第2話 甦れ!葵‼︎
「あぁ〜、面白かった‼︎」
狐の葉子がそれは愉快そうに
ケタケタと笑っていた。
「ヨウちゃん……
こういう事はもうやめようよ…」
傍らの白いワンピースの少女がそれを諌めた。
「そうだよ…付き合ってる
僕の身になってくれよ…」
葉っぱを乗せたままの
狸の団吉も疲れた様子で応えた。
「そうは言ってもさぁ…
いい思いできたじゃない…」
そう言うと葉子は
ニンマリとしながら少女の方に視線を送る。
「!、そ、そんな………」
頬を赤く染めて目を逸らすが、
葉子が顔を近づけて追撃する。
「私の体を貸せっていうから
何かなぁと思ったけど……ねぇ〜」
ニヤニヤしながら目を合わせようと
顔を近づける。
その追及から逃れるために
少女は体勢を変える。
「会ってその日にキスするなんてねぇ〜
あおちゃんも意外とダ・イ・タ・ン」
「あ!あれは人工呼吸しなきゃ
って思って‼︎……その…」
顔を真っ赤にして、言い返した。
「わかるわよ〜可愛らしい男の子
だったものねぇ〜唇奪いたくもなるなる」
「だから、そンなんじゃ無いって‼︎」
「でも、いいキスだったよねぇ〜」
「……うん」
「頭からその事が離れないでしょ?」
「…うん」
「今度はもっと真剣なキスをしたいでしょ⁉︎」
「うん!」
「そんでもってもっと◯◯で
◯◯な◯◯◯をしたいでしょ‼︎」
「うん‼︎」
「もういいわ!恥ずかしい‼︎」
思わず団吉が止めに入った。
「そうと決まれば…会いにいくわよ‼︎」
「ちょっと待ってよ、
どこの誰かわかってるの?」
「それは大丈夫!
コウモリのコーちゃんに跡つけさせたから」
「それなら…」
「おいおい、ちょっと待てよ!」
再び団吉が首を挟んだ。
「なにさね!」
「体どうすんだよ、そのままで」
「「あ…」」
1人と1頭が声を合わせた。
それもそうだ、
少女の膝から下は霞のように
消えてしまっているのだから
門吹山に住む幽霊の正体…
それは何も化け狐葉子と
化け狸団吉の変化だけでは無い。
ホンモノの幽霊、
名を葵と言う彼女もまたその1つだ。
「…それならこの前みたいに
私の変化した体を使えば…」
「普通に考えて嫌でしょ、
誰かに見られながらキスとか…」
「あ!そっかそっか…」
思わぬ難問に頭を悩ませていると
「お困りのようだねぇ」
「その声は⁈」
「そうだよ!私だよ!鳥爺だよ‼︎」
「呼んでもないのによくきたわね…」
招かれざる客相手に
1人と2頭によるカクカクシカジカの
状況説明が展開された。
「なるほど…確かに体が要りそうじゃのぉ…」
「ワシに3つ心当たりがある着いてきなされ!」
いやに自信満々な爺さんの跡を
「ここの3つの素材の内から
好きなのを選ぶのじゃ‼︎」
木・粘土・怪しい人形
「……じゃ……じゃあ人形の方で…」
「ちょっと待てぇぇぇぇい‼︎」
2頭が急いで止めに入る。
「何で?どうして?」
「ナンテンもドウシテンもあるか‼︎」
「冷静に考えて!すっごい不気味よそれ‼︎」
「そうかのぉ…ワシは造る手間が省け……
可愛らしくてええと思うのだが…」
「オイコラジジィ!お前他から造んの
面倒くさいだけだろ‼︎」
「そ、そんな事ないぞ‼︎」
「だってこのお人形かわいいし…
今の姿よりずっといいんじゃないかなって…」
「あおちゃん……」
「だから…」
「ダメよ‼︎」
「え…」
「自分から逃げちゃダメよ!
愛のためなら自分自身を曝け出さなきゃ‼︎」
「そ、そうかな?」
「そうよ!魂から真実を語るのよ‼︎」
「…わ、わかった……やめとく…」
「そうよ、それがいいわ!」
内心、胸を撫で下ろした葉子であった。
「となると木か粘土か…」
「粘土よ!ありのままを
得るにはそれしかないわ‼︎」
「それは困る!それじゃあワシが楽…」
「ア゛?」
「……わかりました…やってみます…」
「盛り上がってるところ
申し訳ないんだけど…」
「なに?」
「鳥爺が体造るんだよな…」
「そう言ったじゃん!」
「顔はともかく…服で隠れてるところ
どうやって似せて造んの?」
「「ア゛‼︎」」
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