35話 偵察、明日から本気出す
「さっきより多い!」
「これは、絶対におかしいですねっ!」
やはりモンスターの数はかなり多かった。
そしてそれらを法国聖女2人が前に立ち拳一つで粉砕していく。
一突き一殺の超高速パンチ。
1秒およそ3発で射程はおよそ2メートルというちょっとよく分からない攻撃だ。
ただ、2人は全然余裕があるし、何より素の力のみでモンスターを粉砕している。
「どうやらドロップアイテムは順調に拾えていますね?では速度を上げますよ?」
殲滅速度と、攻撃射程が、ワンランク上がった。
「「「ぇえー?」」」
護衛官2人とアスハロアの顔が引きつっていた。
どうやらあの2人の戦闘能力を把握していなかったようだ。
「鉄鼠や針毛狼を素の拳で殴る?待て今、青鋼人形ひしゃげてたぞ!?」
「いやなんであんな先の敵が殴られている!?」
「力の揺らぎが全く見えないのですが…えっ?本当に素の力?強化無し?」
どん引きする3人と、必死にドロップアイテムを拾う武装神官達。
…んっ?なんだろう、ドロップアイテム消失時間が少し早い?
「少し殲滅速度おとしてください!ドロップアイテム消失時間が短くなっているようです!」
とりあえず敵の栄養にはさせたくないので殲滅速度を落として貰おう。
「「わかりました」」
2人はそう言って先程の速度に落とす。
と言っても2人で秒速6体のモンスターを仕留めているんですけど?
ただ、武装神官も結構な早さで回収をしているのでなんとか追いついてきた。
これで取りこぼしや消失はないだろう。
と、
「……極端にモンスターの出る速度が落ちた?」
「あの~そろそろ万単位のモンスターを屠っている訳ですから、枯渇するのは当然かと思うのですが…」
入っておよそ30分。
戦闘開始後に途中のハイスピード殲滅の平均殲滅速度を2人で1秒8体として…単純計算で14,400体。
これ、下手すると国が甚大な被害受けるレベルでは?
「あぁ…これモンスター枯渇したな」
法国聖女アマネがボソリと呟く。
見るとモンスターの数が数体しか居なくなっていた。
「今日はここを殲滅したら終わりとしましょうか~?」
アスハロアの提案に全員が同意した。
「おや?早いご帰還で…何かありましたか?」
作業をしていた雑務神官が不思議そうな顔で出て来た俺らに声を掛けてきた。
「万単位のモンスターが居ましたが…全部倒してしまったので今日はもうお終いということになりました~」
「えっ!?……え゛っ!?」
まあ、その反応だよなぁ…万単位のモンスターで慌てて全部倒したって…なぁ?
「これらがそのモンスターのドロップアイテムです。これから全員で仕分けとカウントを行います…」
雑務神官達と武装神官達は息を吐き、簡易テーブルを用意し始めた。
「取りこぼしも結構ありますが万はあると思いますので覚悟しておいてください」
「小袋に100単位入れると袋が足りないのですが…」
「250単位でお願いします」
「ふぁっ!?」
そこからが修羅場だった。
まあ、俺の修羅場ではないが…俺は俺で彼等のモチベーションを上げるために夕飯の支度を早めに行う。
そう、昨日から用意している大豆を使ってな!
米もある。
大豆もある。
唐辛子もあるなら作る物は決まっている。
モドキで申し訳ないが、麻辣豆腐だ。
───最近、こういった事ばかりしてないか?俺。
にがりの代わりは天然塩で…と言っても手持ちの塩は心許ない。
が、試す価値はある。
絞った豆乳を80度いかないくらいで塩を投入。
あとは上澄み液を取って落ち着いた頃に取り出して水気を切り更に重しを乗せたりして中の余剰水分を追い出したらできあがり…と乱暴に言えばそれで良いんだが、まあ大変だ。
なんたってにがりではなく塩だから割合がなぁ…
今回は片手鍋で作っているし実験的な物だ。失敗しても…周りの期待の目が痛い。
…まあ、一応はできた。白金達の協力で。
結界壁超便利。
「箱ないかな」
って呟いたら白金がちょうど良い大きさの箱を俺の思考を読んで作ってくれた。
ご丁寧に水だけを透過するような箱を。
構成物単体は透過可能と。
3素それぞれが混じり合うような物や動植物等は厳しいと…
んぅ?
全員がこっちを見ている。
「あの、神子様?」
「なんでしょうか」
「今の、箱、ですが…結界壁に見えたのですが…」
「そうですよ」
なんか「えっ!?小物作れるの!?」とか色々驚きと動揺の声が各所で上がっているんだが…まあ、俺もビックリしたしなぁ。
うっし、ちょっと切って確認しようか───問題なし。
多少塩味が効いているが、その分唐辛子多めで塩分控えれば良いか。
では本格的に作るとしますか!
ご飯、足りねぇ…深鍋で作ったのに、ご飯足りねぇ…
神饌は先に取り分けて白金達に渡したけど、その後がヤバかった。
食べ始めて「辛っ!えっ?美味っ!」と言う声が聞こえたと思ったら全員が一斉にご飯と麻辣豆腐を掻き込むように食べ始めた。
「あ、これはマズい」
そう判断した俺は自分の分を少し多めに取り分けた。
そしたらやっぱり全員鍋に掛けだしおかわりをし出した。
もしかしたら丼ものもいけるか?
そう思ったが、これだけ奪い合うように食べている連中を見て暫く自重することを決めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます