04話 情報、それは、命綱
用意してもらった部屋に入り一息吐く。
色々と無茶苦茶な世界だという事は分かった。
食事の時間になるまでに分かっている事をまとめて新たに聞くことを考えよう。
机の上にカバンを置き、筆記用具とノートを取り出す。
一番マズイのは「何が分からないのかが分からないという状況のまま放置」する事だと思う。
クズ母親が問題事の無視で大問題を起こしたし、父親も騒ぎが起きた際にワタワタしていているうちに数日経って大騒動になっていたな…ああはなりたくない。
であればどうすれば良いのか。
簡単な話だし、答えは既に言っているんだが…「分かっている事をまとめる」これが一番の近道である。
分かっている事をまとめた後に、すべき事・聞くべき事を「絶対」「必要」「可能であれば」にカテゴリー別けをする。
さぁて、復習を始めようか。
食事の時間の前にまとめ終え、聞くことをまとめた終えた。
食後に聞けたら聞くことにしよう。
うん。4点ほど聞きたいことは聞けた。
まず1つ目。
ここは世紀末的な世界ではなかった(重要)。
いや重要だろ?
ここの神官達のような人が世界の大半だったら…俺ここから外に出られないぞ?
2つ目。
ステータスっぽいものは神授玉というアイテムで見ることができるらしい。
神官長方が言っていたのは鍛え抜かれた眼力から割り出したもの。
あと、見ただけで殆どの神職者はその人物の生命値はどれほどのものかを感覚的に分かるらしい。
まあそうでなければ回復職は生命管理できないか。
で、3つ目だが、先に話をした生命値関連で俺は回復魔法等受けても大丈夫なのか…という問いに回答がでた。
実際掌の傷に回復魔法をやってもらったら問題無く出来た。
どうやらこれは生命値と対を成す運命力が作用しているらしい。
それもステータス確認の際に分かるとのこと。
明日それは調べるという話しだった。
最後4つ目。
世界調査とダンジョンについての聞き取り…これも明日と言うことになった。
この島から北の大陸に行くのか、南の大陸に行くのか。
ダンジョンについて現状どうなっているのか。
どうやらあちらさんも俺が外を回る際の供回りを選出するらしいので出来れば1~2日は待って欲しいとのことだった。
それくらいであれば情報収集しながら待てるしありがたい話なのでありがとうございますと礼を言った。
いやぁ…この世界は神様心からしっかり崇めているんだな。
地球だと本当に崇められているのか疑問に思う事多いし。
いや、ニュースとかまあまあ取捨選択&マイルドにされているからわからないことも多いけど、ヤベェことが多いから…
こちらの神様自身は何かストレス抱えているようだったけど…まあ、それはそれ。
今俺に出来る事は情報収集位だからな。しっかり情報を集めよう。
朝5時に起きると神官の皆さん方も朝の修錬を行うようで、何故か驚かれた。
こちらの世界がここまで物騒であれば今まで学んできたものを復習がてら活かせないか考えなければならない。
前に香椎の爺様にも才能はそんなにないが努力と学習能力はあると言われた。
才能はそこそこなのに挑むような無謀はしない。
組み打ち技術もそうだが通常武術をそのまま使うと即死な状態。ここの神官方のように自身に強化を掛けたりできなければマズイ。
いい方法は無いか…術の使い方と言った文献は読んだことは無い…マンガなどでそういった表現はあるはずだが、残念ながらアニメもマンガも殆ど読んだ事はない。
ただ、確か弟の友達が家に遊びに来た際、見ていたアニメに身体強化の魔法がどうの、経絡がどうこうとか、血管を回路に見立て力を流し込むとか…
記憶を色々漁っていたら気功法というものを思いだした。
「ああ、そういえば気功の循環法があったな」
術云々の前に気功がこの世界で何処まで使えるのかを確認しなければ。
防御は無理でも僅かでも身体活性化には使えたらありがたい。
そう思い訓練場の端にある木の側に座禅を組む。
そもそもこの世界に気の概念があるのだろうか。無かったとしても万象を構成する正エネルギーはあるだろうからそれを感じ取れるようになれば…
自分の内側の気と向き合い、よく循環させた上で呼吸によって大気の気を感じ、少しずつ取り込んでいく。大地の気に関してはその次だ。
小周天の後に大周天を成す…だったか?
呼吸法によって体内に取り込み、循環させている内気に溶け込ませる。
目を瞑りそれを行うこと十数分。混ざり合わせた自身の気と大気の気との違和に気付いた。
「ああ、これか」
体に悪いわけではないが、地球では感じなかったものだ。
恐らく気とは別の、魔法関係で使用するナニカなのだろう。
それらが体内で異物として少しずつまとまっていく。
違和感のあるそれは2種類。とりあえず一度体外に出そうとそれを掌へと集める。
大気の気だけを体内に納め、それらは掌へ…とそれを繰り返すこと数度。
「神子様ッ!」
なんだか切羽詰まった声がする。
目を開けるとそこにはそれぞれの神官長が慌てた様子で俺に駆け寄ってきた。
「その両手にあるものは危険ですっ!」
「?…おぉ」
なんだこれ。いや、本当に何だこれ。
俺の掌の上には黒紫の球体と白金の球体が浮かんでいた。
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