第11話 痛快!浮気男ボコボコにされる
◇PM3:30
部室には俺とリノアの2人がいた。
「さてと、とりあえず数日間尾行とか素行調査を行った結果を白か黒かで言いますか。せーの」
「「黒!」」
まぁ、案の定の結果である。
学校では尻尾を出すことがなかったわけだが、彼の家に張り込みをしていると、次々と家の中に入っていく女の子達...。
俺が確認しただけでも3人は浮気相手がいるようだった。
というか、ここまでいくとむしろ感心する。
1人と付き合いながら普通3股とか出来るのかと。
「んじゃ、あとは赤沢先輩にこれを報告して一件落着ですかね?」
そんな話をしていると、部室をノックされる。
「...はい?」
「入っても問題ないかな?」
「...どうぞ」
そこに現れたのは城谷雪だった。
「俺のことをちょこちょこと嗅ぎ回っていたみたいだけど、なるほどね。利魅に言われてやってたってことか。いやー、全然気づいてる素振り見せなかったのに何でバレたんかな?それもお前らがやったこととか?」
「守秘義務なので回答できません」
「そう。じゃあ、次は俺からの依頼。利魅には浮気なんてしてなかったと報告しろ」
「依頼なのに命令口調ですが?」
「まぁ、そうだね。どっちかという命令の方があってるかもね。もちろん、何もないわけじゃない。もし、誤報告してくれるならこっちも一つある情報を教えてあげるよ」
「情報?」
「榎田美也と後藤与一について」
その言葉に思わず瞳孔が開いてしまう俺。
その一瞬をこいつは逃さなかった。
「そうそう。気になるだろ?」
「...もうあいつらのことなんて「あいつらのことなんてどうでもいいとか言わせない。今の反応、誰がどう見たって気になるって反応だもんな」
「先輩、耳を傾けないでください。ただのハッタリです」
「なんでハッタリと言い切れる?」
「逆に何か知っていたとして、それが事実だというだけの証拠があるってこと?噂とかそんなレベルの話なら聞く意味ないと思いますけど」
「そんなレベルじゃねーってこと。そして、もちろんあんたについても色々調べさせてもらったぜ。関野リノア。そして、もう1人の部員である無口な少女、浅村好についてもな。誰だって触れられたくない逆鱗っていうのがどこかについてるもんだ。触られたことは見逃してやる。けど、剥がすことは許さない。もし、利魅に言わないって約束するならお互いにWin-Winで終われるってこと」
「...先輩、耳をかしちゃダメです」
「...俺が赤沢さんに報告しなきゃいいんだね?」
「あぁ、それでいい」
「...約束します。俺は赤沢さんに報告しない」
「分かってんじゃん」
「けど、もし...城谷くん自身が彼女に報告したとしたら...どうなるの?」
「はぁ?俺がわざわざそんなこと言うわけ...」
言葉が止まったのは俺がとある場所を指差していたからだ。
それはこの部室の中にある掃除道具箱入れだった。
「約束は守りました」と俺が告げると中から赤沢さんが飛び出してきた。
そう、全ては計画通りなのだ。
わざと3人別々に行動して、わかりやすく尾行を行った。
当然バレてしまい、言わないでくれと謝罪するか何か脅しの種を待ってここにやってくるタイミングを。
ここにいない好ちゃんがどこにいるかというと、彼のことを尾行してもらっていたのだ。
そうして、部室に向かってきたタイミングで赤沢さんには隠れてもらい、わざと聞こえるような声で会話をしていると案の定ペラペラと自白し始めたということだ。
「俺はちゃんと約束守りましたよ」
「なっ!」
「俺は報告をしていないですから。赤沢さんにはただここにいてもらった。それだけですからね」
「...すぅ、はー...ふん!」と、ものすごい一撃が彼の鳩尾にクリーンヒットする。
そのまま見事にボコボコにされる城谷。
赤沢さんは小さい頃から空手にテコンドー、柔道に護身術とありとあらゆる格闘技を行っていたのである。
浮気男がボコボコにされる様はそれはそれは痛快であった。
けど、気になるのは城谷の言っていた言葉。
あの2人のこと...そして、この2人のことだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。