20 子どもには

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 ――翌朝。


「ほら顔洗って! 今日は朝から忙しいっていったでしょ? 貴女が住む屋敷を決めてさっさと改装しちゃわないといけないんだから!」


「あー……はいはい」


「はいは、一回!」


 この残念イケメンオネェは、もしかしたらお母さんの才能があるのかもしれない。


(だってエディの起こし方、ママそっくり……)


 エディに布団を奪われてしまったので、二度寝したい気持ちを抑えだらだらと寝台から起き上がる。


 そして用意されたお湯で顔を洗えば、横からふかふかで何故かホカホカなタオルを渡された。


「ん、ありがと……」


 なんというか顔を洗うだけでもお姫様気分で、エディと一緒にいると調子が狂ってしまう。


 そしていつもの服を着ようとすれば。


「洗濯中よ、今日はこれを来なさい」


 そして今回はどこぞのお姫様かと思わせるような、ドレスを渡された。


 お姫様待遇はまあいいとして、お姫様みたいなピラピラとしたドレスは遠慮したい。


「いや、だからね? 私ね? こーゆーのは嫌いなんだってば、スカート嫌い」


 エディに嫌だと抗議するが。


「さすがにね、アレを着た貴女を連れて貴族街には行けないわ」


「いやいや待って、なんでわざわざ貴族街? この辺……てゆーか市場の近くがいい!」

 

「それは無理よ。警備の都合もあるし、下町じゃ家が狭すぎて私が住む部屋を確保出来ないし」


「え……エディ、貴方一緒に住む気!?」


 私と住もうなんてなに考えてんのこの人、やっぱり私は狙われている!?


「そんなの当たり前じゃない。私は貴女の護衛兼、執事だもの。ずっと一緒よ?」


 そんな!

 エディとずっと一緒とか、心が休まらん!


「え、やだよ? そんなん私の貞操が風前の灯火じゃんか! 初めては好きな人がいいんです!」


「子どもには手を出さないって言ってるでしょー? 成人してから身の心配をしなさいな」


「く、口では何とでも言えるっ! ガキ扱いできんのも今の内だけだぞ? その内に私の魅力にむらっとくるはず! 溢れ出す私の女の魅力に勝てないはずだ! そしてエディは無理矢理私をっ!? いーやー! えっちー!」 


「……どんだけ自信に満ち溢れてんの貴女。」


 二人の話は平行線をたどる。


「とりあえずさっさとソレ来なさい、馬車待たせてるんだから」


「えー? ホントにこれ着るん……?」

 

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