第12話「王国軍との戦い」
「しかしヒメナを抱えたままじゃ難しいな、どっかにおいてくか?」
「それはどうなんだろうか?」
やろうとしてることが人間の心を捨てているとしか思えていなかった。
「まあ戦いが始まったらどっか安全な場所に置くつもりだ」
「それが一番最適な気がするよ」
敵軍が一気に攻めてくる前に仕留めなければならない。
「万が一のために僕が城から街全体に障壁を張ったよ」
「便利だな」
これによって敵軍が街とかに攻め込むことは不可能となった。
「あれが船か」
「そうね、
「おや?うなされていたようだけど治まったみたいだね」
いつの間にか元通りになっていた。
「うじゃうじゃと出てきたな」
「さあ早速攻めようか」
やる気満々ですぐにどこかに消えて行ってしまった。
船付近を観察していたら一気に降下していく稲妻のようなものが見えた。
地面に当たった瞬間広範囲の軍が爆発に巻き込まれ死んでいった。落雷に見えたものはハルトが上から攻撃しただけのものだった。
「あいつ早えな、俺も行くとするか」
走っていこうにもかなりの距離がある。あの距離を一気に移動した彼はとんでもないという事に気づかされた。
「あんまり兵士たちがいなくてよかったぜ」
次々に出てくる兵士たちを斬り殺している、あいつ一人で十分だが負担をかけるわけにはいかない。
「くっ、急に圧力が…」
「大丈夫か!」
襲い掛かってきた敵兵たちをとりあえず蹴り飛ばした。
「君がいると心強いよ、あと僕の仲間たちももうすぐ到着するそうだ」
「でも数少ない俺らの軍はあれなのか?街を守ってるのか?」
一向に来る気配がない。街を守るだけで精いっぱいなのかもしれない。
「それにしても妙じゃないか?軍の数が少なすぎる」
「ん?おい、なんだありゃ!」
巨大なドラゴンらしきものが城の方へと向かっていくのが見えた。
普通の見た目のドラゴンとかではなくかなり禍々しい見た目のドラゴンだ、いったいどこでこんなもの見つけたのやら。
「あれは…
「なるほどなこっちは
「なんとかなったか」
「カイト!僕につかまるんだ!」
言われた通りにつかまった。その瞬間とてつもないスピードで移動しているのが分かった。
「は、早すぎるな」
「空中戦になりそうだね、一番被害が抑えられる」
空中戦といっても魔法とか使えないので当然下山は舞空したりはできない。
「これを使いな」
「なんだこれ、また怪しい液体だな」
これこそ怪しい見た目をしている、だが飲まなければどうしようもないのだ。
「これを使えば僕みたいに空中戦もできるようになる」
「便利なもん売ってるんだな」
飲んでみるとふわーっと宙に浮かんだ、どういう原理なのかはよくわかっていないがこれであのドラゴンと対抗できる。
「よし早速ぶったおすか」
「僕も本気で行くよ」
大荒れな天気に変わったかと思ったらハルトがまた違う姿になっていた、今度は魔の雰囲気を感じる。
「これを使うのも久々だなあ」
「声がぼそぼそとしてて聞き取りづらいがまあ倒すことに集中するか」
竜という名前がついているが実際は本物の竜ではない、アスパル王国が製造に成功した人造のモノである。
「おかしなものばかり造るねえ」
「本当にそうだな、竜なのに火を噴かないのかよ」
ドラゴンが全部火を噴くと思っているが全部が全部炎のブレスを吐くわけではない。
「だが油断したらやられるよ」
「そうみたいだな!」
尻尾で攻撃されたとき危うく命中するところだったからだ、だいぶ気性が荒く見える。
「グオオオオ!」
「くっ、なんて圧力だ」
威圧感が特段に高い、だがこの程度の威圧では下山はひるんだりはしない。
爪やら尻尾などを駆使して全力で殺しにかかってきている。こいつは人間ではないから殺すことに
「くそ!どうにかなんねえのか!」
