1部 転移と手探りな情報収集

1.神柱島での力こそパワーな日々

01話 降臨、神柱島 そして学習(座学・基礎)


 世界の中心であり、神が神託を降ろす島、アサン・アサン。

 その島は2つの宗教国家が僧兵や聖者、聖女を派遣しており、共に聖地防衛と神託を授かるために日々修錬を行っていた。

 そんな中、アサン・アサンに住まう神官達全員に神託が下されていた。


 少年を一人遣わす。時がくるまで自由にさせよ、だが、守れ。


 その神託の真意を測りかねた神官達は話し合う。

 何か重要な使命を受けているのではないか。

 もしかすると神の眼の届かぬ所を調査するために派遣されるのではないか?

 ならば我等が教会が出せる最高の捜査権を依頼しておけば…等と話し合いは進む。


 そして数時間後、一条の光が世界の中心へ差し込んだ。

 通常の自然現象ではなく、神の降ろす神光がそこへ射し込まれたのだ。

 世界の柱、神界への塔と呼ばれるこの神光現象は百年に一度起きるかという大事件だった。

 そして光がおさまるとそこには一人の少年が佇んでいた。

 普人種のように見えるものの、その体から感じられる生命力は普人種の半分も感じられなかった。

 ただ、その少年は集まった神官達の方を見ると苦笑し、一礼する。

「初めまして。神より世界情勢の確認とダンジョンの間引きを依頼された者です。皆様の協力なくして達成は不可能ですのでどうかご指導ご鞭撻の方、よろしくお願い致します」


『えっ?』


 全員の心はこの一言に尽きた。




 うん。無理無茶無謀は事故の元とか、彼を知り己を知れば百戦殆からずと言うけれど、何も知らずにこの世界で外に出たら死んでた。

 迎えてくれたのは神の島?を守る神官の方々だった。

 事前に神託はあったようだが「少年を一人遣わす。時がくるまで自由にさせよ、だが、守れ」というとてもvip扱いだった。

 まあ、完全戦力外で上からの話があるまで死なない程度に遊んでおけと…そう言う事だろう。

 実際の所、俺は戦力外どころか瀕死の小鬼すら倒せそうにない位の生命値らしい。

 なんて表現したらいいかな…聞きかじりのゲームに例えると、地球は上限レベル99の世界だが、ここは上限レベル255の世界…と言えばいいのか。

 なので全てのパラメーターが全然違うらしい。

「貴方は、どうやってこれまで生きてこれたのですか!?」

「神よ…何故これまでの試練をこの様な少年に…!」

 神官の皆さんが毎回絶望して俺に祈りを捧げるんだが…3歳児と同等のパラメーターらしい。

 そりゃあ絶望するか。生活に支障を来すくらいのステータスなら。

 通常であれば生きていけないとか涙目で悲しげに言うのは止めてもらっても良いですかね?


 3時間ほどこの世界のことをザッと聞いた。

 大陸は北と南に2つあり、現在居るこの場所はそれらの大陸の中間にある小島だそうだ。

 それぞれの大陸に1つの宗教国家があり、それらを合わせて計5つの大国がある。

 北は帝国と王国、法国の3つの国。

 帝国は普人種が殆どで独自の技術を持っているとのこと。生き物を使わずに箱に入り高速で大地を駆けたり空を飛んだりするらしい。

 近代世界なのか現代世界なのか…

 王国はエルフ?に似た流種がほとんどを占める国で自然法と呼ばれる種族独自の召喚魔法を使うらしい。

 そして法国。法王をとした議会制国で貧乏国家なのに全世界から守銭奴国家と言われヘイトを受けているらしい。

 ただ本人達は「権力者は民の目をこちらへと向けておけば裏で好き放題できますからね」と苦笑いしていた。

 さて南は…と言えば国は2つ。

 皇法国と商国。

 皇法国は教皇を頂点とした権力構造の法国。ただ教皇になると祈りの時間が毎日14時間、睡眠時感は4時間。公務は5時間で食事等生活の時間は1時間というちょっと何を言ってるのか分からないレベルの割合になり、これは絶対らしいので全員譲り合うらしい。

 そして商国。

 こちらは討種と呼ばれる獣の能力特性を有する人種と竜種と呼ばれる特殊な個体種族をメインとする連合諸国の名称で、商国〇〇と言う感じらしい。

 現在10~16の国が統廃合やら新規建国を繰り返しているらしい。

 戦国乱世か?


 貨幣制度は2種あって帝国内のみで使える紙幣とそれ以外の共通貨幣だ。

 あとは距離や重さは単位が違うだけでだいたい一緒。細かい単位がない程度だ。

 1日は24時間で1年360日。神が分割しやすくそう設定したらしい。

 あとは…

 ああ、魔法の類か。

 魔法や技法は大まかに3種類あるらしい。


 まずは魔技法。

 これは一般的に使われている魔法やスキルの総称で、それぞれの体内にある魔力や生命力を使い技法や魔法を為すものらしい。

 次に自然法。

 先にも触れたが王国独自方式のもので、自然精霊召喚魔法等を指す。

 独自言語で精霊と意思疎通を行い効率よく魔法を行使している…らしい。

 最後に儀式法。

 法国及び皇法国の術式で、神への祈りもしくは大地への祈りで対象に対し回復や強化を行ったり、不浄や呪いの除去を行うらしい。要は神聖魔法だ。


 最初の魔技法以外の2つは適性者以外は使えないらしい。

 その辺りは要検証か。

 さて、座学は一度止めて、次は戦闘などについてだ。

 地球の技術が何処まで活用できるか…そのままだと絶対無理だろうな…


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