34話 挑戦、そして危険度MAX


 現在武装神官及び聖女達、護衛官、俺の構成でダンジョンに突入したわけだが───モンスターめっさ居る。

 雑務神官と法国聖者はお留守番。

 パールはずっと俺の後ろで不意打ちを防いでいるんだけど…いやマジでどうなっているんだ?

「あちら側が初手から殺しに掛かってきていますね~」

 入ってすぐに天井からの奇襲という時点で本気で殺しに来ている。

「40体突破!前方、今なお敵増加を続けています!」

「回収する暇無く敵が無限に沸いて出るなんて聞いたことないぞ!?」

「アーウィン負傷!一度外に出します!」

 物量でも殺しに掛かっているがマジでコレどうなんだ?

 俺と言えば守られながらアイテムを回収しつつ効率化を考えていた。

「味方は透過する術式開発はできないか?…無理か」

 体内にある3素の影響でそんな都合の良い術式は出来ないとのことだった。

「あああっ面倒っ!」

 アスハロアが障壁アタックをし、前方の敵を一掃した。

 ご丁寧に地上から10センチ程度浮かせて。

「浮かせることもできるのか…」

「つま先に乗せてちょっと上に上げたところを殴っているんですよ~」

 上から降ってくるモンスターをノールックジャブで消し飛ばしながらアスハロアが種明かしをしてくれた。

 今この瞬間に新たな謎が出て来たのはソッとしておこう。


 ダンジョン内で食べる予定だったものはそのまま保管し、昼食を作る。

 今回2時間半ほど戦闘を続けたものの、百体以上倒してもそこまで進めないという最悪の事態だった。

「ドロップアイテムが消えたのが痛いですね~倒しただけでそこまで相手の痛手にならないところが特に」

「神子様?」

 料理の手を止め、ザラザラと魔石やドロップアイテムをぶちまける。

「えっ?」

「ずっと拾っていました。まあ、全体の20%程度だと思いますが」

「そのような様子は無かったと思いますが…」

「はじめは拾っていたんですけど、つま先で軽く弾いて収納する方法を見付けたのでやってみました」

 アスハロアのやり方を見て収納範囲と方法を見直した結果、現時点で効率が良い方法と思うのがこれだった。

「…周辺を警戒しながら歩いていると思ったら、回収もしていたんですね」

「魔石片54個、オルト劣化ポーションが4つ…宝石が2つ?結構な収益ですね!」

 おい?

「100から先は覚えていません~」

「確実に200は越えていたよ」

 おい?

「ひたすら壁殴りしながら進んだ感じでしたね」

「ちょっと対策をたてなければ奥へ向かうこと自体不可能ですね…あと、横からつまみ食いをしないでいただきたいのですが?」

 いやあんたら熱くないのか?

 良い色に焦げ目が付いたと思ったら横から千切って食べるとかどうなんだ?



「いやぁ…たっぷり食べました~」

「美味しかったです」

「神子様は皆のお父さんですね!」

「それは断固拒否します」

 やだよこんなエンゲル係数爆上げな子ども達なんて。

 この世界の食品関連が中途半端に安いようだからまだ良いが、水と食糧問題は即詰み案件だからな…

「いや本当にそんな簡単に新しい料理を作っていただけるというのは我々としても心からありがたいのです…使い道があまり無かったロビロンド鍋もそのような使い方があるのかと驚いています」

 雑務神官が嬉しそうにそう言ってきた。

 どうやらロビロンド鍋は薄焼き卵製造のためだけに使われる程度の代物らしい。

 他に使い道あるだろと言いたい。

 そう思っていたら炒飯が作りたくなったが…自重しよう。

「主、自重は良くない。きっと今何かを作りたくなったと思う」

 ───食に貪欲な駄竜が反応したぁ…

「残念。卵と白米、あと調味料が足りない」

「行ってくる!「これからまたダンジョンアタックだろ」ああああ………」

「メモを戴ければ私が換金序でに購入して参りますので」

 雑務神官がそうフォローを入れてきた。

 これは、作らなければならない流れに…まあ良い。材料がなかったら作れないだろうし問題無い。

 必要な物をザッと書き記して雑務神官へ渡す。

「……多分大丈夫です」

 そう言ってきたので金貨数枚渡そうとしたが、断られた。

「部隊の食費から回すので問題ありません」

 それ言っちゃうと俺、結構持ち出ししているんだが?

「あと、こちらでもある程度作れるようになりたいという事もあります」

「と、言いますと?」

「神子といえど貴方は子どもです。そう無茶な労働を見ていられないんですよ」

 …それはもっと早く言って欲しかったんだが?

 まあ、この人は善意で言っている。ただ…

 サッとアスハロア達を見る。

 同じタイミングで全員が目を逸らした。

 マジでありえんぞ此奴ら…あと神。

 上との調整も重要だがこの世界の調整も早くやってくれ。

 簡単に調整出来ないかも知れんが……待てよ?

 あの女神、何らかの理由でそんなに力が残っていない?

 …有り得そうで怖いな。召喚の際もそんな状況だったと考えれば辻褄が合う。

「祈りだけでは無く供物も必要と…だから集るというのはどうかと思うが」

「神子様?」

「…いや、この世界と女神、そしてダンジョンについて考えていました」

「……本当は何歳なんですか?」

 失敬な。間違いなく12歳だぞ?


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