第5話 レンズ
家に帰りおじいちゃんに聞いてみた。
「おじいちゃん、ちょっといい?」
「何じゃい。」
「野球場で選手撮るのにこのレンズで撮れる?」
そう言って私はおじいちゃんからもらったカメラとレンズを出してみる。
「う〜ん、ちょっと物足りないんじゃないか。」
「やっぱりそうかぁ。」
「何じゃ野球部の試合でも撮りに行くのか。」
「べべ、別にそういうわけじゃないけれど、親友から頼まれて撮ってくれって。」
とっさに嘘をついてしまった。
「そうか、親友の頼みじゃ断れんな。」
「うん、でもおじいちゃんからもらったレンズで頑張ってみるよ。」
「うむ、ちょっと待っておれ。」
何やらおじいちゃんは自分の部屋の押し入れを探している。おばあちゃんに何探しているのと言われながら探している。しばらくして戻ってきた。
「これを使え。」
おじいちゃんが手にしていたのはレンズというより小さな望遠鏡ぐらいあった。自分のカメラにつけたらちゃんとついた。のぞいたら何にも見えないピントが合わない。
「このレンズはもうずいぶん使っていない。ピントも露出も自分で決めないといけない。まあおじいちゃんが若い頃のレンズだからな、そんなもんなんじゃよ。」
私は外に出てちょっと遠くの庭の花を撮ってみる。
「すご〜い、これは大きく撮れそうだね。」
「そうじゃろ、あとはピントを合わせるのにマニュアルじゃ。でも野球選手はそこまで位置が変わらんからいけるじゃろ。」
「おじいちゃんこんなレンズ持ってたんだ。見たことなかった。」
「ん?何でだろうなぁ、大切にしまっておいたんじゃ。」
そのほかの設定はある程度聞いてやってみた。
「これでいいの?」
「うん、週末の天気は晴れじゃし、その試合に出てる選手を撮るのならそれで大丈夫じゃな。」
「おじいちゃんありがとう。」
それにしてもこの望遠鏡のようなレンズで何撮ってたんだろう。
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