第4話 自称ライバル
「真浜シニアの……奥村太陽!!!」
10分ぶり、本日2回目の正体バレ。
おかしい……何故この無名校に『奥村太陽』を知っている人物が2人もいるんだ……?
焦りを感じながらも、平静を装って後ろを振り返る。
そこには、黒縁メガネをかけた目つきの鋭い男が腕組みをしながらこちらをジッと見つめていた。
……この男、どこかで見た覚えがあるが思い出せない。
「えっと……どっかで会ったことあるっけ?」
「フっ……ライバルに対して、随分とした物言いじゃあないか」
ライバル??
俺にそんな奴いなかったと思うけど……
「シニア時代、お前から唯一ホームランを打った
三国シニア……ホームラン……あ、思い出した。
確かあれは、中1の時の県大会。
レフト前にフラフラと上がった打球をレフトがダイビングキャッチしようとして後ろに逸らし、そのままランニングホームランになったんだっけ……こいつその時のバッターか。
てかあれは確かに記録上はホームランだけど実質エラーだろ……こいつもしかしてそれをずっと自慢してきたのか?
「……ようやく思い出したようだな」
「……ああ、ぐ、偶然だな。この無名の高校で会うなんて」
「偶然ではない、必然さ。俺は真浜シニアの舞原監督とコンタクトをとりお前がこの高校に進学することを事前に把握していたからな」
「は?」
「俺はかねてからお前とバッテリーを組みたいと思っていたのだよ。U-15日本代表には選ばれたが体調不良のためまさかの辞退となってしまって、お前と組むことは叶わなかったからな」
「は? は?」
「中学No.1ピッチャーのお前と、中学No.1キャッチャーの俺が組めば甲子園も夢ではない。さあ、早速今日の放課後は野球部の見学にでもいこうじゃないか」
「……すまん。非常に言いにくいんだが、俺は野球はもう辞めたんだ」
「…………なん……だと……? じゃあ俺は一体……何のために……」
何か放心状態になってるけど、まあいいか。
こいつは放っておいて他の奴と……
「よーし、お前ら席に着けー」
と思ったが、若い女性教師が入ってきたため断念。
はあ……スタートダッシュ失敗したかも……ん?
細身だが出るところは出ていてクラスの男子たちからおおっと歓声があがるほどのスタイル抜群の美人教師。
俺はこの教師に見覚えがある……
「えー、今日から一年間お前らの担任をすることになった
あ……舞原監督の娘じゃん。
「よろしくな……奥村太陽」
もうやだこの学校。
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