第18話「シモヤマカイトの初仕事!?」
「久々に外の空気吸った感じになるな」
そんなに日は経っていないが、それでも長時間地下にいたせいで感覚がおかしいくなっている。
「おやおやこんなところにいたのかい?」
「なんだハルトか、もう流石に驚かないぜ」
何回も同じ遭遇をしていれば自然と慣れてしまう。
「君に話したいことは2つだ」
「どうした?ゆっくり聞くぜ、別に俺もお前も急いでるわけじゃないしな」
今のところはなにも予定がないのでそこらへんをぶらつくつもりだった。
「じゃあ1つ目から、これを君に渡そうと思ってね」
「なんだこれは?」
何が入っているかわからないように黒色で塗装された箱を渡された。
「これがあれば君も遠距離魔法攻撃にも対応できるんじゃないかなと思ってね」
「なるほどな。いざとなったら使わさせてもらうよ」
さすがに今ここで使ってしまってはもったいないので大事にジャケットのポケットの中にしまった。
「そして2つ目だ、僕と一緒に仕事をしてもらおうかなと思ってね」
「お前…1つ目の話は完全についでみたいな感じじゃねえか!」
とりあえず話しておくかという感じが出ていたのだ。
「まあ内容についてだが、お店で出す料理の新メニューを考えようとしている人がいてね、なにか良いレシピがありませんか?って聞かれたんだけどね…」
「んで俺が一番知ってそうっていう結論に至ったわけか」
故郷の料理でも提案しようかと少し考えたがこの世界には材料があるかどうか怪しい。
「この世界に材料があるかはわからんがカツサンドってのはどうだ?」
「レシピとかあるのかい?」
胸ポケットにしまってあった紙を取り出した。
「ほう、これが…じゃあさっそく君が手本を見せないとだね」
「はいはい。ところでそのお店というのはどこにあるんだ?まさかここじゃねえだろうな?」
あまりよろしくない思い出ばかりだったのでこの島からは早く出ていきたい。
「残念だがこの島のどこかの店だ」
「ん?場所は伝えられてないのか?」
普通なら場所を伝えられるはずなのだが、ハルトは全く知らないような顔をしている。
「まあ歩いて探すしかないみたいだね、名前が確か…コントラルだったね」
「その名前が書いてある看板を探せばいいんだな」
とは言っても場所を特定できているわけではないので見つける作業がありえないぐらい大変である。
新メニューを出したいくらい困っているようだから見捨てるようなことはしたくない。
「まあ、一仕事頑張るとしようじゃないか!」
「やけにテンション高いな」
なにかおかしいものでも食べたのか?と思ってしまうぐらいにはハイテンションだった。
「少し気になったのだが、どうしてその服を着ているんだい?」
「どうしてってそりゃ安かったからな、この服のセットが」
値段がかなり抑えられていた、当時はお金が全くなかったのでこれしか買えるものがなかったのだ。
「これをあげるよ」
「ローブか…シンプルなデザインでいいな」
濃い紫色のローブだが一体どこでこんなものをどこで手に入れたのか。
拠点がある場所以外はどこもうっそうとした森ばかりだ、探すだけでしんどいが店を見つけたあとに実際に調理をしなくてはならない。
「お?なんか入口みたいなのを見つけたぞ」
「道も通ってるじゃないか、ってことは誰か一がいるに違いない」
入口らしきものを見つけたのはたまたまなので道が通っているというところまでは全く気づいていなかった。
「ただの旧道じゃないのか?全然整備されてないじゃないか」
「いやいや行ってみないとわからないよ?」
倒れた木がそのまま放置されており非常に足元が悪い状態となっている。
「なあ本当に大丈夫かこれ、いくらなんでも狭すぎやしないか」
「問題ないさ」
問題ないさとか言われると更に怪しく感じてしまうのがこいつの悪いところではある。
「ん?よく見たらさっき渡した服を着ているじゃないか、結構似合ってるね」
「たまには気分転換ってのもありだろう?」
初めて見る人だと怪しい宗教の人だと勘違いされてしまいそうで怖い。
「やっと出れそうだぞ」
かなり長い時間狭い道を歩かされた。
「集落だな…」
「こんなところに集落があるんだね、森が好きってのは嘘じゃなかったようだねえ」
妙に文明が発達しているようだが他の場所の進みが遅いのか?と疑問が浮かんでくる。
「一旦この場所で探してみるとしようか」
「手分けしたほうが早そうだしひとまず分かれるとしようか」
「そうだね」
効率重視でいかないと時間がもったいない。
「本当にこんなところにあるんだろうなあ…」
みんなの視線がかなり冷たいがそこにいちいち突っかかっててもキリがないのであえて無視している。
「ふうー休憩休憩」
ずっと歩いていたものだからさすがに足が疲れてしまっている。
「向こうの看板、コントラルって書いてあるな……ってあれじゃねえか!!」
危うくそのままスルーをしてしまうところだった。
店の入口まで走っていこうとしたときだった、突然誰かに引っ張られてしまった。
「いだだだだ、一体誰だ?」
「しーっ、声が大きい」
そんなに大きな声を出しているつもりはなかったが、どうやらその人にはうるさく感じ取られてしまっているらしい。
「その依頼書もしかして…受注してくれたんですか!?」
「なんだお前もでけえ声出してるじゃねえか」
声が大きいと行ったそばからその人も大きな声を出して驚いていた。
「やった!これで怒られなくて済む!」
「お…おう」
偶然にもほどがあるがこれで依頼を完了して他のことをすることができるので結果的には良き。
「ではさっそくレシピを教えてもらっていいですか?あと材料も!!」
「落ち着け落ち着け、順番に説明するからそう慌てるな」
「慌てるも何も新メニュー提案の締め切りまであとちょいなんだよ〜」
本当に早めに見つけることができて正解だったなと思ってしまった。
「まあレシピ渡したほうが早いだろうな、あと材料も載ってるからそれそのままわたしてきな」
「いえ!キミもくるべきだよ!」
その雰囲気を見るにどうやらまだ依頼は完了していないという事がわかる。
「引っ張る力強すぎるだろ」
とてもじゃないが振りほどけそうにない。
「ほらほら〜遠慮しないで早く入って」
「分かった分かった」
おしゃれなバーに見えるが、おそらくここはバーなのだと思う。
「結構な数のメニューだな」
「じゃあ紹介するね、この人が…」
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