第6話 うるさいよ!!

男が来たのはその日だけで、それ以降はその公園にはこなかった。その日から、俺の心になぜか火がつき、みさがやっていたような練習を見ようみまねでやり続けた。そして、自分でもなぜか上手くなったようなちょっとした自信がついてきた。ある日、また俺が練習していたら、例の男がきた。

「まだやってたのか、下手くそだ、俺が言ったこと何もできてねぇ」

男はまたベンチに座って俺に口出ししてきた。俺はみさが撃たれてから、一度も練習を欠かさずしてきたのに、俺を侮辱してきたことが許せなかった。

「黙れよ!!!!」

俺は、今までみさに申し訳なくて、自分が惨めだったのに、余計に惨めにされたような気がして、男に襲いかかった。だけど、所詮自己流の空手、男にみぞおちに突きを受けて、気を失ってしまった。

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