第42話 潜入作戦
「さて、昨日の牛丼屋さんに行って、仕入れ先を聞いてこよう」
「つっても教えねーだろ普通」
「お医者さんから、令状出してもらったから大丈夫だよ」
「ちゃっかりしてんな」
牛丼屋。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは。今日はお話があって参りました」
オーメンは令状を見せる。
「店長を呼んできますね」
そして店長によって店の奥へ案内かれた。
「なるほど。肉にプロインVが」
「仕入先さえ教えてくださいませんか?」
「ここに限らず最近の飲食店は、国営の牧場から仕入れています。地図をお渡しします」
渡された地図の場所へ行くと、そこには大きな牧場があった。
「さて、どんな魔道具を使っているのかなー」
不謹慎ながら、彼女は楽しそうにしていた。
「お邪魔します! 見学に来ました!」
「いきなり来られても困るよ。事前に予約してくれないと」
当然ながら、拒否された。しかし
「急ぎなんですよー」
オーメンは引かない。
「そう言われてもねー」
「プロインVの原因がここにあるとしたら?」
「そんなことはないし、仮にそうだとしても、部外者を入れるわけにはいかないよ」
「これを見ても?」
オーメンは探知機の片方を触れさせた。
「なるほど。確かに反応がある。それなら、こちらでその探知機を使えば良いだけの話だ」
「人の物盗るんですか?」
「借りるだけだ」
そんなやり取りをしている隙に、リコは脇から潜入していた。
お姉ちゃんが引き付けるって言ってたけど、こんな感じなんだ。
公開されてる施設案内図によると、地下は関係者以外の立ち入りを禁止してるんだよね。お姉ちゃんはそこが怪しいから、重点的に探して欲しいってことだったけど、どうしよう?
その時、農家の話し声が聞こえてきた。
「変な女が来てるらしいぞ。見に行こうぜ」
「ばか、仕事中だろ」
うーん。このままウロウロするのは危険かなー? 人目につかない場所ってないかな?
ふと上を見る。
「あ!通気口!」
でも届かないや。
周りを見渡すと柄の長い箒があった。
「あれを踏み台にしよう」
そして通気口へ登った。
道を通り、隙間から施設内の様子を窺いながら地下へと進む。
そろそろ地下につくその時だった。
「うわぁ」
作業員がリコを見つけ、驚嘆の声をあげた。
見つかった!
リコは急いで逃げる。
リコが見つかり僅か1分、入口の国営農家達にも、侵入者ありの報告がされた。
「聞こえただろ! 君たちの相手をしている場合では無いんだ! 分かったら引k……」
「雷撃」
オーメンは相手を気絶させた。
「速やかにリコちゃんと合流して逃げるよ!」
「あいよ」
その頃リコは通路を通って、地下に逃げ込んだ。
どうしよう。怖いよ。助けて!
そう思いながら地下をうろついていると、黒い光が漏れた部屋を見つけた。見つからねいように、慎重にのぞき込む。
その部屋では、魔道具から、牛や羊などの家畜が黒い光と共に召喚されていた。
魔方陣が描かれた羊皮紙。それが魔道具だった。
リコはオーメンから預かった、探知機の片方を取り出す。
あそこから出てくる動物たちから、プロインVと同じ反応があった。
あれが原因!
そんなことを思っていると、作業員がこちらを振り向いた。
「ひっ」
リコは声を上げる。
「君が侵入者か。まさか見られるとはね」
作業員がリコに手を伸ばす。
「いやあー」
「雷撃」
「うっ」
間一髪でオーメンが作業員を倒した。
「お姉ちゃん!」
二人は抱き合う。
「怖い思いをさせてごめん」
「ううん。助けてくれてありがとう」
「あれが魔道具?」
「うん」
「触ってみよう」
オーメンが魔道具に触れる。その時、職員がやってきた。
「いたぞ!」
「全く、もうちょっとゆっくりさせてよね」
オーメンは雷撃を放つ。
「お姉ちゃん、オーサーおじさんは?」
「彼は一階を見てるよ。合流してここから出よう」
「うん」
二人は即座に一階に上った。階段を上ると、そこにはオーサーが戦闘中だった。
「雷撃」
オーメンが敵を倒す。
「相変わらず強ーな、お前」
「どうも」
三人は施設から出て、宿で魔道具ついて話し合った。
「あれは異世界から生き物を召喚する魔道具だった」
「プロインVを持ってた理由は?」
オーサーが聞く。
「あの魔道具で召喚された生き物は、黒い魔力を帯びるみたい」
「黒い魔力を持ってても、アマナスとリコはプロインVなんて保有してないぞ」
「そこが肝でね、召喚されたものは通常よりも濃い魔力を持つようになるの」
「濃いとダメなの?」
リコが聞く。
「そもそも黒い魔力は病や呪いをかけることしか出来ない。それが濃いと、生きてるだけで病気や呪いを放つようになるの」
「嘘でしょ」
「今回の持ち主が召喚したらプロインVだったけど、他の持ち主が召喚したら他の効果を発揮していたと思う」
「持ち主と使用者は違うの?」
リコが質問する。
「持ち主は最初に手にした人のこと。持ち主が死ぬか他人に譲らないと、効果は持ち主のものに引っ張られる。例えばオーサーさんの魔道具だと、今の持ち主はオーサーさん。その状態で私が彼の魔道具を使うと、オーサーさんの発想力と同じものになるんだ」
「そうなんだ」
と話をしていると、空が黒くなっていった。三人が宿の外を見ると、空は黒い雲状の魔力に覆われていた。
その雲の上には、マルサと、拘束されたアマナスがいた。
「王都の皆さまこんにちはー。そして死ね」
雲から黒い雨が降ってきた。
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