第5話 発情期SOS!(caution)

さて、読者の皆さんは

こう思っているでしょう…


ラブコメとか言っといて

ヒロイン出てねぇじゃん‼︎

その(言い)訳を説明するために

時を少し戻そう

前の話の5ヶ月ほど前…


「どういう事なの⁈ヨウちゃん!ダンくん!」

「ご…ごめん……葵…ちゃん…」

「なんていうか……というか…

なんて言ったらいいのか………」

「2人が変化してくれないと……私……」

「あの人に…面と向かってお話なんて…」


「どうしてダメなの⁈せめて訳だけでも教えてよ………ねぇ!」

団吉の両肩に手を乗せた、すると


ゾクゾクゾクゾクゾクゾクゥゥ

全身の毛が瞬時に逆立つと同時に腰の辺りから身震いが生じたのを感じた。


「えっ?」

そっと肩から手を離すと、

バツ悪そうにゆっくりと体を縮こまらせた。

よく見ると団吉顔が赤く、

息も少し上がっている。

横にいる葉子も同じように

苦しそう表情をしている。


「どうしたの2人とも……まさか…」

赤面したまま、静かに頷く。

「……病気なの⁈」

そのままガクッと首を落とした。


「ち…ちがった?」

「……まぁ…そうと言われれば…」

「そう…なんだけど……」

「だったら……」


「……ごめん…葉子…どういうことか……

教えてあげた方がいいぞ……」

「わっ私がぁ‼︎」

ただでさえ、

「しょうがないだろ……同性同士の方が……」

「……そっか……」


「……あおちゃん…その…」

「その……は……発情期って…知ってる?」

「はつ…じょ〜き?」

「わから…ないか…」


「えっとね……その……ぇっ…が

したくなる…時期のことで……」

「…ごめんなさい、ちょっとよく……」

「だから……えっ……ちが

したくなる時期のことで…」

「…何をしたくなるって?」


「だぁかぁら!エッチよ‼︎

エッチがしたくなる時期のことよぉ‼︎」

「エッ…エッチ⁈」

「そうよぉ!私も団吉も

エッチがしたくてたまらないのよぉ‼︎」


「そっ…そんなことって……あるの…」

「あるのよぉ‼︎私なんてねぇ‼︎

今にも間欠泉が爆発寸前なのよぉ‼︎」

「そっ…それって」

「相変わらず鈍いわねぇ‼︎◯◯◯が◯◯◯◯◯!

私の◯◯◯◯から◯◯◯が

◯◯◯◯◯◯なのよぉ‼︎」

「葉子…それ以上いい……僕が…もたない…」


「……だから…あおちゃんの練習に

付き合ってると…

頭がクラクラするっていうか…」

「…怖がらせたり……

怪我させるかも…しれない…」

「…そっか……それじゃあ…難しいよね…」

「本当に…ごめんなさい…」


悶々と甘ったるい空気が充満していた。

「あいや、待たれぇい‼︎若人たちよ‼︎」

「そ…その声は…」

「ワシだよ、上だよ!鳥爺だよ‼︎」


「なんで来てんだよ!ジジィ!」

「冬山に卑猥極まる単語が響いたったら

誰でも見に来るわい‼︎」

「とにかく…帰った方が…

良いわよ……爺さん…

ちょっと…我慢効かないかも……」


「…お主ら…発情期かぁ?」

「あぁ、そうだとも!」

「……それにしても…なんか酷くないか?」

「…そうね…今まで経験した

ことないくらい……」


鳥爺がハッと気がつく。

「団吉!」

「なんだよ…爺さん……」

「ちょっと付き合え!」


一瞬、葉子と団吉がゾクッと反応する。

「ジジィ……僕にそういう趣味は…」

「何考えとるんだバカモン!ちょっと来い!」

「あぁ…ちょっと…」

団吉を足でつまみ上げて、

何処かへ飛び去ってしまった。


………………〈切り取り線〉…………………


「あれから大分経ちますけど……

ダンくん達どこへいったんでしょうか…」

「さぁ……わから…ないけど……

なんか…酷く…なってるような……」

「大丈夫ですか?葉子ちゃん⁈」

「ありがとう……あおちゃん…でもちょっと…しんどい……かも…」


「とっても苦しそう……

私に何かできる事があれば言って」

「……ありがとう…でも今は…」

「何遠慮してるの⁈友達でしょ?」

「………本当に……助けてくれる?…」

「もちろん!」

「………わかった…」


ゴロリと仰向けに寝っ転がる

「じゃあ……お願い…」

「?……何を?」

「……手伝ってくれるんでしょ…早く……」

「…その何を…」

「もぉ…わかってるくせに………」


「ごめんなさい…

どうすればいいのかわからなくて…」

「……そっか……言わなきゃ……

わからないもんね……」


ゆっくりと後脚を広げ、

疼きの中心を晒しながら囁く。

「………お願い……私の…」 

…………………〈切り取り線〉…………………


「まぁぁてぇぇぇぇぇ‼︎‼︎」

「!きぃゃぁぁぁぁ‼︎」


「葉子‼︎これ飲んで巣穴で寝てろ‼︎」

何やら小さな泥団子のようなものを

葉子に差し出した。


「どうかの?」

「熱は下がったみたいです」

「しっかし、危なかったのぉ…

まさか、XX8.8菌に罹っておったとはのぉ」

「よく知らないんですけど…

それって風邪みたいなもんですか?」

「まぁ、そんなところじゃ…」


「……発情期ってのは…」

「一応、狐も狸もこの時期は

そうなんじゃが…」

「こやつらは年がら年中ピンクな妄想をしとるからのぉ…余計に拗らせたんじゃの…」


という事でXX8.8による

風邪騒ぎが引き起こした練習の遅延

そして、願書出し忘れと体の納期遅れが

発生したことが重なり、

とうとう葵は愛しの君が待つ高校への入学を

逃してしまったのであった…

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