第20話:大志のピンチ。

その日はタマちゃんが来ていた。

夕方までいてエッチタイムが始まる前にお邪魔虫はとっとと神社に帰ろうと

思っていた。


「どうせ今夜も、小玉はまたエロっちい女になるんじゃろ?」


「エロッちいって何よ?」


「エッチばかりしとるとバカになるぞ・・・」


「バカになんかなりません〜」

「むしろお肌が綺麗になるんだからね」


タマちゃんと小玉ちゃんが絡んでいると大志が風呂からパンツ一丁で

上がってきた。


「誰がエッチばかりしてるとバカになるって?・・・ 風呂場の中にまで

聞こえてきてるぞ〜」


「おまえら・・・今日は一緒に風呂に入らんのか?」


「ダイちゃんと一緒に入るとね、ダイちゃん我慢できなくなってお風呂の

中でもエッチしたがるの・・・場所が変わるとめちゃ興奮するんだって・・・」


「私はちゃんとベッドの上で愛して欲しいからね・・・」

「だから、一緒に入らないの」


「ふ〜ん、そのうち大志は台所がいいだの玄関がいいだの言い出しそうだな」


「ベッド以外でするのはマンネリ化防止なんだって」


「マンネリなんて、おまえらにはまだ早いわい」


大志は風呂上がりに冷蔵庫から飲み物を取り出して飲んでいた。

一気に全部飲み干したと思ったら、そのままの状態で絨毯の上に後ろから

ダーンってすごい音をたててぶっ倒れた。


びっくりしたのは小玉ちゃんとタマちゃん。


小玉ちゃんが振り向くと冷蔵庫の前に大志が倒れていた。


「え?・・・なに?・・・なにが起きたの?」


「大志がぶっ倒れとるぞ・・・」


小玉ちゃんはあわてて倒れてる大志のそばに駆け寄った。


「ダイちゃん・・・ダイちゃん、なに?急にどうしたの?」

「ね、大丈夫?ダイちゃん・・・」


小玉ちゃんは倒れた大志を揺すってみたが、大志はピクリとも動かなかった。


「タマちゃん、ダイちゃんが反応ないよ」


「いきなりじゃのう」

「息はしとるか?」


小玉ちゃんは大志の顔に自分のほっぺたを近づけた。


「してない・・・息してないよ」


「心臓は?」


そう言われて小玉ちゃんは大志の胸に耳を当てた。


「ドキドキ音がしてない・・・心臓も止まってる・・・どうしよう」


小玉ちゃんはちょっとパニクって涙目になった。


「原因が分からんな・・・なんでいきなり倒れた?」

「じゃが、そんなこと言っておる場合じゃなかろう」

「海斗の時と同じで、今から救急車なんぞ呼んでも間に合わんじゃろ」


「すぐに応急手当てか救命処置をせねば・・・大志の命が危ないかもしれんぞ 」

「小玉、おまえがやれ、大志を救えるのはおまえしかおらんで」


「分かった、私がダイちゃんを助ける」


「タマちゃん、私の手を握ってて」

「私がダイちゃんの体の中に入るから・・・」

「私が力を使い果たしたらダイちゃんから出てこれなくなるかもしれないから」

「もし、そうなったらタマちゃんが私を引っ張り出して」


「分かった・・・無理するなよ」


「無理したっていい・・・もしダイちゃんになにかったら私、生きていけない 」


「分かった、自分の思うようにやれ」


小玉ちゃんは倒れた大志の体の中に少しづつ入っていった。


大志の胸のあたりから小玉ちゃんの右手だけが外ににょきっと出ていた。

タマちゃんはその手をしっかり掴んで小玉ちゃんのサポートに回った。


タマちゃんも多少は治癒する能力を持っているようで大志の頭に向かって

手で気を放った。


小玉ちゃんが大志の体に入ってから10分・・・小玉ちゃんが出てくる気配は

なかった。


第21話に続くのじゃ。


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