第9話:小玉には上等なレシピ。
「タマちゃん、泊ってくよね」
「まじで?・・・俺のマンションだけど・・・そんな勝手に?」
「いいじゃん・・・私のマンションでもあるんだから・・・」
「いつからだよ」
「ダイちゃんって、めちゃ優しい人だもんね」
「困ってる人見捨てられないでしょ?」
「その猫ちゃん?、困ってるようには見えないけどな・・・」
「タマちゃん、お泊りしたっていいよね」
「いても別に迷惑じゃないでしょ」
「どうせダイちゃん、エッチしてくれないんだから、いいじゃん」
「いや、それは関係ないだろ・・・」
「ダイちゃんが泊まっていいって・・・よかったね、タマちゃん」
「だけど、私がダイちゃんとエッチする時はどこかへ出かけててくれる?」
「勝手に話進めるなって・・・」
「タマちゃん、今日は私が腕によりをかけて、おごちそう作るからね」
「食べてね・・・」
「では、お言葉に甘えて・・・一晩と言わず、とうぶんお世話になろうかの」
「え?とうぶん?」
「ずっと神社にいて、この不景気で生気のない参拝者を見てるのも飽きた
しな・・・」
「うん、いていて・・・ずっといてくれていいから」
「ふたりで話をどんどん進めるな!!」
「そんなに起こるとハゲちゃうよ」
「ハゲたダイちゃんなんて私見たくな〜〜〜い」
「ハゲたりしないわ」
「あれは遺伝だからな・・・俺の親父はハゲてないし・・・だから俺もハゲないの」
「なに、ムキになってるの?冗談で言ったんでしょ」
「冗談でもハゲの人が聞いたら気分悪くするだろ・・・」
「ごめんなさい」
って訳で猫仙人はしら〜っと大志にマンションに居座ってしまうことに
なったわけで・・・。
で、小玉ちゃんは腕によりをかけてカレーを作った。
今の小玉ちゃんには、それでも上等なレシピなのだ。
でも、これが意外と美味かった・・・大志も猫仙人も絶賛した。
意外と飲み込みも早いし、もしかしたら小玉ちゃんは料理の才能があるのかも
しれないって大志は思った。
カレーがメインだけど、案外食卓は話がはずんで盛り上がった。
盛り上がっていたのは若干2名だけなんだが・・・。
大志が話題には入れない猫仙人と小玉ちゃんしか知らない話が多かった。
それでも大志は楽しそうに話す小玉ちゃんを優しく見ていた。
食卓が盛り上がったこととカレーを腹一杯食べた小玉ちゃんは、そのあと
疲れたのか眠いって言ってソファで横になってピースカ寝てしまった。
友達をほったらかしにして、自由な子だ。
大志は毛布を持ってきて小玉ちゃんの体にかけてやった。
「よく寝てるよ・・・寝顔も可愛いよな・・・」
「これからどうするんじゃ?」
まだキッチンテーブルにいた猫仙人が言った。
「どうするって言われても・・・」
「ああ、そう言えば、小玉ちゃんは、やたら俺とエッチしたがるんですけど」
「なにか理由でも?」
「エッチしてくれないと困るって・・・」
「なにが困るのか知ってます?」
「おまえ、小玉のことが好きなんじゃろ?」
「そうですけど・・・」
「どのくらい?」
「どのくらいって・・・」
「たとえば、おまえ小玉のためなら死ねるか?」
「死ねるかって言われても・・・まだそこまで考えたことないです」
「そうか・・・もしおまえがそう思えるようになったら、小玉を抱いてやれ」
「それがおまえの為でもあるし、小玉の為でもあるからの・・・」
「おまえのマナ「愛」をもらえないと、いつか小玉は昔のように自分の
生まれた世界に引き戻されるかもしれんからな・・・」
「え?それってどういうことですか?」
「小玉から聞いてないのか?」
「はあ、聞いてません、小玉ちゃんは自分の過去のことは話さないし・・・」
「これは小玉自身から聞いた話じゃがな・・・」
第10話に続くのじゃ。
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