第22話:またまた女神様?。

大志だいしは小玉ちゃんの献身的処置で一命を取り留めた。


で、さっそく総合病院で精密検査を受けた。

もちろん小玉ちゃん付き添いで。


検査の結果、どこにも異常は見られませんとのことだった。

体のどこかにも異常があったという証拠も出なかった。

健康そのもの。


たしかにそれはそうだ・・・大志が倒れた時、小玉ちゃんの治癒って言うか

治療によって体にあったかもしれない悪いところはその時に全部綺麗に治って

しまっていたんだから・・・。


医者が言うには大志の幼少の頃の心臓弁膜症が原因で突発的に心臓が

停止したのではないかという診断だった。

しかし今は不整脈すらないとのことだった。


ひとまず安心・・・よかったよかったってことで大志は元気で小玉ちゃんと

マンションに帰ってきた。


小玉ちゃんはすぐにタマちゃんに連絡して大志はどこにも異常がなかった

ことを伝えた。


一時は、大変なことになるところだったが、とりあえず出雲家に平和な日常が

戻ってきた。

だから、小玉ちゃんの名前が出雲 御杜子佐姫いずも おとごさひめ

いつなってもおかしくはなかった。

「出雲 小玉」のほうがいいかもね。


もちろん大志と小玉ちゃんは日本の法律では正式には結婚できない。

だからふたりの結びつきは異類婚姻譚いるいこんいんたんってのになる

のかな。


そして元気になった大翔は、また仕事に復帰した。

新しい取材のため、小玉ちゃんを残して岩手県、遠野地方へ旅立った。


季節は初冬・・・その日はいつになく暖かかった。


取材を済ませ遠野の観光協会で民宿を紹介してもらった。

紹介された民宿は「いわて遠野交流館」

その民宿は田舎らしい牧歌的な場所にあった。


温泉に露天風呂なんかもあってなかなかいい民宿だった。

地元の食材満載の晩御飯を食べて温泉にも入ってさて寝るかと思って、

布団に入った。

でも、なかなか寝付けず・・・横を向いたり、うつ伏せになったりしていると


「眠れないの?」


って誰かの声がした。


一瞬、小玉ちゃん?って思ったが、小玉ちゃんは家でいい子にしてるはず。

誰?って思って、がばっと起き上がった。

そしたら畳の上にちょこんと正座した女の子が大志を見てニコニコ笑っていた。


「わお、めっちゃ綺麗な人・・・」


「あの・・・君、誰?」

「俺、部屋の鍵かけ忘れたのかな?」


「鍵なんかかけたって無駄よ・・・入って来れるから」


「あの・・・君、この民宿の娘さん?」


「全然、違うけど・・」


「たまたま通りかかったら、あなたがこの民宿に入ってくところを見かけて、

で、私のタイプって思ったからずっとついて来てたの?」


(あれ?これと同じシュチュエーション・・・うそだろ?)


「君、まさか女神様?とかじゃないよね」


「え?なんで分かったの?・・・めっちゃすご〜い」


「ああ、やっぱりだ・・・同じだよ」


「私は、奥司羅姫おくしらひめって言う、この地方で信仰されてる家の

神様なの」


「はあ・・・家の?、神様?・・・座敷童みたいな?・・・」


大志は家のって聞くと座敷童しか思いつかなかった。


つづく。


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