第15話:行方不明になった海斗君。
「私たちが来た時、話してたでしょ・・・カイト君って男の子」
「行方不明になってるの・・・タマちゃん探して・・・」
「そうか・・・それは一大事じゃの・・・待てよ」
そう言うとタマちゃんは、あぐらを組んで、鋭い目をして一点に集中した。
「なにか見える?」
「そうじゃな・・・西側に沖に向かって伸びる防波堤が見えるが・・・」
そう言われて
「うん、見える、言った通り防波堤が沖に向かって伸びてる・・・」
「その堤防の突先じゃ・・・その海の中に、おぼろげじゃが子供が見える」
「きっとカイト君だ・・・すぐ助けに行かなきゃ」
小玉ちゃんはすばやく立ち上がった。
「あの・・・どういうことでしょ・・・海斗は?」
「あ、お父さん、お母さん、もしかしたらカイト君が見つかったかもしれません」
「あそこに見える防波堤の先にカイト君がいるみたいです」
小玉ちゃんそう両親に告げて、すぐに防波堤に向かおうとした。
「えっ、どこですか?」
「ごちゃごちゃ言っとる暇はないぞ・・早くせにゃ」
「私、行ってくる」
「待て待て、ここから走っておったんじゃ間に合わんかもしれんぞ」
「大志、小玉・・・わしの腕に掴まれ」
大翔と小玉ちゃんはタマちゃんの言うとおりにした。
「行くぞ、一瞬じゃからな」
そう言うとタマちゃんは大志と小玉ちゃんとともに、その場から消えた。
海斗君の両親は顔を見合わせて不思議そうな顔をした。
「あ、あの猫、今しゃべってなかった?」
まあ、今は一刻を争う時、人の目など気にしている場合ではなかった。
三人は一瞬で防波堤の端っこに現れた。
「おわ〜・・・すげえ・・一瞬で移動した」
「ほれ、大志・・・堤防の突先の下じゃ」
タマちゃんが場所を指摘したので、大志は海の中を覗き込んだ。
着ていた服に見覚えがあった。
「いた・・・沈んで・・」
そう言い終わらないうちに大志は海に飛び込んでいた。
堤防に近かったので海はさほど深くはなく大志はすぐに子供を救い上げて
堤防にあげておいて、続いて自分も上がってきた。
沈んでいたのはやはりカイト君のようだ。
両親がちょっと目を離した隙にここまで来ていたのだ・・・海の魚でも
見ていたのか・・・で堤防から海に落ちた・・・ってところだろう。
「カイト君・・・カイト君・・・目を覚まして」
小玉ちゃんはカイト君の体を揺すった。
「小玉・・・どうじゃ?」
小玉ちゃんはすぐに、カイト君の状態を確かめた。
「心臓は動いてる・・・でも息してないよ・・・」
そうこうしてるとカイト君の両親がやってきた。
「海斗?・・・あ、海斗・・・」
「海斗は、どこにいたんですか?、どうなってるんです?」
父親の方は母親より先にやってきて、息子を心配した。
「そこから海に落ちたようじゃな・・・」
「海斗は溺れたんでしょうか?」
「そうみたいです、俺が助け上げたんですけど、どうも息してないみたいなんです」
そこへ母親のほうがやってきた。
「海斗・・・海斗は?」
第16話に続くのじゃ。
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