「斬ってはいるが皮膚が硬すぎて深くまで刃が入らない」
さすがは人造といったところか、そういうところまできっちりと対策されている。
「だいぶまずい状況だな」
ハルトの誇る切れ味のいい武器ですら攻撃が無効化されるのだ、物理攻撃なんざ更に通らない。
「地道にやってくしかないのか」
「いや、君のその独特な攻撃法なら通るかもしれないね」
独特な攻撃法といえば普段使ってるやつだがこれで通るなら誰も苦労しない。
物は試しにと通常コンボを放ってみた。
「グォォォ!!」
「お?ダメージを与えられるのか!」
とはいえどあのドラゴンに通ったダメージは微々たるもの、コツコツとやっていく他ない。
「グオァ!」
「うわああああ!!」
ハルトが魔導竜の攻撃によって下の方に振り下ろされてしまった。
「ハルト!!おい…調子乗んなよ」
さすがに仲間が吹き飛ばされてしまってはたまったもんじゃない、だがこちらからはほぼ何もできない。
「いくらなんでも強すぎる…でもここで野放しにしたら街が一気に崩壊してしまう」
圧倒的ピンチの状況だ。
「武器もなしじゃここまでか」
粘りに粘ったが、ダメージを一切与えれていない時点でこちら側が無駄に体力を消耗していくだけ。
「ゲホッゲホ…まだ終わっていないさ」
「帰ってきたか!」
ボロッボロの状態でまた帰ってきた、今まで見たことないくらいの大けがを負いながらも戦場に復帰する姿はさすがにかっこいいとなった。
「下山…行こう!」
「そんな怪我で本当に行けるのか?」
今は空中に浮かんでいるからまだまともに立ってはいられるが地面に降りたら何かにつかまっていないと立つことすらできないのではないかと心配になってしまった。
「この竜ほとんど発したりしないから何してくるか本当にわからん」
「一回一回の攻撃はのっそりとしてるから見極めやすいけどね」
見極めやすいが完璧に避けれるかと言われたらそこは不安になる、全部が全部一回で終わるわけではなく連続の時もあるからだ。
「死を迎えるか…生き残るか…」
「ぼさっとしてないで早く戦いなよ」
こんなところでボサっとしていたら普通に殺される。
「落ち着け…どうやって一発で殺せるかを考えるんだ…」
「その…方法は…正しいかもね」
どこが弱点かをよく見なければならない。
どこを隠しているか、それかそこだけ異様に柔らかとかもある。
「そうか!腹か!!」
「こいつのお腹…なのかい?」
常にこちら側に向けていない、そこがおかしいと下山は感じ取った。
問題はどうやってこの魔導竜の弱点?とやらをさらけ出すかだ、下の方に行こうにもその高度に合わせられる。
「君の…前蹴りなら…いけるんじゃないかな?」
「前蹴り?そんなんで行ければいいんだが」
よく前蹴りを使っているが人間相手になら有効だが、相手はなんていったってドラゴンだ。
「悩んでても仕方がない、やれるもんは全部やるしかない!」
「やっぱり君は…すごいな」
やれることは何でもやるのが彼の性格ではある。
「グオ?」
一発だけ蹴りを入れた。物の見事に下の方へと墜落していった。
「グ…」
ちょうど腹がむき出しの状態になってぶっ倒れていた。
「これが最後のチャンスかもしれないな」
「あとは君に任せるさ…」
ハルトも力尽きたのか気を失ってそのまま落ちて行った。
当たり前だ、あれだけの攻撃を受けたんだ、気を失うのもおかしくない。
「ハルトの分まで殴ってやるか」
そういって魔導竜の近くまでよってどうやって痛めつけようか考えた。
「そうか!」
昔使っていたあらゆるものを打ち砕く最終奥義を思い出したのだ。
それはどれだけ硬いものだろうが簡単に砕いてしまう程の威力を持った技であり最強とされていた技でもある。
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