第25話 後始末

後処理

「ありがとうアマナスさん。私一人では、王を説得することは出来なかったかもしれません」

「いいんですよ。それより、魔道具これありがとうございます。オーメンさんも喜ぶと思います」

「それなら私も嬉しいです」


 アントラと馬に乗って、アマナスは村へと戻る。オーメンや村人達が出迎えてくれる。

「それって魔道具だよね? 持ち帰ってくれたんだ。ありがとう」

 オーメンは喜びを表にする。

「私たちには、もう必要ありませんので」

 とアントラが。

「本当によかったです。人を欺くために使うなんて許せませんでしたから」

 今回やたらと怒っていたのは、そういうことだったのかと、納得する。


「宴でもしようと思うが、皆はどうする?」

 老人が切り出す。

「これから敗戦処理をしなければいけないので」

 アントラは断る。

「俺らは参加してもいいよな?」

「夕食も兼ねて、そうしましょうか」

 オーメンが参加を許可する。


 夜になり宴が始まる。

 宴の隅で食事をするオーメンに、アマナスが話かける。

「あの、魔道具について話があります」

「どうしたの? 改まって」

「集めた魔道具は、どうするつもりなんですか?」

「とくにどうこうするつもりは無いよ」

「なら、展覧会でも開くのはどうですか?」

「展覧会かー」

「折角集めるんです。集めた先にしか出来ないことをしましょうよ」

「そうだね。それも悪くない。その時は、アマナスに宣伝大使でも任せようかな?」

「是非!」


 翌朝、四人は老人に別れの挨拶をする。

「お世話になりました」

「気にするな。息子が迷惑かけた詫びだ」

「いえ、そんな」

「炭鉱があるって話じゃったよな?」

「みたいですね」

「おぬしら、潜ってみたらどうだ? 魔道具だけじゃなくて、金も集めておるのじゃろ?」

「いいんですか?」

「まだ誰のものと決まったわけじゃない」

「なら、お言葉に甘えさせていただきます」

「うむ。達者でな」

「お爺さんもお元気で」

 四人は村を出た。次の目的地は鉱山。そこは危険に満ちた場所。彼らはまだそれを知らない。

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