第4話 元貴族の少年、少女と出会う(女商人フィラ初登場)

 【前回までのあらすじ】


 貴族の家族から追放され、ひとり街へと向かうクリス。


 道中、魔物の群れと遭遇し、何とか勝利したが・・・。




 頂いたアイデアを使わせていただいての更新です。


 ありがとうございました!




 ――――――――――



「あの~、大丈夫っスか、少年?」


 その声にビックリするクリス。


 まさか、近くに人がいたとは・・・


 見ると木々の合間に人が立っていた。


 フードを深くかぶった、小柄な人物だ。


 背中にはリュックを背負っている。


 顔は隠れてよく分からないが、声からすると女の子だろうか。


「あ、ええ、大丈夫です」

 特に敵意は感じられないので、

 クリスはそう返事をした。


「や~、でも怪我しているじゃないっスか。

 ウチ、ポーションあるけど買いません?」


 この女の子、

 商人か何かだろうか・・・?


 だが、そう言われても・・・。


「すみません、

 持ち合わせがあまりなくて・・・」


「あ~、お金なら大丈夫っスよ。

 そこに転がっている、ウサちゃんと交換って事でどうっスか?

 角も肉も、中の魔石も売れるっスからね~」

 そう言って相手は、クリスが倒したホーンラビットの亡骸を指した。


「すごいっスね~。

 これ、少年が一人で倒したんでしょう?

 十匹近くいるじゃないっスか。

 あ、ウサギは『ひき』じゃなくて『』っスかね?」


「えっと・・・、

 魔物だから『匹』でいいんじゃないですか・・・?」


「それもそうっスね。

 で、どうスか少年?

 ポーション、サービスで二つ出すっスよ」


「じゃあ、お願いします」


「了解、商談成立っスね!」



 ~~~~~~~~~~~~~~


 その後、クリスはポーションの一本はしまい、

 もう一本を飲みながら女の行動を眺めていた。


 女は魔兎の亡骸をつかんでは、

 次々に背中のリュックに放り込んでいった。


(ポーションもあの中から出していたけど・・・)

 一緒に入れて汚れたりしないのだろうか?


 いや、それ以前に、

 明らかにリュックのサイズより、魔兎の量が上のような・・・。


「あの、商人さん。

 そのリュックって、ひょっとして『収納ボックス』ですか?」

 クリスは聞いてみた。


「あ、分かっちゃいました?

 ていうか、よくウチが商人だと分かったっスね」


「ええ、何となく・・・」


「あはは、少年、なかなかいい観察眼しているっスね。

 けど、ウチの美しさに気づかないのは減点っスよ」


「声が可愛いのは分かりますけどね」


 ・・・相手の素性も分からないのに、

 クリスは何か、この会話が楽しくなってきた。


 こういう相手をウマが合うと言うのだろうか・・・。


 だから、お互いに名乗り合った。


 女の名はフィラと言った。


 クリスより二つ上の15歳で、やはり旅の商人らしい。


 仕入れた商品は、あまり売れないそうだが・・・。


「街道を馬で行ってたら、クリス君が魔兎の群れに追っかけられているのを見つけたんスよ。

 それで気になって、ここまで追っかけてきたってわけっス。

 ちなみに、ウチも少しだけ倒したんスよ、魔兎を」


「それで、最初より数が少なかったのか。

 何匹かフィラさんのほうに方向転換していたんだね。

 ・・・大丈夫だったの?」


「商品の『臭い袋』を一つ使ってしまったっス・・・。

 これ、鼻のいい敵の前に投げつけて破裂させると、悪臭で気絶させる事が出来るんスよ。

 クリス君も一つ、護身用にどうっスか?」


「いや、遠慮しとくよ。

 というか、あまり近づけないで・・・」


 フィラがリュックから出したの臭いに、

 クリスは思わず鼻をつまんでしまった。


 破れていない袋の状態で、既にこの悪臭・・・。


 あらゆる物を異次元に保管できる収納ボックスがあるならともかく、

 あんな臭い品をむき出しで持ち歩けるわけがない・・・。



 ~~~~~~~~~~~~~


「それで・・・、クリス君はこれからどうするっスか?」

 木々の間に停めていた馬の前で、フィラは聞いてきた。


 行き先の街の名を告げるクリス。


「オッキの街って知っているかな?

 とりあえず、その街で生活の手段を探そうかと・・・」


「へえ、ウチもそこへ向かう予定なんスよ。

 こんな偶然もあるもんっスね」


「うん、あるだろうね。

 ――なにしろ一本道の街道だし」


 ボケてツッコんで・・・、

 笑い合う二人。


「なら一緒に乗っていくっスか?」

 そう言って、馬の首筋をなでるフィラ。


 速さはないが頑丈そうな体型をした馬だ。


「嬉しいけど、タダじゃないんでしょ?」


「道中ウチの護衛を頼むっス」


「それくらいなら喜んで」


「商談成立っスね」


「うん・・・、

 ありがとう、フィラ・・・!」


 ――そして、馬の背にまたがり、

 街道を走り抜けるフィラとクリス。


 乗馬の経験がないクリスは、

 必然フィラに後ろからつかまる事になった。


 両腕から伝わる異性の感触と、至近距離からの甘い匂いに、

 クリスは若干動揺してしまう。


「オッパイとか触ったら、金取るっスよ」


「やらないよ!」


 そんな風に、道中クリスはフィラにいじられ続けた。


 だが・・・、楽しかった。


 いつのまにか、クリスの気持ちは晴れていた。


【つづく】




 

 ――――――――――――――


 ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!




 そして・・・、




『次回、街へと着いたクリス。

 ここで生きるために、まず向かう先は?』


 あなたの想像・・・いえ、創造されたアイデアをコメント欄にてお贈りください!


 簡単な一言だけで結構ですので・・・!


『冒険者ギルド』とか、『商人ギルド』とか、『個室付き浴場』とか・・・。




 物語の続きを紡ぐためにも、


 どうぞよろしくお願いします・・・!


 というお願いをお聞きくださり、

 本当にありがとうございました!


 最新話では新たなお題を募集中ですので、

 どうぞよろしくお願いします・・・!


 最新話では常にアイデア募集中です。


 よろしくお願いします!!




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