第5話:俺の部屋に女神の女子高生。

「しかたない、いがみ合ってたっていいことないからさ・・・」

「俺のマンションに小玉ちゃんを連れて帰る・・・それでいいだろ?」


小玉ちゃんはうんうんうなずいて、つぶらな瞳で大志を見た。


電車に揺られながら、ふたりは仲良く駅弁を食べた。

小玉ちゃんは嬉しそうに大志の顔をのぞきこんでは、そして笑った。

その顔が、まじで、まじこで、めっちゃ、超、劇的に超絶、その表現以上に

可愛かった。


そんな訳で、大志と小玉ちゃんは島根を後にした。

電車に揺られること四時間、大志のマンションのもよりの駅で、ふたりは

降りた。

そこから歩いて10分。


「ほら、あれ・・・あのレンガ壁の建物が俺のマンション」


大志は小玉ちゃんを、とうとうマンションの自分の部屋に連れ込む・・・

ってのは聞こえが悪いから、ご招待することにした。


「今から俺の部屋まで、こいつで上がるからね・・・」


大志の部屋は5階の西の端っこ。

我が部屋に行くために彼はエレベーターのボタンを押した。

しばらく待ってるとエレベータがやってきて扉が開いたので大志は小玉ちゃんに


「はい、乗って」


ってうながした。


「え?・・・なに、これなに?・・・私をどこに連れてくつもり」


「俺の部屋だよ、女神様・・・」

「あのね、俺の部屋に行くためには、これに乗らなきゃいけないの」

「これはエレベーターって言って、この箱に乗ってブイ〜って上に登って

くんだよ、分かった?」

「ずっと昔からいるのにエレべーターも知らないんだ」


「外の世界に出たのはもうずいぶん昔・・・それ以来ど田舎から出てない

の、私」


「いいから、乗るよ」


そう言って大志は小玉ちゃんの手を掴んでエレベーターに乗った。

知らない箱に乗せられて小玉ちゃんはちょっとビビってたかな。


エレベーターを降りて、小玉ちゃんを連れて大志は自分の部屋へ。


今まで大志の部屋に入った女性は母親と大学時代の同級生数人くらいか。

社会人になってから女性との接触は皆無・・・。

お世話になってる雑誌社にもこれって子がいない。


酒が飲めないから飲み会もキャバクラなんかも行ったことながないから

女っ気がまるっきりない。

ないけど、夜のおネエさんには、めちゃ興味がある。


大志が酒が飲めないって理由は子供の頃、心臓弁膜症って病気になって

死の境を彷徨ったことがあって酒なんか飲んで動悸が激しくなったりすると

致命的になるから酒は飲めない。


今でも心臓の脈拍が、ときどき飛ぶ。

いわゆる不整脈っていうのかな。

先天性だから手術はできないって言われた。


そういうことも手伝って大志の周りには女性の匂いはない。

母親以外、女性が彼の部屋に入るのは何年ぶりなんだろう?


「はい、はいって・・・」


「はいっていいの?」


「俺の彼女なんだろ・・・遠慮しなくていいよ」


「あ〜そっか彼女だった・・・忘れてた・・・」


「なに?、忘てたって?・・・くっついて来といてボケかまさない」

「あ、ダメ、ダメ、ダメ、土足厳禁・・・靴脱いで上がって・・・」

「そこにスリッパあるだろ、それ履いて」


「ほいほい・・・」


(小玉ちゃんを見てると、なんかいけない気分になりそうだよ・・・)

(女神って言ったって、いまは、どこからどうみても女子高生だろ?

まずいよな・・・余計なこと考えないようにしよう・・・でもな・・・まじで

女子高生だし・・・)

(不道徳だよな、俺・・・ああエッチしたい衝動にかられる)


大志の部屋はワンルームにダイニングキッチン・・・トイレバス付きあと寝室。

ワンルームの一角に大志の仕事場、机があってノートパソコンが置いてある。

彼はその机で原稿をまとめたり写真編集したりする。

こじんまりしてる部屋だけど、まあまあ気に入っている。


第6話に続くのじゃ。


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