしていない。


 すると、ちらっと振り返り俯きながら歩く美也。


「...あいつのことはもういいから」


「先輩が良くても私がよくないんです!あの人たちが先輩にしたこと...許せないから」


「...俺はもう仕返しできたしそれで満足してるよ」


「...先輩ってぬるいですよね。そんなんじゃ、利用されるだけですよ。蛇にならないと。しゃー!!!」と、手をウネウネさせて蛇を表現するリノア。


「...蛇ねぇ」



 ◇放課後 部室


「よし、今日は大喜利勝負をしましょう!」と、リノアが俺と好ちゃんに向かってそういう。


「...大喜利勝負?」


「そうです!大喜利は知ってますよね?お題に対して面白いことをいうあれです!このちゃんは知ってる?大喜利」


『もちろん!テレビとかでもたまに見てるよ!』と、鼻息荒くしている。


「...俺、大喜利とかやったことないんだが」


「知りません。先輩に拒否権とかないんで。んじゃ、まずは1回戦!先輩VSこのちゃーん!!!さて...お題は...そうだなー...『では...この人カレー好きだなぁ。なぜそう思った?』さぁ...お書きください!!ちなみに勝者は私の独断と独断により決まります!」


 ヒ〇ラーか。こいつ。

...なんかいきなり始まったんだが...。というか大喜利とかやったことないんだが...。


 ちなみに好ちゃんに合わせて回答はスマホ画面に書いて出すというシステムになっていた。


「...はい」と、とりあえず挙手をする。


「先輩!回答をどうぞ!」


『頭にターバンを巻いている』


「んー...1ポイント!」


 あぁ、ポイント制なんだ...これ。


 すると、びしっと手を挙げる好ちゃん。


「はい、このちゃん!どうぞ!」


『ナンとなく』


「っぷw5ポイント!!!」


 え?何このセンス。

それからもセンス抜群の回答を続ける好ちゃん。


『売れないアイドルグループの名前は?』

→『BMI48』


『授業参観で気まずい雰囲気になった。なぜ?』

→『前のお母さんも来た』


『最新の軍事ドローンに搭載されたいらない機能とは?』

→『敵に塩を送る』


 結果は惨敗であった。


 そうして迎えた決勝も好ちゃんの独壇場であった。


『猫に小判、豚に真珠のようなことわざを考えてください』

→『ヴィーガンに神戸牛』


『あなたはAEDを!あなたは救急車を!あなたは○○を!○○に入るのは?』

→『警官のモノマネ』


 こうして、大喜利大会は好ちゃんの圧勝で幕を閉じたタイミングで部室をノックされるのだった。


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