閑話:人物辞典【ヤジマ・テツオ】
【アース:1】
住人:ヤジマ・テツオ
種族:人間
性別:男性 38歳
「外見的特徴」
考え事、心配事が多い他、何をやっても上手く行かない生活が続いた為か、ヤジマの人相は仕事に支障が出るほど目付きが悪い大人に成った。
目付きの悪さは、上司の顔色を常に窺う後輩にとってのストレスでもあり、ヤジマ班の後輩の中で最も彼に怯えていたのが「カタギリ」という隊員である。
カタギリのその怯えっぷりは、局長のタケミガワに「俺はいつかあの人に殺されるかもしれない」と本気で相談する程だった。
ヤジマは何度もタケミガワから目付きの悪さを指摘されているが、タケミガワ自身も人の事が言えない人相という事もあって矯正には至っていない。
ヤジマは態度を改めるどころか、タケミガワから目付きの悪さを指摘された事に苛立ち、カタギリのストレスが増すという負の連鎖が続いていた。
ヤジマの髪型は男声にしては長く、伸ばすとかなり強い癖が出る髪質だが、六月頃になると流行りの髪型に整え、一瞬誰か分からないほどの変貌を遂げる事が多々ある。
アイギス内部では、ヤジマが夏になると髪を切ってお洒落をするのは、娘の隣を堂々と歩ける父親に成りたいからではないかという都市伝説級の噂が存在した。
普段は組織から支給されている防弾性の黒スーツを着ているが、長期休暇や勤務時間外のヤジマは東京の街を歩くに相応しい恰好をしている。
容姿に関する女性陣からの評価はかなり高い部類だが、その目付きの悪さがプラスの評価を帳消しにしている男である事は間違いない。
「性格的特徴」
ヤジマの性格は、神経質の一言に尽きる。
スーツを着崩している他の隊員を見ると引き留めて直させる他、ハラスメント行為が問題視されている令和において、戦国時代からタイムスリップして来たのではないかと思うほど気性が荒い。
気性が荒い部分もまた彼が神経質である証拠といえるが、礼儀作法を守り、政府の組織の一員という自覚を常に持っている後輩にとっては人畜無害の生き物である。
ヤジマの気性の荒さは、職場の共有スペースでも他の隊員からの被害報告が絶えない。
流し台の排水口にカップ麺の残り粕を直接流している女性隊員に「次また同じ事をやったら小指をへし折る」と脅したり、職場でスマホを充電しながらゲームをしている若い隊員の首を延長コードで締め上げたり、とにかく気性が荒い。
私生活でもその性格は健在で、ガレージに置いてある車の整備道具やその他の工具には全て番号が割り当てられており、元の場所に必ず戻す事を徹底している。
娘のカナエを保育園に送り届けたり留守中の家事を行う家政婦も、ヤジマの家のガレージだけは禁断の領域として足を踏み入れていない。
ヤジマの家は何度か空き巣に入られた事もあるが、侵入場所がガレージの窓だった為、空き巣たちは全員が何も盗まずガレージから逃げ出している。
空き巣たちがヤジマ家のガレージから逃げ出したのは、ヤジマの妻【ヤジマ・アヤカ】が死亡した当時の事故車両が血痕付きでガレージにそのまま保存されていたからだ。
「契約者:メルセデス」
空挺都市の異世界に飛ばされたヤジマを地球に戻したのは、制空権争いに勝利し、天空の城の主となった白雲騎士のメルセデスだった。
名称:メルセデス
全長:約240センチ
総重量:1999キログラム
動力源:ウィーバー・ライトニングの魂
駆動方式:ダウンフォース式 絶対零度試作型
対応交戦距離:全距離対応
メルセデスの動力源には、地球から転生して来た兄妹の兄の魂が使われている。
魂に負荷を掛けてエネルギーを生成する蒸気騎士の心臓は、感情を鎮める【ダウンフォース式】と、感情を昂らせる【リフトフォース式】の二つが存在する。
