第5話 魔力分配器
魔力分配器
役所を出たニ人は、病院で会った少女と再開した。
「さっきはありがとう。お陰で助かったよ」
少女は元気に謝意を示す。
気にしないでとオーメンは言うと、少女が持っているモノに目を移す。
「話しは変わるんだけどさ、それ、何かな?」
オーメンは少し低いトーンで、そして確信めいた声で、少女に問う。
「こ、これは……」
少女は一瞬躊躇ったが、恩があることもあり、答えることにした。
「魔道具だよ?」
「「!!」」
「やっぱりそうだよね! 私の魔道具が反応してたもん!」
そういってオーメンは、二本の折れ曲がった棒を出す。
「何ですか? これ?」
アマナスがオーメンに問う。
「これはね、魔道具に反応する魔道具だよ」
「三ヶ月いたのに、初めて見ましたよ」
アマナスは怪訝な顔をした。
「今までは反応してこなかったからね。見せそびれていたんだよ」
それを聞いて納得した。最初に会ったとき、自分が持っていた
「あること自体は教えて教えてほしかったです」
「ごめんごめん」
そして彼女は少女に
「それ、譲ってもらえないかな?」
と、空気を張りつめさせた。
「ダメっ! これは希望なの!」
「希望?」
「これさえ使えれば、納税証明書を作れるの!」
三人は近場の飲食店に入り、そこで話をすることにした。
「さて、その魔道具と納税証明書が、どうつながるのか、教えてもらえるかな?」
「これはね、魔力を他人に分け与えられるんだよ」
オーメンは、ほうと微笑を溢す。
「証明書を作るには、
「らしいね」
「でも私には魔力はないの」
「魔力が無くても、納税証明書は作れるって聞いたけど?」
アマナスが質問する。
「その方法だと、身元が確かな人が必要でしょ?」
「君には――」
「アマナス君」
オーメンがアマナスを遮る。
「事情があるのは分かったよ」
「……」
少女は俯いてしまった。
「つまり、血判が使えないから、ペンを使いたい。けど君には魔力がない。でも、その魔道具なら魔力を与えられるから、君にもペンが使える。そのために、魔力を与えてくれる人がいないか、相談しに役所に出向いた。そういうことかな?」
「うん。そんなかんじ」
「よし、じゃあお姉さんが魔力を分け与えてあげよう」
少女は、ぱぁと表情を明るくする。
「ありがとう。じゃあオッケーがでるか、役所に聞きに行こう」
再び三人は役所へと向かった。
「オーメンさんの魔力では駄目ですね」
瞬殺だった。
「どうしてですか!?」
「
リコは落胆の表情を浮かべた。
「……じゃあ、俺が魔力を与えます」
俺にしか出来ないならやるしかない。とアマナスは思った。
「それなら問題ありません。詳細な手続きは裁判を経てからになりますが、よろしいでしょうか?」
「かまいません。」
「日程はニ日後に手紙でお知らせいたします。ご住所を教えてくださいますか?」
ニ人はまだ、どこに泊まるか決めていないことを思い出した。
「手紙が来るまでは、リコちゃんの家に泊まってもいいかな?」
オーメンが問う。
「でもウチは狭いし、人を呼べるような状態じゃないんだけど……」
「べつに私の家も綺麗なわけじゃないから、気にしないよ。それに、リコちゃんがいれば、きっと居心地もいいから」
「それなら、いいよ」
リコは渋々了承した。
リコは役員に住所を教えた。
そして三人はリコの家へと向かうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます