ニュアンス~

推敲過程の続きです!


『肝試し行かず 父と見た火球』


になって、とりあえず登場人物が父と子だとわかるようになりました。

あ、子供とは書いてないじゃないかと思われるかもしれませんが、これもまた音を削らなきゃならない俳句の読み方といいますか。

俳句は基本的には詠み手の視点になりますから、詠み手から見て『父』になるわけです。

つまり『父と』、の後に隠れた『子供の私』がいるんですね。


父と、はそんなに難しくないんですが俳句ってこういう隠れた情報がゴロゴロしてるものなので、それについてはまた別の機会に書いてみるかもしれません。


では推敲の続きです。


読み返していますと

肝試し行かず、の『行かず』。

これが気になってきました。


肝試しに参加しなかった、の参加しなかったを表現したかったのですが、何か違う……。

距離感というのでしょうか、遠すぎるなぁと。

『行かず』だと、肝試しなんか行きません!家にいます!近づきもしません!みたいな感じに読めてきました。


私が伝えたかったのは、

キャンプ中の親子イベントで肝試しをやるけれど

私は怖いから参加しないよ。

でも肝試しをやってる様子は声などで聞こえてくるよ。

です。


なので、そういう印象になるような言葉を探しました。


不参加、別れ、去り、外れ、遠く、離れ、いやだ、イヤっ、逃げて

まずは思い付くままにズラリと並べて当てていきます。


肝試し不参加✕

肝試し別れ△

肝試し去り△

肝試し外れ○

肝試し遠く○

肝試し離れ○

肝試しいやだ△

肝試しイヤっ△

逃げて△


不参加は明らかにダメですね(笑)

別れ、去り、逃げては肝試しを擬人化してるようでいまいち……。

擬人化は難しいねんな。

いやだ、イヤっは子供っぽさを出せますね。

親視点ならいいかも……でも今回は無しで。


良さそうな外れ、遠く、離れに絞って分析します。


「外れ」

仲間外れ。輪を外れる。のように使われますね。

輪を外から見ているような印象になるでしょうか。

まだ未練があるような気もします。


「遠く」

遠くに聞く。遠ざかる。距離が遠い。のように使いますね。

遠くだとすでに距離がある状態。

遠ざかるだとだんだん距離が離れていく様子になりますね。


「離れ」

喧騒を離れ。距離を離す。故郷を離れ。のように使いますね。

だんだん距離を離している状態あるいは離れた状態を現すようです。


こうしてみると「遠く」と「離れ」はかなり意味合いとして似ている気がします。

一方、「外れ」はまだ距離感的には近くにいるような印象がありますね。


私としては

父に連れられて少し肝試しから離れていく様子を伝えたいのですが、そうなると「外れ」は違う気がします。


なので「離れ」「遠く」のどちらかになります。

離れていく様子……だと、「遠く」としてしまうとすでに離れ終わって距離がある状態になりそうです。

「遠く」を「遠き」「遠し」としてもそれはあまり変わりそうにないです。

動作になる「遠ざかる」「遠くなる」「遠くになる」は文字数がかなり多くなってしまいます。


「離れ」ならどうでしょう?

これだけで「遠ざかる」とほぼ意味は同じになりそうです。

私が伝えたいニュアンスとしては「離れ」があげた中では一番近そうです。


よって


『肝試し離れ 父と見た火球』


と一旦します。







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