09話 裁判、急転直下な内部争い終結
3種の死に方をして復活した七三見せ筋神官…もう七三でいいや。は、まだ認められないのか唸っていた。
そんな七三を放っておいてこちらはこちらですべき事をしている。
「…なるほど。であればあの構文の第一文が流種独自構文だと…しかしそれを外しても使えなかったわけですがこれは?」
「恐らく力の一部という部分も第一文に掛かっている可能性がある」
「ふむ…であればこちらが差し出すものを明確にすれば問題は無いということか…となると何者かはこちらの力の総量を知っているという事だな?」
「コラそこォ!この私を差し置いて何の話をしている!」
「学務長、これは異な事を。如何なる時も探求を忘れず多くを知る者には頭を垂れてでも教わるべし…ではなかったのですかな?」
先に話を聞いていた学務棟神官がそう言い放つ。
「ぐぬぅっ!?」
七三…学務長だったのか。
「っぐ…ご教授、くださいっ…!」
「な~に~?聞こえんなァ!」
「ぐがああっ!!」
うわぁ…満面の笑みの神官長にキレるキレる。
「ご教授戴きたい!」
「もっとコ・コ・ロを込めて~」
「ふぬううううううううっっ!!…アッ」
キレすぎてとうとうプツンと逝ってしまったのか倒れてしまった。
「神官長殿…いくら腹立たしいからと毎度遊ばないで戴きたいですな」
「いやいや失礼した教導長殿。これまで散々こちらを煽っておったのでな」
悪びれなくそう言ってのけた神官長にため息を吐く学務棟神官…貴方もお偉いさんなのかい…
呆れつつも状況を伺っていると教導長がこちらを見た。
「そちらの方が神子様ですか…成る程。今回の謎も神子様が解いたと…」
「謎以前の問題だったな」
「そうですねぇ…まさかあんな、ねぇ」
えっ?この人まで揶揄うの?
「……ええ、ええ、参りました。参りました」
教導長は深い深いため息を吐く。
「貴方がたが神の言葉を無視するからです。全力で守れという事は協力しろという事なのに」
「…ああ、成る程。学務棟の方々は神の言葉に非協力的と。だから実務側と仲が悪い…これ、そちら経由で連絡できますか?」
白金の球へと語りかけると上下に揺れ、消えた。
「え」
ああ、この通信手段便利かも。Yes/Noレベルのやりとりなら簡単にできる。
「いやあの、ちょーっとお待ちくださいませんか?…神子様?神子様!?」
「「「「あーあ」」」」
神官長ら4名がニヤニヤしながら声を合わせる。
みんな良い
と、白金が再び掌の上に現れ、手紙もそこにはあった。
メッセージ添付できるのか。便利だな…行動報告書を毎日送ることも出来る。
手紙を開いて読む。
………教会は大陸内の治安維持のために各大陸に国という形で本部を置いているだけと。派閥が3つあるのは知っていた。今回の件で非協力的な学務派全員にはペナルティとして聖素、魔素、天素の友好率を半減させます。期間は50年です…か。
流石に神様黙っていなかったかぁ…まあ、優しいと言えば優しいかな?
友好率って、引き出せる力って事か?体内に蓄積出来る最大値が100として、50までしか協力してくれないみたいな感じか?
あれ?だとしたら俺の自然法のステータス、上限突破してない?えっ?いやいや、他は100超えているのにこれだけMAX100は…ないよね?
「神子様、そのお手紙はまさか」
唸っている俺を見かねた神官長が心配そうに声を掛けてきた。
「神官長方もこちらをお読みください」
俺が手紙を神官長に渡すと、恭しく受け取った神官長がそれを読み…顔を青ざめさせた。
「貴方がた…色々終わったわね。この文面から察すると学務派全員、魔技法や儀式法の能力が半減するらしいわよ」
そう言って手紙をひらひらと振ってみせる。
「っ!?」
学務長はその手紙をひったくると手紙を読み、膝を突いた。
「おお、なんという…なんという…!」
「恐らく貴方がたのやっていた行為そのものを見ていたのでしょうよ。そして神子様への態度を見て最終決断を下したと…おめでとう学務長。貴方が二十数年かけて築き上げてきた派閥は今終焉を迎えるのね」
「こんな事で…たかが1度非協力的だっただけで…!」
ん?また手紙。
開くと…学務派が余所で行っていた政治的情報の横流しや教義に反した行為がズラリと表記されていた。
「たかがどころか戦犯レベル」
「えっ?」
慌てて神官長がその手紙を受け取り読み…般若のような顔になった。
「神疑審問を開く必要が出てきたようです。訓練中の武神官全員学務派神官を取り押さえなさい!」
神官長の大音声に今まで訓練をしていた神官達が即座に動き、学務派神官達を拘束していく。
勿論抵抗しようとする者達はいたが、強化率も半減し尚且つ見せ筋な連中はあっという間にその場に居た学務派神官全員を拘束し、神官長の前に跪かせた。
「神官長権限において神疑審問を行う。89の罪状が神より提示されそれぞれの犯行日時も全て記載されている。これらを証拠とし、法王及び教皇に提示し確認の上罰を与えることは確実と思え…まずは牢へ連れて行きなさい!」
いや、どうしてこうなった?俺何かしたか?
と言うか俺をダシに教会内の問題を何とかしようと考えたな?
…マジでこれからこんな事に巻き込まれまくるのは勘弁なんだが、仕方ないか。
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