メルセデスの後継者に分類される蒸気騎士達は、ダウンフォース式とリフトフォース式の二つだけで、鎮めた状態、昂らせた状態を維持する時に生じる負荷でエネルギーを生成しているが、プロトタイプのメルセデスには【絶対零度】という更なる負荷を掛ける第二の心臓的仕組みが試験的に搭載されている。
ダウンフォース式のメルセデスに第二の心臓として搭載されている絶対零度は、強制的に鎮めた感情を無情に戻す際に更なる負荷を掛け、魂が消失する危険性がある程のエネルギーを生み出す。
制空権争いに参加したメルセデスは、自身がダウンフォース式であるにも関わらず、駆動方式を無視してリフトフォース式のエネルギー生成を試み、炉心崩壊を起こす程の負荷を掛けながらエネルギーを暴走させ、そこから絶対零度方式で無情を目指すという【狂戦士形態】を獲得している。
狂戦士形態のメルセデスは目から赤い蒸気を発生させるが、闇の力に侵食されて黒雲騎士に転じた場合に生じる同族嫌悪の際は、目から青い蒸気を発生させて黒雲騎士を殲滅し、エネルギーを使い果たした後で白雲騎士に再覚醒する。
「契約内容:借りは返す」
ヤジマ・テツオとメルセデスの間に結ばれていた契約内容は、「借りを返す」というものだった。
この契約は、ヤジマが地球に帰る直前にメルセデスと結んだものであり、契約が果たされた後は友人として対等な関係に至る。
空挺都市の世界に空間ごと飛行機を転移させたバイツァダストの構成員【エイブ】が警戒していたのは、時空の扉という転移手段が存在する世界の王メルセデスが、世界を自由に行き来する可能性があったからだ。
ヤジマの契約内容はエイブの予想通りバイツァダストに壊滅的な被害を与えるもので、ヤジマを殺してしまった場合は「恩を仇で返した」という扱いになり、メルセデスはバイツァダストの構成員を皆殺しにする【ジェノサイド・プロトコル】を発動させる。
ジェノサイド・プロトコルが発動した場合、敵の魂を感知したメルセデスが次元の壁を越えて対象を殺しに行く。
当然の事だが、次元の壁を越えて魂を感知する都合上、ジェノサイド・プロトコル時に出現するメルセデスは一体ではない。マルチバース全域に存在するメルセデスがたった一つの世界線に集結し、対象を皆殺しにした後、別の世界に進軍する。
「ヤジマ・アヤカとの関係」
カナエを妊娠していたヤジマ・テツオの妻アヤカは、夫が失踪した原因を娘の妊娠だと思っていた。
その誤解を解き、アヤカの側に居て彼女を励まし続けたのは、テツオの転移事件を知るタケミガワ・リョウコである。
タケミガワは、事ある毎に「娘が生まれたら~」と話していたヤジマが妊娠を喜んでいない訳がないと話し、ヤジマの不器用さを伝えつつ「必ず帰って来る」とアヤカの説得に成功している。
メルセデスの手を借りて地球に帰って来たテツオは無事に出産に立ち会う事が出来たが、人類滅亡後の異世界を見て来た事や、ある日突然異世界から侵略を受けてもおかしくないという危機感を持った事が原因で、転移前より厳しい性格になった。
アヤカは夫のテツオから異世界で経験した恐怖を聞いており、厳しくなってしまう気持ちを理解はしているものの、いつまでも過去に囚われている夫の姿に不満を抱いていない訳ではなかった。
事故の原因となった車内での口論は、ただの風邪で大袈裟な夫の怒りに対し、そろそろ落ち着いて欲しいという日頃からの不満を口にしてしまった結果と言える。
転移事件に遭遇したテツオと、転移事件に遭遇していないアヤカの間には、分かり合えない部分が在った事は確かだ。
「アストラルに対する評価」
ヤジマのアストラルに対する評価は「恐怖」と「安心」が入り乱れている。
恐怖の原因は、アストラルのような人物が生まれてしまう異世界が在ったという部分だが、同時にその世界は既に存在しないという事に安心している。
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