第133話
俺は欠伸しながら二人の様子を見ていた。
ハゲの大男より頭巾の男の方が、立場が上のようだ。頭巾もなかなかの体格だが、頭一つくらいハゲの方が大きいのだが。
いいね。こういうのは小さいほど強いって世界観が見たいもんだな。でもちょっとドングリの背比べが残念だ。
ハゲは頭巾に脅されてから、てきぱき動いた。荷物が集められている所に走り、何かを探している。
あの岩屋の奥にライムって女の子はいるのだろう。縛られているのかな。イラーザの要求する最上位の目的だが、俺は先に連れて来たりしない。
だって今連れて来ると、かえって邪魔になるでしょ?
ピューーーッ!
わーロケット花火だ。
ハゲが空に放った物を見て、俺は感動した。ロケット花火だ。この世界にもあるんだ。知らなかった。
知らん事本当に多いな。あれ、後で貰おう。
ロケット花火が飛んで、暫くすると森の中から、残りの奴らが集まって来た。
目付きの悪い小男。口元がだらしない長髪の男。嫌味な顔した黄髪の巻き毛。これで五人全部揃った。
小さい最強説でいうと黄色巻き毛が一番強いのだが、実はどうでもいい。
こいつらがイラーザにストリップを強要した奴らか。
どうしてくれようか。
続々と森から現れ集まった彼らだが、コソコソ相談しては、ニヤついて微妙に岩屋までの進路を塞いでいるのが笑える。
俺を通れなくするつもりなんだ。簡単に人質を取り返されないよう努力しているのだろう。マジ笑う。
面白いことに、向こうも大半が笑っている。
牛が玉ねぎ背負ってやって来たと思っているんだろう。マグロがワサビ塗って来たとか思ってるんだろう。山芋が卵持ってやって来たとか思っているんだろう。
山芋は…歩かないな。
俺はとっても冷静だ。
奴らは、イラーザが近くにいると予想して集まってきた。
これからライムという娘を連れて来て、イラーザを出さないと、酷いことしちゃうぞとか、脅して来る気なんだろう。それで二人共回収出来る。そんな考えだ。
バカが調子に乗ってる。だがそれの方がいい。警戒して緊張して玉の汗浮かべて真剣に向かって来られたらつまらない。どこまでも調子に乗らせてやろう。
ちくしょう、卑怯だぞー、とか悔しそうに言うべきかな。待ってくれ、金ならあるんだとか言ってみようかな。やっぱり泣きながら懇願するべきだよね。その後引っくり返した方が絶対笑えるよね。
イラーザに見せただろう、図に乗った姿を見てから潰そう。歓喜の絶頂からどん底に突き落とす。どの辺まで、付き合って…やろうかな。
性格の悪い。俺の暗黒面が、かなり前面に現れていた。
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