第23話 発覚

発覚

「王がいつ動くか分かりません」

「じゃあ急いで対策をたてないといけませんね」

 アマナスが返答する。

「王はこの村を支配するにあたって、武力を行使する可能性が高いです」

「畑があるのに?」

 オーメンが問う。

「畑は自国ので足りていると判断して、この村には炭鉱に注力させるつもりです」

「故郷だろ。出来るのか?」

「今の王ならやりますよ。きっと」

 悲しみのこもった声でアントラは言った。さらに

「ブリテー王国の兵力は約三万。対しこちらは約三千です」

「絶望的じゃないですか」

 アマナスが顔を青くして言う。

「希望はあります。彼らの大半は本業農家の半農武士です。士気は高くありません。こちらの方が強いと思わせられれば、彼らは引き返すでしょう」

「おお」

 アマナスは感心する。

「それで具体例には?」

「……」

「え? 無いんですか?」

「正直、十倍も差があると、ひっくり返すのは難しく……」

 空気が重くなる。

「どーするんですかー」

「それを皆で考えようとしていたんですよ」

 二人が言い合いに発展しそうになったとき

「私がやる」

 オーメンが宣言した。

「そもそも王宮でも、私一人で戦えたんだけど」

「貴女がどれだけ強いかは分かりませんが、十倍差は無理ですよ」

「じゃあ試してみる?」

 不敵な笑みを浮かべる。

「アントラ。この娘さんは儂より強いぞ」

 アントラは驚き、オーメンを見て思案する。

「分かりました。貴女を信じます」

 彼らは軽く作戦を考えることにした。


 その頃王国では。

「ええい。まだ捕まらんのか!」

「申し訳ございません。宿も見たのですが、もぬけの殻でして」

「なんとかしろ!」

「ははぁ」

 不味い。未来視して探させたのに、見つからん。あいつら魔道具を持ってやがるんだ。俺の未来視がこのメガネ魔道具によるものだと分かったのも、そのせいだ。このままでは不信から反逆すらあり得る。それだけは阻止せねば。

「おい、アントラはまだ戻らないのか?」

「まだ帰ってきてはおりません」

「そうか」

 まさか裏切ったのか? 確認せねば。

 そう思ったモナクは、魔道具を使った。直後にアントラが戻ってくる未来を見た。

 しかしそれは現実とは解離した。

「ああぁ、アントラァー!」

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