第12話:じゃ〜やっぱりタマちゃんで。
「ねえ、行くなら早く行こうよ」
ほおずえをついて退屈そうにふたりの会話を聞いていた小玉ちゃんが
しびれを切らして催促した。
「猫という生き物はわしの後に微生物から進化して生まれた生き物じゃて」
「たまたまわしに似てしまっただけじゃ」
「猫仙人がイヤなら、じゃ〜なんて呼べばいいんですか?」
「タマちゃんでいいじゃん、ねタ〜マちゃん」
横から小玉ちゃんが口を挟んだ。
「そう呼んでいいのは小玉だけじゃ」
「なんで俺はダメなの?」
「男になんぞに、タマちゃんなんて呼ばれたら気色悪いわい」
「それじゃ〜・・・猫ちゃん」
「猫じゃないっつうとるじゃろが・・・」
「じゃ〜・・・じいちゃん」
「何を言っとるんじゃ・・・おまえは・・・失礼じゃぞ」
「だってさ、俺よりけっこう長く生きてるんだろ・・・仙人って言うくらいだし」
「まあ、おまえよりは遥か昔から生きとるがな」
「そんなこと言ったら、もう他に呼びようないじゃん・・・」
「だから〜タマちゃんでいいじゃん、私がタマちゃんって呼んでるのに
ダイちゃんが違う呼び方したらややこしくない?・・・変だよ」
「そうだよ、小玉ちゃんの言ってることが正しいと俺は思うな」
「分かったわい・・・もういいわ、好きに呼べばよかろう」
「じゃタマちゃんで決まり」
「なんでこんなことで、もめなきいけないんだよ、ったく」
「でさ、キャンプだけど・・・小玉ちゃんは行くって言ってるんだから
タマちゃんも行こうよ・・・カビ臭い神社に長くいたんだろ」
「外にでたほうが健康的だよ」
「そうだよ・・・行こうよ、タマちゃん・・・ね?」
「しょうがないのう、まあ一人でこの部屋に残されても退屈じゃし・・・
じゃ〜まあ行ってみるか・・・」
「こっちも決まりだな」
「この近所にさ、いいキャンプ場があるんだ」
「15分も歩けば着けるし・・・」
「マリンパークって言って、海も砂浜あるし、グランブルーってレストランも
あるし、ヨットハーバーなんかもあるんだ」
「しかもキャンプ道具はレンタルしてくれるらしいから、手ぶらで行っても
大丈夫」
平日だからそれほど混んでないはずだから丁度いいや・・・」
で、その日は昼からも快晴・・・暑いくらいだ。
こういう時、サラリーマンじゃなくフリーで仕事してるといいよなって
大志は思った。
小玉ちゃんは大志とさえ一緒にいられたらキャンプじゃなくても、なんでも
よかったみたいだ。
大志が家にいてエッチしようかって言ったら、いつでもオッケーな
状態になっていた。
と言うか・・・もうそろろろ大志に愛して欲しかった。
大志のマナ「愛」が欲しかった。
そうじゃないとまたいつ神の国へ引き戻されるか分からない。
もし、そうなったら何百年も大志に会えないことになる。
小玉が目覚めた時には世の中も変わってるし、なにより大好きな大志は
もうこの世にはいないんだから・・・。
第13
話につづくのじゃ。
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