第103話 旅立ちと出会い

 日記を見つけてから私は魔法学校に入れる年齢13歳になるまで兄の介護を手伝わされ、それに付随して弱者理解をするよう言い渡された。その合間に魔法の修行をした。魔法学校でも主席合格、主席卒業をして、少しでも名誉の回復を目指す。

 

 それからは魔法の勉強に注力した。そして開校以来の才女として、飛び級して3年で主席卒業。

 退寮して家に帰ると借金取りが来ていた。

「金出せやオラ!」

「これで勘弁してください」

 母親が金の入った袋を差し出す。

「こんなんじゃ足りねーだろーがよぉ!」

 借金取りが母親を蹴り飛ばす。

「母さん!」

「あ? 娘か。お前ここ3年間見かけなかったな。どこ行ってた?」

「学校だよ!」

「へぇ、学校。返済は出来ねーのに学校は行けるんか」

「奨学金だよ! 文句あるか⁉」

「あ~奨学金。つまり借金じゃん。さらに借りるんだー。へぇー。何代にも渡るような借金をする奴の末裔は、やっぱり不誠実でバカなんだねー」

 思わず手が出そうになった。だがこらえた。ここで手を出せばそれこそ不誠実だ。金に関しての誠意とは、期日までに金を用意すること。散々期日を伸ばしてもらって、返済せずに手まで出したら、名誉は回復できない。

 下唇を噛んで、睨むことしかできない。

「まあいいわ。今日はこの袋だけで勘弁しといてやるよ」

 借金取りは帰っていった。


 時間はない。一刻も早く魔王を討伐しなければ。

「母さん。話があるの」

 私は、私の考えをすべて話した。

「分かった。我が家の今後は貴女に託すわ。頼んだわよ」

 母は応援した。いや、母もそれに縋るしか出来なかったのだろう。なんでもいい。とにかく今は金と魔道具だ。死者蘇生の魔道具。絶対に見つけてみせる。

 そして私は旅に出た。1年後。メルリン学園の入学式。OGとしての挨拶に行く途中、アマナス君に出会った。

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