「おののき」~10代から20代に書いた詩

天川裕司

「おののき」~10代から20代に書いた詩

Stock of the dream


「専門分野」

様々な分野がある。けれども、私(わたくし)の専門はひとつである。文学をおいて他にない。世界の国々程の数はあっても、私の住む場所は日本ひとつである。“言葉を勉強すれば?”“そりゃそうだ”私の専門分野はたったひとつである。で、なければ、疲れてしまうのだ。


“会話することはロスじゃないでしょう”―――Loss


人は思う、何かをしたい。


人間が何を書いても、人間なのである。その範囲を越えることはできない。聖書にもある、“人間は虚しい…”と。そこだけを抜粋したのも、この私である。限界がある。それを極める、と言いながら、限界があるのが人間ならば、それまでのこと。神の力は越せないであろう。ただ、人間は言う、“書かれた文章で、人間が救えるのなら…”と。


被害者意識が強いのはわかっている。


私は勝手に思う。“人間(ひと)は俺をおかしい、と思っている”と。内心どこかでそう思われたいのだ。しかし、そうなってからでは、見知らぬ孤独を患うのである。そのように思わせたのは、今までの過去と、そこから生まれた臆病である。



今、開花しかけた少年を巡って、階下で塾を探しているような談話が聞こえる。


「ねぇ、良い塾ないかしらこの辺りで?あんたの教え方では(あの子は)無理だから。」



ボランティアで以前、神戸の被災地に行った人が言った。“もう少し、僕らのことにも気遣ってくれ。”苦しい時の相手の立場がそう言わせる。

キリストはこの時、どうするだろうか。人間の限界を超えたような憧れへの思惑が、又、飛躍した物事について問答し始める。



「幸福と不快」

あの酒の席でのお道化ぶり、久し振りの仲間が集まっていた。難しい気配りと掛け合いの中で、彼は、沈黙を守っていた。浮かれる奴を尻目に、彼は席を立つ。浮かれる奴は、一瞬、嫌な顔をする。その一瞬を見届けた後、トイレへ。気遣う奴がもどした。気忙しくなる雰囲気、“私はなれているから、”などと余裕をつくり、彼らを安心させようとする。こういうことが続いてきて、又続くのだ。今度の十五日が又、楽しみである。


『榊原隼人の言葉』

“やさしさ?やさしさだと、下らない。思いやりなど人間がやることだ。汚い悪事とそう変わらない言動の流れの上での上塗りさ。この「流れ」はストリームとしたっていい。今日も明日も美人のネーちゃんとニーちゃんが、この街中を動く。金持ちはそれら動かす。僕はそん中で生きなきゃいけない。何故黙って居られるんだ?正直、善人を殺したいのさ。そうして悪人になった後、その中で頂点を目指す。悪魔さ、悪魔公認で、この下らない人間を殺して行く。いいことじゃないか。かくゆう宗教団体が実際にしたことだ。あれは必然、これからも起り得るだろう。だって、僕の心の中にも在るのだから。今、この世の中を生きて得するのは?”



「おののき」(認識追構論)

おもしろおかしく生きようとすれば、もしかすれば、その事にも成功を見る事が出来るかも知れない。しかし、私を現実が、この様にさせたのだ。もっと大胆に筆を振るって、若葦のように猛り狂う雲を貫いて、自ず信念の道を創作することも又、私の仕業なのかも知れない。現実は、もう32年の年齢を取らせ、共に過去を古いものとし、我にこの真実足る「花」を見出させた。“諸刃の念”。

何の意味も、各文壇の若者達は見出せぬかもしれない。我のみがそこに生きるゆえに、私のみが熟知せらる場所。この空気。

このタバコの煙にさえ、何らかの情緒を抱き、書けたあの頃の自分がもう居らず、そう錯覚するくらいこの現実の勢いは猛きもので、同様の繰り返しを以て、我の概念のうちで一つの物語に幕を下ろそうとさせる。これは罪ではないのか。誰も、もう考えようとはしまいこの道の在り方を、我は一人熟考し続ける。


「文殊堂にて」

父さんと文殊堂へ行った。空には雲がのさばり、月は見えないでいた。太陽がその大部分を占めており、近くの海はその模様を見ていた。僕はといえば、人里離れて物思いに耽っていた。頭の中はそれほどの文句もなく、他の人の詩が浮かんではきえた。けれど、このままでは自分の思いが惚けると、過去の自分の醜さを覆った。後に影響が出るものはすべてけして、忘れられるような型にしていたのだ。それにしても、腕が陽に焼ける。

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「おののき」~10代から20代に書いた詩 天川裕司 @tenkawayuji

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