第80話 脅し
「アマナスお前、戻ってるじゃねーか」
「え?」
アマナスは窓を見る。
「うわ、ホントだ」
「よかったじぇねーの。お前戻りたがってたもんな」
「ええ。全く」
「の割には浮かねー顔してんな」
「女性のままで過ごすことを覚悟した瞬間これって、あの気持ちは何だったんでしょうか」
「その覚悟があったから戻った。無駄じゃないから安心してモヤってな」
オーサーはアマナスの頭に手をポンと置く。
「じゃあ今度はオーサーさんの番ですね」
「ん? そうだな」
「もしかして気乗りしませんか?」
「バーカ。お前に先越されてへこんだだけだよ」
彼はデコピンをしてそういう。
「そうですか」
「オーメンには俺から報告しとくから、もう休め」
「ありがとうございます」
オーサーは部屋を出ていった。
「オーメンちょっといいか?」
「?」
2人は屋上で話をすることにした。
「アマナスが戻った」
「もう⁉ さっき本渡したばっかりだよ?」
「性反転は、元に戻るきっかけさえ掴めば戻れるような、単純なものなのかもしれないな」
「ならオーサーさんもすぐ戻ってよ」
「それさ、お前のために言ってんだよな?」
「なんのこと?」
「とぼけんなよ。魔道具の回収に俺たちを使うつもりだたんだろ」
「どうしてそう思うの?」
「アニマには引き上げると言った手前、お前があいつの前に現れることは出来ない。だが俺とアマナスは別だ。男の姿を見られてねーんだからな」
「つまり、二人に奪わせるつもりじゃないかって言いたいの?」
「お前だからな」
「別に奪えって言うつもりはないよ」
「ならどうするつもりだったんだ」
「内緒」
「またそれか。別に俺はお前に利用されることに怒ったりはしない。ただ毎度毎度本心を隠すその魂胆が気に入らねー」
「ふーん。じゃあ男に戻ったら秘密を1つ教えてあげる」
「秘密だと?」
「うん。でも内緒にしてね」
「もしバラしたら?」
「私は魔法の天才だよ」
「……分かった」
「話はもうお終い?」
「もう1つある」
話を終え2人はそれぞれの部屋に戻った。
「ただいまーって、本当に休んでるよこいつ」
オーサーが部屋に戻ったときアマナスは寝ていた。
性反転の反動か? 俺もこいつも最初に性反転したときは寝起きが悪かったもんな。
「しゃーねー」
オーサーは置手紙を残し、部屋を後にした。
「さて、俺の考えが当たってたら、あいつを肯定すれば俺は戻れるはずだ」
オーサーは喫茶店へ向かった。
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