第13話:キスしていい?。

いい天気だったのも手伝って大志だいしは小玉ちゃんとタマちゃんを連れて

ご近所のキャンプ場にでかけた。


キャンプ場へ行く前に、スーパーで食材の買い出しをした。

スーパーから歩いて五分、足の短いタマちゃんを連れていたので10分かかった。


タマちゃんはキャンプ場の場所さえ教えてくれたら瞬間移動で

現地まで行って、そっちで待ってると言ったが人がそれなりにいる前で

消えたり現れたりするのはヤバくないかってことで、歩いて行ってもらう

ことにした。

それにしても、なんでもできちゃう仙人だよな。


キャンプ場に着くと真っ先に小玉ちゃんが奇声をあげて砂浜に向かって

走って行った。

その先には海がある・・・海の向こうにはヨットが数隻漂っていた。


タマちゃんは砂が嫌いなのか、その手前で海を眺めていた。


夏の海はキラキラ輝いて、サザンの曲がどこかから流れていた。

雰囲気のいい曲を聴いたら大志は小玉ちゃんを抱きしめたくなった。


「小玉ちゃん・・・こっち」


小玉ちゃんが戻ってきたので大志は彼女をなにも言わず抱きしめた。


「なに?どうしたの・・・急に・・・」


「うん、ただ小玉ちゃんを抱きしめたくなっただけ・・・」

「あの・・・あのさ・・・キスしていい?」


「変なダイちゃん・・・でも、いいけど・・・そういう雰囲気好き」


ふたりは砂浜に立ったまま唇を重ねた。

大志はシラけないように、また小玉ちゃんを抱きしめた。


サザンの曲が終わる頃、大志は小玉ちゃんを連れて受付まで行って、

場所代を払ってキャンプ道具一式を借りた。


空いてるスペースがあれば適当に場所を選んでテントを張っても

いいということだった。


キャンプ場は全面芝生が植わっていて、木のテーブルや椅子もあって、

水場やトイレも完備されていて女性にも気配りが行き届いていた。


大志は空いたスペースを見つけてタマちゃんと小玉ちゃんを

連れて場所を確保するとキャンプ道具からタープを取り出した。


大志たちの右隣はカップルみたいだった。

左側には家族づれ、若い両親と、小さな男の子。

小玉ちゃんはすぐに、その子供のところに行って話しかけていた。


「僕、お名前は?」


海斗かいとです・・・まだこの子、自分の名前言えなくて・・・ 」


そういったのはお母さんだった。


「そう、カイト君、カイト君は何歳ですか?」


「3才です・・・」


「海斗君、お姉さんお隣にいるから仲良くしようね〜」


小玉ちゃんがお隣の家族と話してる間に大志は日よけ用のタープを張っていた。

タマちゃんは・・・木の椅子に腰掛けて大翔がタープを張る手伝いもしないで

見ていた。

大志は、タマちゃんに手伝ってもらっても、たぶん足手まといになるだけと

思って、なにも言わなかった。


「ダイちゃん、私も手伝うから言ってね」


「いいよ、なにもしなくても、これ張ったらもう、することないから」

「ゆっくりしてていいよ」


タープが張れるとタマちゃんは外は暑いと行ってすぐに中に入ってきた。

タマちゃんが外に出てきそうにないし、晩ごはんの支度にはまだ早かった

から大志は小玉ちゃんを連れてまた海を見に行った。


第14話に続くのじゃ。


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