第3話 大地に立てるか?葵よ⁉︎(caution)
「は…裸は…!」
顔を真っ赤にして胸を抱き寄せる。
豊かな膨らみが腕の形を柔らかに型どった。
「ほほぉ…それは……そうじゃのぉ〜」
心無しか爺さんの嘴が伸びているように
見えた。
「「何がそれはそうじゃのぉ〜だ!
この助平‼︎」」
2人が語気を荒げる。
「おっと勘違いなさるな諸君!
ワシはそんな…」
「自分から首突っ込んできといてよく言う‼︎」
団吉が厳しいツッコミを入れる。
「そんな事言って、お主はどうなんだお主はぁ!ワシのことが羨ましいんでねぇのか‼︎」
「そ、そんなことは断じて…」
「では、こんな感じでも同じことが言えるかな?」
…………………〈切り取り線〉…………………
「……ちょっとだけ……
後ろを向いててください…」
「あぁ…わかったよ」
背後では僅かに布と肌が擦れる音が聞こえる。
引っ掛かりの無い、滑らかで繊細な音色だ。
「………い…いです…よ…
ふりむいて…下さい…」
意を決したが、恥ずかしくて
なかなか言葉が出てこないそんな感じだ。
それに応えるために
ゆっくりかつ遅すぎない早さで振り返る。
目の前に立っていたのは
正しく美の女神ヴィーナスであった。
ハリのある美しい肌、
シルクを思わせる滑らかな髪
そして、ルネサンス彫刻を思い出させる曲線美がそこにあった。
「……は…早く…終わらせてくださいね」
頬に淡く紅が差した俯き加減の顔で
こちらを見つめる。
心を惑わせる上目遣いに喉の渇きを感じる。
「……わかった…でもその前に……」
下手すれば彼女に聞こえてしまいそうなほど
心臓が激しく脈を打つ。
「その……手を退けてくれないか…」
彼女の頬の紅が顔一面に広がる。
「す…すまない…」
「いえ……必要ですもの…ね……」
少女は下唇を軽く噛みながら、手をゆっくりと羞恥の頂から外していく
硬く閉ざされていた扉が
ゆっくりと開かれていく…
全てが顕になると少女は吐息混じりに呟いた
「…さぁ…どうぞ…」
整った髪と容貌
柔らかくしなやかな起伏を帯びた鼠蹊部
そして、豊かにプルンと実った乳房
それらを晒す
「……それでは…」
生唾を飲み下し、激しい鼓動を感じながら
作業へと取り掛かった。
…………………〈切り取り線〉…………………
「どうじゃ‼︎」
「…ど……どうって…」
「とっても続きが気になるじゃろぉ!」
「べっべっ…べつに…そんな…」
「本当かなぁ?お主のミサイルキャニスターも臨戦態勢じゃぞ?」
勢いよく両手で股座を押さえた。
「こ、これは……そのぉ…」
「何でぇ、団吉ぃ‼︎オメェも
ムッツリオス狸でねぇか‼︎」
「あぁ‼︎そうだよ‼︎何だよ悪りぃか‼︎」
「あぁ‼︎悪いねぇ‼︎この陸奥助平守権左衛門‼︎」
「オイ!バカども鎮まらんかい‼︎」
妄想に耽っていた、オスどもの耳に
葉子の声が突き刺さった。
「とりあえず、これ参考にして造って‼︎」
手に持っているのは雑誌のページだった。
「なるほど…山に死ぬほど捨ててあった
スケベ本からモデルを見つけてくるとは…」
「考えたなぁ…」
「感心してんじゃない‼︎」
「…ちょっ…ちょっと…
恥ずかしいけど…お願いします…」
やや俯き具合に頬を染めながら
お願いする葵…かわいい…
「まぁ、任せたまえ…」
しげしげと写真を見つめる。
「ありのままというには
ちとムチムチが足らんような…」
「ア゛?」
「なんでもありません…」
「これで体の方はOKね‼︎」
「い…いよいよ、なのね………」
やや強張っているが、
同時にワクワクしているのがわかる。
「いいえ!まだまだよ!」
「あおちゃん、男の子とちゃんと喋れるの?」
「それは…大丈夫だと…」
「恋人としてよ?」
「それは……ちょっと不安かも…」
「よろしい!団吉‼︎」
「ガッテンでい‼︎」
「……ちょっと体型がだらしなくない?」
「…そう?」
「さぁ!アオちゃんコイツで…」
「…………」
湯気が吹き出しそうになっている真っ赤な顔を手で覆っていた。
「喋る以前かよっ!」
「いきなり、そのものに近い姿は厳しいか…」
「少しずつ慣れていきましょ…」
「団吉!」
「ガッテン!」
「まだまだ!」
「ガッテン!」
「もう一息!」
「ガッテン!」
……………
…………
………
……
…
「お…おはよう」
「おはよう」
「…き…昨日の宿題…難しかったね…」
「本当…難しかったぁ」
「何とかしゃべれてるわね…」
「そうじゃのぉ…」
凛々しい顔、ほっそりとした手足、そして服を着ているというより被さっている、その姿は…
「まるでカカシじゃのぉ」
「しょうがないわよ」
かくして、少女の苦難の道のりが始まった。
急げ!葵‼︎高校入学まで少なく見積もっても
あと200と40日くらいだ‼︎
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます