第8話:招き猫だよね?
「あのさ・・・あれが小玉ちゃんの友達って人?」
「そうだけど・・・」
「どう見ても人間じゃないよね・・・なに?誰?・・・小太りの猫?」
「人間なんて、ひとことも言ってないよ、私」
「俺がよ〜く知ってる、招き猫って置物にめっちゃ似てるんだけど」
「そうだよタマちゃんは置物の招き猫の原型・・・元になった人」
「高徳さんって神社に住んでる猫みたいな仙人なんだよ・・・」
「猫みたいな仙人?・・・だって?」
「そんなの動物図鑑にだって載ってないだろ?」
「これこれ・・・せっかく訪ねてきたのに、ほったらかしか?」
「あ、ごめんねタマちゃん」
「あのね、この人、
「珍しいとかって次元の問題じゃないと思うけど・・・小玉ちゃん」
「この人?、この猫ちゃん・・・絶対招き猫だよね」
「ここに来るまでに誰も騒がなかったのかな・・・目立ちすぎだろ」
「愚か者め、わしがここまで、へこへこ歩いてくるわけがなかろう・・・」
「ねえ、ねえ、せっかく訪ねてきてくれたんだから部屋にお招きしようよ」
「ん〜まああいいけど・・・ここまで来たら、いろいろ知りたいし」
大志は小玉ちゃんと招き猫を連れで自分の部屋に戻った。
さて、さっき小玉ちゃんが言ってたお寺、高徳神社。
猫好きの間では有名なのが、招き猫発祥の地ともいわれる神社。
縁起物の代表格のひとつといえる招き猫だけど、タマちゃんはその元になった
仙人で高徳神社の守り神でもある。
本来、猫は農作物や蚕を食べるネズミを駆除するため商売繁盛や招福に繋がると
大事にされたし、またタマちゃんの存在は招き猫が生まれる要因にもなったらしい。
農作物や蚕と言う点から見て、そういう関係から小玉ちゃんと知り合いになった
ってことなんだろう。
「まあ、理解に苦しむかもしれんが小玉はわしのことをタマちゃんって
呼んどるが、わしの本名は
「
「タマちゃん、よく来てくれたね」
「小玉から連絡が入ったからの・・・おいで〜って」
「久しぶりに小玉に会いたくなったから・・・来てやったわい」
「ほんとに、久しぶりじゃの・・・」
「小玉・・・どうやらいい人ができたと見えるのう〜」
「人間の彼氏を捕まえたか」
「うまく行くとええの〜・・・昔のようなことがあったら可哀想じゃからの」
「それは思い出したくない・・・」
「お〜そうじゃの、すまんかったのう・・・」
「あの〜ふたりともいつからの知り合いなんですか?」
「いつからじゃろうな・・・小玉と最後に別れたのは江戸時代の後期くらい
じゃからのう?」
「うそ〜そんなに昔?」
「あれからどうしておった・・・小玉」
「うん・・・いろいろあったけど、最終的に古い旅館に落ち着いたね」
「そうか・・・だいたい分かるわい」
「その旅館で、この青年と知り合ったのであろう?」
「ピンポーン・・・」
改めて猫仙人のいでたちを説明すると、商売をしてる店の片隅で小さな座布団に
座ってる招き猫を思い浮かべてもらえば・・・。
とりえず本名は面倒くさいので、見た目、猫なんだから、猫仙人ってことで。
ちなみに猫仙人は、伸縮が自在にできる体を持っていて、ほかの生物に自分の魂を
乗り移らせる事ができて、あと透視なんかも得意としてるらしい。
第9話につづくのじゃ。
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