オトしたいのは化粧であって、お前じゃない ~女子校に通うことになったが女装が全く必要なくて悲しい件~

れっこちゃん

プロローグ 女子の嗜み①

 東雲女子学園の第3女子寮の一室で、今日も清らかな朝を迎えた。

 ベッドから重たい腰を持ち上げるなり深呼吸すると、静謐な朝の空気が溶け込むように、全身に行き渡るのだ。


「ふぅ……さて、起きようかな……」


 目を擦りながらベッドから起き上がり、窓を開けると日差しが入り込む。

 そして、花壇に生い茂る樹木と満遍なく広がった芝生は、眼の保養になるのだ。

 木の葉を揺らし、時には音を奏でると爽やかな微風は、寝ぐせ一つないこの黒髪をなびかせた。


「あぁ、なんて気持ちの良い朝なんだ……ん?」


 そんな感想を呟きながら振り返ると、目の前には幼馴染の東雲衣玖しののめいくがいた。


「……はっ、なんでここに……⁉」

「しっ、静かに……」


 目の前に迫る誘惑。

 寝起きで頭がぼんやりしている自分に、彼女は寄ってきた。

 慌てて逃げようにも、後ろは窓。そして彼女には隙がない。

 ……油断していた。何故こんな事にはならないと思い込んでいたのか。

 すぐに捕まり、囚われの獣のように、ふるふると小刻みに身体を揺らしてしまった。


「やっぱり可愛いわ、渚……」


 朝日が届かぬ部屋の片隅で、身体を寄せ合い肌と肌を重ね合う。

 そして誰もいない、二人だけのセカイで。

 誰にも言えない、二人だけの秘め事が、今日も始まるのだ。


 —————————————————————————————————————


「ふふ、今日も楽しみましょうね……」


 緊張しているせいか身体が硬く、ピクリとも動かない。

 頬は紅潮し、衣玖に視線を向けられない。頭から蒸気が出そうだった。


「こら渚……ジッとして、動かないで……」

「そ、そんな事を言われても……っ」


 肩は上がりっぱなしで、拳が開く余裕が見つからない。

 強張って眉をひそめていると、衣玖はそっと肩に手を置き体勢を整えてきた。

 そして、じぃーっ……と顔を覗き込むように凝視している。


「やめて、見ないで……」


 見開かれた大きな瞳に長い睫毛、二重のラインがくっきり浮かんでいてとても魅力的である。彼女の顔が近くて反射的に目を閉じ、呼吸を止めてしまった。

 こんな経験は初めてで、自分の息は匂わないだろうか、変な顔をしていないだろうか、幻滅されないだろうか。

 そんな事ばかり考えていると、衣玖が口を開いた


「渚の顔、小さくて可愛いね」

「そんな事ない……ですっ……、衣玖さんに比べたら……」


 こうなった以上、もはや隠すものなど何もない。

 全てをさらけ出してしまえばいいと思うものの、気恥ずかしさが先行してしまう。

 衣玖は称賛し続けるも、こなれた手付きは止まらない。


「食べちゃいたいくらい白くて薄い肌ね、これは誰もが放っておかないわ。それに細くて整った身体のラインなんかとても素敵よ、お腹のくびれだって羨ましいわ……」


 じゅるりと舌なめずりとした後、肩に置かれていた手はするすると首元を抜けて、頬にやってきた。しっとりと吸い付くような柔らかい手が顔に触れている。

 ……これだけでも十分に身体がザワついてしまう。


「ねぇ、もしかしてちょっと期待してる?」

「そんなこと……ないですっ……!」

「でも身体は正直なようね……?」


 底意地の悪い問いかけをしてくるも、涙目で訴える顔には力がない。

 しかし我慢の限界だったのか、とうとう痺れを切らし切なげに彼女に投げかける。


「あの、痛くしないで……優しく、して……?」


 我慢しきれずにそう呟いてしまう。それを優しく諭すように彼女は耳元で囁いた。


「待ってね、今すぐあなたを女の子にしてあげるから……」


 すると彼女は、口周りほどの硬くて細長い棒を花唇に押し当てた。

 カサついた割れ目にぴったりと張り付き、温もりと潤いを与える。そして、ラインに沿ってなぞられる、ゾクゾクしないワケがない。


「むぐ……んんっ……っ!」

「我慢しなくていいのよ?」


 衣玖の白い細腕からは甘美な香りを放ち、脳を刺激する。

 ……悔しいくらいに心地良かった。

 その淵はもう潤みつくしている。密のような熱いバターが溶け、それらが唇に溜まったように沼をとろりと形成していた。


「ぷ、ぷはっ……く、苦しかったぁ……」


 溜めた息を吐き出すなり、衣玖は頬を綻ばせる。


「顔を紅くしちゃって、そんなに恥ずかしかったのね……あら、もうこんな時間」


 しかし時間がないのか、衣玖は時計を見るなり強引になった。


「もう終わらせないとね、じゃあ次はココ……」

「ま、待って……!」


 すると衣玖は、自分の逸物を誇示するように動かし始める。

 その尖端は吸い込まれるように、目的地を探り当てて一気に柔肌に押し入ってきた。


 

 ずぷぷぷ……。



「ひゃう——」


 思わず小さな悲鳴を放ってしまった。

 変な子だと思われていないだろうか……。


「あら、可愛い声を出すのね。まだもっと続けたいわ……」


 可憐な表情はやがて、熱をたたえた沼のようなぬかるみに変貌し、衣玖の指はその潤いをかき回すよう動いた。


「そんなっ……は、早く、してください……」


 とても慣れているのだろう。

 しきりに訴えても、余裕を絶やさずこちらをじっくりと観察している。

 小刻みに震わす身体は、彼女の至福を肥やす良い材料のようで、嗜虐的な笑みをこちらに見せてきた。



 —————————————————————————————————


 ……どれくらいの時間が経っただろうか。

 魔性の誘惑に余裕と冷静さを失いかけたが、何とか理性が持ちこたえてくれた。


「はぁ、はぁ……終わり、ましたか……?」

「えぇ、これで全部入ったわよ?」

「は……入ったんだ……」


 ほんの一瞬だった。

 痛みもなく、さっきまでの不安はどこに行ったんだろうというくらい。

 まさか、こんなにすぐ入るなんて思わなかった。


「ええ、アイラインがね……」

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