第2話 愛犬に寄り添いながら
結婚後も娘を出産するまでは仕事を続けていましたし、育児中は専業主婦でしたけど母親家業がメインなわけで完全な専業主婦という職務はお初かもしれません。
愛犬もなんとなくいつもと違う気配を感じていたと思います。毎朝きちんとメイクをしていた私が始終スッピンなのですからね。なるべくギャン鳴きをさせないよう、愛犬だけを残しての外出はしないと家族で決めたので私が買い物に出られるのは誰かしら家にいるときのみ。幸いなことに娘が大学生になり、曜日によっては午前中に在宅しているので平日はその隙に買出しに出かけます。ただし来年の四月から娘は新社会人ですから、平日は完全に缶詰状態です。
徒歩ですぐの場所にスーパーがあり、買う物さえ事前に決めておけばダッシュで! という手もあるのですが、いざ愛犬と二人だけで過ごしてみるとそれすら難しいと感じました。とにかく私の行動をずっと見ているのです。
洗濯物を干すためにベランダへ出る。夕飯の支度にキッチンに立つ、ちょっとトイレに行ったりなど、とにかく私が動く度に目で追ってきます。
置いて行かれる恐怖が拭えないのだど直感しました。
「だいじょうだよ。どこも行かないよ」
愛犬が私のあとを追うたびに声をかけ、抱っこして落ち着かせます。姿が見えなくなることが不安なのでしょうね。爆睡していたはずなのに私がトイレから出ると不安そうな顔をしながら近くで待っているのですから。
うちの家族になってから長い時間ずっとお留守番犬にさせてしまってごめんね。そんな想いで胸がいっぱいでした。
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